ナツハゼ
ナツハゼ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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福島県会津地方 2012年6月
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Vaccinium oldhamii Miq. (1865)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ナツハゼ(夏櫨) |
ナツハゼ(夏櫨[3]、学名: Vaccinium oldhamii)は山地・丘陵地に生えるツツジ科スノキ属の落葉低木。日本、朝鮮半島、中国原産。和名は、夏にハゼノキのような紅葉が見られることから名づけられた[3]。中国名は腺齒越橘[1]。
分布と生育環境
[編集]中国の黒竜江省、吉林省、陝西省、内蒙古自治区、新疆ウイグル自治区、朝鮮半島南部、日本に分布する。
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し[4]、低地や山地の尾根、林縁などに生育する[3]。特に花崗岩の土地を好む。
特徴
[編集]落葉広葉樹の低木[3]。高さは1 - 3 メートル (m) になる[4]。幹は株立ちになることもあり、枝は横に広がる[4]。樹皮は灰褐色で縦に裂け、若木は平滑だが、次第に薄い縦長の裂片となってはがれ落ちる[4]。若い茎は赤褐色で稜があり、曲がった短い軟毛と開出した腺毛が生える[4]。一年枝はややジグザグ状になり、灰褐色で毛がある[4]。
葉は長さ1 - 2ミリメートル (mm) の葉柄をもって互生する。葉身は卵状楕円形で、長さ4 - 10 センチメートル (cm) 、幅2 - 5 cmになり、先端は鋭くとがり、縁は全縁。葉の両面に粗い毛がまばらに生えてざらつき[3]、葉縁には多数の腺毛が生える。葉柄は短い[3]。夏に葉が赤みを帯びるが、秋の紅葉は鮮やかな赤色になる[3]。トラフシジミの幼虫が食草としている[5]。
花期は5月から6月[4]。新枝の先端に長さ3 - 4 cmの総状花序を出し、多数の花を下向きにつける。萼筒は腺毛が散生する杯形で、先端は5裂し裂片は三角形となり先端は鋭くとがる。花冠は赤みを帯びた黄緑色で、長さ4 - 5 mmあり、鐘形で先端は浅く5裂し、先は鈍く反曲する。雄蕊は10本ある。果実は径7 - 8 mmになる球形の液果で、黒色に熟し食用になる。冬でも果軸がよく残る[4]。
冬芽は卵形で赤褐色、芽鱗6 - 8枚に包まれている[4]。枝先には仮頂芽がつき側芽よりもやや大きく、側芽は枝に互生する[4]。葉痕は半円形で突き出し、維管束痕が1個つく[4]。
種の保全状況評価
[編集]日本では以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている[6]。
利用及び栽培
[編集]果実は10月から11月にかけて熟し、ブルーベリーに似た黒褐色になる。甘酸っぱいため、生食のほか、ジャムや果実酒に加工できる。
観賞用にも栽培されている。挿し木は6月。夏は乾燥を防ぐためにやや日陰になる場所に置く。剪定は開花後に行う。
なお都道府県別の収穫量では福島県がシェアの100 %を占める。
下位分類
[編集]- ウラジロナツハゼ Vaccinium oldhamii Miq. f. glaucum (Koidz.) Hiyma - 葉の裏面が白色を帯びる品種
脚注
[編集]- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Vaccinium oldhamii Miq. ナツハゼ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月2日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Vaccinium oldhamii Miq. f. rotundum Hayashi ナツハゼ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g 林将之 2008, p. 72.
- ^ a b c d e f g h i j k 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 71
- ^ 須田真一 (2012)、129頁
- ^ “日本のレッドデータ検索システム「ナツハゼ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2013年7月3日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
参考文献
[編集]- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、71頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 須田真一、永幡嘉之、中村康弘、長谷川大、矢野勝也 著、日本チョウ類保全協会 編『日本のチョウ』誠文堂新光社〈フィールドガイド〉、2012年4月30日。ISBN 978-4416712030。
- 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本Ⅱ』平凡社、1989年2月。ISBN 4-582-53505-4。
- 茂木透 写真、高橋秀男・勝山輝男 監修『樹に咲く花:合弁花・単子葉・裸子植物』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑 5〉、2001年7月。ISBN 4-635-07005-0。
外部リンク
[編集]- 岡山理科大学植物生態研究室HP-ナツハゼ - ウェイバックマシン(2007年8月9日アーカイブ分)
- ナツハゼの標本(兵庫県飾磨郡夢前町で1966年10月9日に採集) (千葉大学附属図書館)
- Vaccinium oldhamii (The Plant List)