セスナ 408 スカイクーリエ
セスナ 408 スカイクーリエ
セスナ 408 スカイクーリエ(英語:Cessna 408 SkyCourier)は、アメリカのテキストロン・アビエーション(セスナ)によって開発された汎用航空機。2017年11月28日、航空貨物会社フェデックス・エクスプレスから確定50機、オプション50機の発注を受けたことで開発が開始された[3][4]。2020年5月17日に初飛行を行い[1][5]、2022年3月11日に連邦航空局(FAA)から型式証明の認定が行われている[6]。
スカイクーリエは、双発の高翼機で、19人乗りの旅客型または3つのLD3コンテナを搭載できる貨物型として運用することが可能。機体は非与圧式でアルミニウム製、エンジンはプラット・アンド・ホイットニー・カナダ製のPT6Aターボプロップエンジンを搭載、降着装置は固定式である。アビオニクスには一体式計器となるガーミン「G1000 NXi」プライマリ・フライト・ディスプレイが標準で採用された[7]。最大離陸重量は8,600 kg(19,000ポンド)であり、19人の乗客を搭乗させた状態で715 km(386 nmi)の範囲を、最大巡航速度時速390 km/h(210 kn)で飛行することが可能である。
開発
[編集]モデル408は、2017年11月28日にテキストロン・アビエーションによって発売され、2020年に導入が計画された[3]。408の基本設計は以前に採用されたセスナ208キャラバン同様、フェデックスの要件に一致するよう開発が行われた[8][9]。フェデックスがローンチカスタマーとなり、確定50機、オプション50機の契約である[3][10]。なお、契約当時の一機辺りの機体価格は550万ドル(約6億7千万円)であった[11]。
最初の風洞試験は2018年3月に完了し[12]、当初2019年に初飛行が計画され2020年頃から納入が予定されていたが[13]、コロナウイルスの世界的な流行により、テキストロンだけでなく関連企業や政府機関までもが影響を受けたことで初飛行は2020年5月17日にずれ込んでいる[14]。なお、フェデックスは2020年から4年に渡り毎月一機の受領を計画しており、オプションに同意した場合は月に2機の受領となる計画である[15]。このほか、2018年10月に開催された全米ビジネス航空協会上で19人乗り旅客型の実物大モックアップが展示された[16]。初号機となる翼と胴体の結合作業は2019年12月に完了した[17]。
2020年3月までに地上試験が完了し、ここでは燃料システム、エンジン、航空電子工学インターフェース、および電気システムなどのチェックが行われている[18]。2020年5月17日、ビーチクラフトが所有する空港「ビーチファクトリー空港」から2時間15分に渡る初飛行が行われ飛行試験に成功した[1]。使用された初号機は追加飛行試験や地上試験など認証に纏わる試験に使用されるため、2号機が2020年8月11日に初飛行を行っている[19]。2号機はライン工程で製造された機体となり、エンジン、プロペラ、環境、および航空電子工学の試験に使用される[20]。2020年9月には三号機が初飛行を行っている[21]。
2021年時点での機体価格は、貨物型が685万ドル(約8億3千万円)、旅客型が737万5000ドル(約9億円)である[22]。2021年4月、テキストロンは型式認証が年末までに完了し、2022年の春から夏頃にかけ最初の納入が開始されるであろうと発表を行っている[23]。2021年、航空ショーであるEAA エアベンチャー・オシュコシュ会場において初披露された[24][25]。
2022年2月3日にフェデックス向けの製造ラインの稼働を開始[26][27]、この時点で3機のテスト機は合計2,100時間以上の飛行時間が蓄積されており[26]、連邦航空局の型式証明は2,100時間の飛行テストの後に行われ[28][29]、2022年3月11日に正式に認証された[6]。
仕様
[編集]セスナ社の公表データによる[30]。
名目 | 旅客型 | 貨物型 |
---|---|---|
乗員 | 2名 | |
全長 | 16,80 m (55 ft 1 in) | |
全高 | 6,30 m (20 ft 8 in) | |
翼幅 | 22,02 m (72 ft 3 in) | |
翼面積 | 40.97 m2 (441.0 sq ft) | |
アスペクト比 | 11.8 | |
空虚重量 | 5,591 kg (12,325 lb) | 4,990 kg (11,000 lb) |
最大離陸重量 | 8,618 kg (19,000 lb) | |
エンジン | ターボプロップ PT6A-65SC×2 各830kW (1100 shp) | |
プロペラ | マッコーリー アルミニウム4枚ブレード×2 自動フェザリング、リバース機能 | |
燃料積載量 | 2,189 kg(4,826 lb) / 2,725 ℓ(720 gal)シングルポイント給油方式 | |
最大巡航速度 | 390 km/h (210 ktas) | |
実用上昇限度 | 7,620 m (25,000 ft) | |
最大航続距離 | 1,700 km (920 nm) | |
2268kg搭載時の最大航続距離 | 741 km (400 nm) | |
必要離陸距離 | 1,116 m(3,660 ft) | |
ユニットコスト | 685万ドル[22](約8億3千万円) | 737万5000ドル[22](約9億円) |
脚注
[編集]- ^ a b c "First Cessna SkyCourier twin utility turboprop takes flight" (Press release). Textron Aviation. 17 May 2020. 2020年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ a b “Cessna 408 SkyCourier: Cessnas neues Multitool”. FLUG REVUE (2020年8月22日). 2022年3月24日閲覧。
- ^ a b c "Textron Aviation unveils new large-utility turboprop, the Cessna SkyCourier; FedEx Express signs as launch customer for up to 100 aircraft" (Press release). Textron Aviation Inc. 28 November 2017.
