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マシナル

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マシナル
Machinal
脚本ソフィー・トレドウェル英語版
初演日アメリカ合衆国の旗 1928年9月7日
初演場所プリマス劇場
オリジナル言語英語
ジャンル表現主義

マシナル』(Machinal)とは、アメリカ合衆国戯曲劇作家ジャーナリストソフィー・トレドウェル英語版作。1928年アーサー・ホプキンス演出で初演された。殺人罪により電気椅子で処刑された実在の女性ルース・スナイダー英語版の事件にインスパイアされたもので、アメリカ演劇史上最高の表現主義演劇のひとつといわれている。

シノプシス

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ヒロインは母親と二人暮らしの速記者。上司と結婚、子供を出産した後、若い男と関係も持つ。邪魔になった夫を殺し、有罪判決を受け、電気椅子で処刑される。

制作

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ロバート・エドモンド・ジョーンズによる法廷の舞台デザイン
同じく、独房の舞台デザイン

アーサー・ホプキンス製作・演出の『マシナル』は1928年9月7日ブロードウェイのプリマス劇場(現在のジェラルド・ショーンフェルド劇場)で幕開きし、全91回公演で、1928年11月24日が最終日となった。舞台美術はロバート・エドモンド・ジョーンズ[1]。背景を変えないオープン・ステージを用い、ライティングで場面転換をした[2]。全2幕で第1幕は10場、第2幕は4場[3]

クラーク・ゲーブルの舞台初出演作としても知られる。

イギリスでは『The Life Machine』という題名で1931年に上演された[4]

キャスト

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  • 若い女:ジータ・ジョハン[3]
  • 電話交換嬢:Millicent Green[3]
  • 速記者:Grace Atwell[3]
  • 書類整理係:Leopold Badia[3]
  • 従業員/新聞記者1:Conway Washburn[3]
  • 母親:ジーン・アデーア[3]
  • 夫:George Stillwell[3]
  • ボーイ/裁判所速記官:Otto Frederick[3]
  • 看護婦:Nancy Allan[3]
  • 医師:Monroe Childs[3]
  • 若い男/新聞記者3:Hal K. Dawson[3]
  • 少女:Zenaide Ziegfeld[3]
  • 男:Jess Sidney[3]
  • 少年:Clyde Stork[3]
  • 男:クラーク・ゲーブル[3]
  • 別の男/新聞記者2:Hugh M. Hite[3]
  • ウェイター/執行吏/看守:John Hanley[3]
  • 裁判官:Tom Waters[3]
  • 弁護士:John Connery[3]
  • 検事:James Macdonald[3]
  • 婦人看守:Mrs. Charles Willard[3]
  • 司祭:Charles Kennedy[3]

評価

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『Theatre Magazine』誌の編集者ペリトン・マックスウェルは、現実に起きた凄惨な殺人事件を芸術の域にまで高めたとし、とくに、ソフィー・トレッドウェル、アーサー・ホプキンス、そしてジータ・ジョアンの3人の功績を称えている[3]

『ニューヨーク・タイムズ』紙のブルックス・アトキンソンも、作家、役者、プロデューサーの技術がキャラクターの美を引き出せたと評価した[5]

テレビドラマ

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1954年1月18日NBCの『Robert Montgomery Presents』の1エピソードとしてドラマ化された。監督はペリー・ラファティ、主演はジョーン・ロリング英語版[6]

1960年8月14日[7]ITVの『Armchair Mystery Theatre』の1エピソードとしてドラマ化された。監督はフィリップ・サビル、主演はジョアンナ・ダナム[8]

再演

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カナダのケープ・ブレトン大学での上演風景(法廷)
カナダのケープ・ブレトン大学での上演風景(独房)
  • 2014年1月16日、ブロードウェイのアメリカン・エアライン劇場。演出はリンゼイ・ターナー、出演はレベッカ・ホール、マイケル・カンプスティ、スザンヌ・バーティッシュ、モーガン・スペクター[15]
  • 2018年6月4日、ロンドンのアルメイダ劇場。演出はナタリー・アブラハミ[16]トニー賞4部門ノミネート(演劇装置デザイン賞、演劇衣装デザイン賞、演劇照明デザイン賞、演劇音響デザイン賞)[17]

出典

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  1. ^ Machinal”. Internet Broadway Database. 2020年3月19日閲覧。
  2. ^ Littell, Robert (October 1928). “Front and Inside Pages”. Theatre Arts Magazine. 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x Maxwell, Perriton (November 1928). “The Editor Goes to the Play”. Theatre Magazine (New York: Theatre Magazine Company): 46. 
  4. ^ Treadwell (1993, viii).
  5. ^ Atkinson, J. Brooks (September 8, 1928). “The Play”. The New York Times. https://www.nytimes.com/1928/09/08/archives/the-play.html 2020年3月19日閲覧。 
  6. ^ Gould, Jack (January 24, 1954). “Television Reviews; Joan Lorring in 'Machinal'”. The New York Times. https://www.nytimes.com/1954/01/24/archives/television-reviews-joan-lorring-in-machinal-the-rise-of-carthage.html 2020年3月19日閲覧。 
  7. ^ ABC Armchair Mystery Theatre”. Classic TV Archive. 2020年3月19日閲覧。
  8. ^ Machinal”. BFI Film & TV Database. British Film Institute. 2020年3月19日閲覧。
  9. ^ Kabatchnik, Amnon. "Machinal" Blood on the Stage, 1925-1950: Milestone Plays of Crime, Mystery, and Detection, Scarecrow Press, 2010, ISBN 0810869632, p. 217
  10. ^ " 'Machinal' Listing" lortel.org, accessed December 23, 2013
  11. ^ a b From the programme to the production.
  12. ^ Treadwell (1993, v).
  13. ^ " 'Machinal' Listing and Script, Royal National Theatre" ciaranhinds.eu (pdf), accessed December 23, 2013
  14. ^ "Olivier Winners, 1994" Archived 2013-12-24 at the Wayback Machine. olivierawards.com, accessed December 23, 2013
  15. ^ Gioia, Michael. "Suzanne Bertish, Michael Cumpsty, Morgan Spector Will Join Rebecca Hall in 'Machinal'; Complete Broadway Cast Announced" Archived 2013-12-25 at the Wayback Machine. playbill.com, October 22, 2013
  16. ^ “Machinal” (英語). Almeida Theatre. https://almeida.co.uk/whats-on/machinal/4-jun-2018-21-jul-2018 2020年3月19日閲覧。 
  17. ^ Gans, Andrew. "68th Annual Tony Awards Nominations Announced; 'Gentleman's Guide' Leads the Pack" Archived 2014-05-30 at the Wayback Machine. playbill.com, April 29, 2014

参考文献

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  • Treadwell, Sophie. 1993. Machinal. London: Nick Hern Books and Royal National Theatre, London. ISBN 1-85459-211-4.

邦訳

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外部リンク

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