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ベルリナイト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベルリナイト
水熱合成法を用いて人工的に製造されたベルリナイト結晶
分類 リン酸塩鉱物、砒酸塩鉱物、バナジン酸塩鉱物
シュツルンツ分類 VII/A.01
Dana Classification 38.04.02.01
化学式 Al[PO4]
結晶系 三方晶系
対称 P3121 (152) または P3221 (154)[1]
へき開 なし
モース硬度 ≈ 6.5
無色、ピンクグレーから淡いピンク
条痕
密度 実測: 2.64〜2.66; 計算: 2.618[2]
その他の特性 しばしば暗赤色蛍光を呈する
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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ベルリナイト: Berlinite)とは、シュツルンツ分類で「リン酸塩鉱石ヒ酸塩鉱石バナジン酸塩鉱物」に分類される希少な鉱物。結晶構造は三方晶系で、組成式は Al[PO4] であり、化学的にはリン酸アルミニウムである。

ベルリナイトは主に表面に半透明の光沢をもった繊維状、球晶状、粒状から大きな集合鉱石ドイツ語版[訳語疑問点]として産する。 純粋なものは無色透明である。格子欠陥もしくは多結晶形成のため光を多面反射し、白く見えることもある。外来原子ドイツ語版のため、ピンクグレーから淡いピンク色を呈し、透明度が若干下がることもある。

特徴

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紫外光下において、多くのベルリナイトは蛍光ペンに似た暗赤色の蛍光を示す。

名前の由来と歴史

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ベルリナイトはスウェーデンBromölla にある Näsum 近郊の Västanå英語版 鉱山にて初発見され、1868年にクリスチャン・ヴィルヘルム・ブロムストラント英語版スウェーデン語版により記載された。名前は、スウェーデン、ルンドおよびウプサラ化学および鉱物学教授ニルス・ヨハン・ベルリン英語版 (1812–1891) に因み名付けられた。

日本では山口県日の丸奈古鉱山において仮晶の状態で、また2010年には福岡県平尾台千仏鍾乳洞で発見されている。

分類

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旧来の、まだ使われているシュツルンツ分類第8版ドイツ語版ではベルリナイトを「外来アニオンのない無水リン酸 [PO4]3− 塩鉱物」に分類している。さらに、Alarsite, ベリロナイトハールバット石リチオフォスフェイト英語版NalipoiteOlympiteRodolicoite と共に無名の群を成し、番号 VII/A.01 が付されている。

2001年から国際鉱物学連合が採用しているシュツルンツ分類第9版ドイツ語版でもベルリナイトを「無水、無外来アニオンリン酸塩鉱物など」に分類する。ここからさらに、カチオンの大きさを比較して「小カチオンからなるもの(より大きい付加カチオンのあるものも含む)」に細分類し、Alarsite と Rodolicoite と共に無名の群を作って番号 8.AA.05 を付す。

主に英語圏で使われるダナ分類ドイツ語版でもベルリナイトを「リン酸塩鉱物、砒酸塩鉱物、バナジン酸塩」 に分類し、そこから「無水リン酸塩等」に細分類する。さらに、Alarsite と Rodolicoite を含む「ベルリナイト群ドイツ語版38.04.02 を作り、「無水リン酸塩等、 A XO4」に置く。

形成と分布

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ベルリナイトは高温化の水熱合成または交代作用ドイツ語版により生じ、アウゲライトアタッコライト共生ドイツ語版関係にあり、よく鉄天藍石トロール石ドイツ語版に付着して産出する。

2013年までにおおよそ20箇所でしか発見されていない希少な鉱物である。タイプ産地である Västanå 鉱山の他、スウェーデン、トシュビュー市近郊の Hålsjöberg 採石場にも産する。

ドイツでは、バイエルン州ヴィーザウドイツ語版-トリーベンドルフドイツ語版玄武岩採掘場とザクセン州エーレンフリーデルスドルフドイツ語版近郊のザウベルク鉱山でベルリナイトが発見されている。

スイスではこれまでにヴァレー州テルベルドイツ語版でしか見付かっていない。

他には、オーストラリアノース・バーネットドイツ語版において、 Cotter River 沿いにある „Paddy's River Cu Mine“ とペリー山英語版に産するほか、ブラジルミナスジェライス州サプカイア・ド・ノルテポルトガル語版近郊のサプカイア鉱山とPiauí Valley 近郊の „Poço d'Antas“ 採掘場、マダガスカルアンバトフィナンドラアナドイツ語版にある Itremo Massiv(Tsiambenana 採石場)、ルワンダ西部州、ガツンバ県の複数地点、ルーマニアフネドアラ県 にある Cioclovina-洞窟、スペインクレウス岬チェコズラテー・ホリドイツ語版、 (ドイツ語名 Zuckmantel)、アメリカのアリゾナ州ヒラ郡とメイン州ワシントン郡に産出する。

結晶構造

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ベルリナイトは三方晶系で石英と同様に鏡映異性体を持ち、左手型では空間群 P3121、右手型では P3221 に属する。両空間群は [100] 軸に平行な二回対称軸を持つ、同じ分類に属する。

左手型の格子定数a = 4.9458 Å, c = 10.9526 Å であり、右手型の格子定数は a = 4.9438 Å, c = 10.9498 Å[3]既約単位格子あたり3組成式を含む。

ベルリナイトは石英と同種構造ドイツ語版であり、空間群は同じであるが格子定数が違う。

関連項目

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文献

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  • Helmut Schröcke, Karl-Ludwig Weiner (1981), Mineralogie. Ein Lehrbuch auf systematischer Grundlage (ドイツ語), Berlin; New York: de Gruyter, pp. 609-610, ISBN 3-11-006823-0
  • Paul Ramdohr, Hugo Strunz (1978), Klockmanns Lehrbuch der Mineralogie (ドイツ語) (16. ed.), Ferdinand Enke Verlag, p. 622, ISBN 3-432-82986-8

外部リンク

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出典

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  1. ^ American Mineralogist Crystal Structure Database – Berlinite (engl., Linksform P3121: 2007, Rechtsform P3221: 1997)
  2. ^ Berlinite, in: John W. Anthony, Richard A. Bideaux, Kenneth W. Bladh, Monte C. Nichols (Hrsg.): Handbook of Mineralogy, Mineralogical Society of America, 2001 (PDF 61,8 kB)
  3. ^ American Mineralogist Crystal Structure Database - Berlinite (engl., Linksform P3121: 2007, Rechtsform P3221: 1997)