- ^ “テキストロン、セスナ・スカイクーリエ408を製造へ フェデックスが導入へ”. FlyTeam (2017年11月29日). 2022年3月25日閲覧。
- ^ “セスナ・スカイクーリエ、5月17日に初飛行”. FlyTeam (2020年5月21日). 2022年3月25日閲覧。
- ^ a b "The next big thing in flight has arrived – Cessna SkyCourier twin utility turboprop earns FAA type certification" (Press release). Textron Aviation. 14 March 2022.
- ^ “セスナ、最新ターボプロップ機スカイクーリエ量産開始 フェデックスに貨物型”. Aviation Wire (2022年2月12日). 2022年3月25日閲覧。
- ^ Bertorelli, Paul (November 30, 2017). “Cessna And FedEx Renew Their Vows”. AVweb. December 15, 2017閲覧。
- ^ FedEx (28 November 2017). “FedEx Express Introduces New Feeder Aircraft - Modernization of feeder fleet continues with Cessna SkyCourier 408 designed for FedEx”. newsroom.fedex.com. 27 June 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。27 June 2021閲覧。
- ^ “FedEx to be launch customer for new Cessna turboprop”. Air Cargo News (November 28, 2017). October 15, 2019時点のオリジナルよりアーカイブ。October 15, 2019閲覧。
- ^ Molly McMillin (28 November 2017). “Textron Launches New SkyCourier Turboprop With Cargo, Pax Versions”. Aviation Week Network
- ^ Duane Frazier (18 March 2018). “Cessna SkyCourier completes initial wind tunnel testing”. Textron SkyCourier. 16 July 2021閲覧。
- ^ Grady, Mary (March 13, 2018). “Textron Reports On SkyCourier Progress”. AVweb. March 14, 2018閲覧。
- ^ “テキストロン・セスナ 408 スカイクーリエが初飛行”. Tokyo Express (2020年5月23日). 2022年3月25日閲覧。
- ^ Stephen Trimble (November 28, 2017). “Textron launches Beech 1900-sized SkyCourier with FedEx order”. FlightGlobal
- ^ James Wynbrandt (October 17, 2018). “Textron Debuts SkyCourier Mockup in Pax Config”. AIN
- ^ "Textron Aviation marks successful wing and fuselage mate of the first Cessna SkyCourier aircraft; begins next phase in development" (Press release). Textron Aviation. 19 December 2019.
- ^ Kate Sarsfield (March 23, 2020). “SkyCourier completes initial ground testing”. FlightGlobal
- ^ “セスナ・スカイクーリエ、試験2号機「P1」が初飛行”. FlyTeam (2020年8月14日). 2022年3月25日閲覧。
- ^ Cook, Marc (11 August 2020). “Testing, Testing: Second Cessna SkyCourier Flies”. AVweb. 12 August 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。12 August 2020閲覧。
- ^ “THE NEXT BIG THING IN FLIGHT HAS ARRIVED – CESSNA SKYCOURIER TWIN UTILITY TURBOPROP EARNS FAA TYPE CERTIFICATION(プレスリリース)”. Textron Aviation (2022年3月14日). 2022年3月25日閲覧。
- ^ a b c “Purchase planning handbook - turboprops table”. Business & Commercial Aviation. (Second Quarter 2021)
- ^ Eric Tegler (16 April 2021). “With Its New SkyCourier, Textron Will Try To Top One of the Most Successful Cargo Aircraft Ever”. Forbes. 16 July 2021閲覧。
- ^ Phelps, Mark (July 26, 2021). “Cessna SkyCourier Makes Public Debut At AirVenture 2021”. AvWeb. 2022年3月25日閲覧。
- ^ “Cessna 408 SkyCourier Debuts at EAA AirVenture”. Flying (July 27, 2021). 2022年3月25日閲覧。
- ^ a b Dominic Perry (4 February 2022). “First production Cessna SkyCourier breaks cover”. Flightglobal
- ^ Niles, Russ (5 February 2022). “First Production SkyCourier Rolled Out”. AVweb. 7 February 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。7 February 2022閲覧。
- ^ O'Connor, Kate (14 March 2022). “Cessna SkyCourier Earns FAA Type Certificate”. AVweb 15 March 2022閲覧。
- ^ Federal Aviation Administration (11 March 2022). “Type Certificate Data Sheet No. A00016WI” (PDF). 15 March 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。15 March 2022閲覧。
- ^ “CESSNA SKYCOURIER”. CESSNA. 2022年3月24日閲覧。
競合機
[編集]- ドルニエ 228
- デ・ハビランド・カナダ DHC-6
- Y-12
- L-410
- エアクラフト・インダストリーズ L 410 NG
- インドネシアン・エアロスペース N-219
- PZL M28 Skytruck
- Desaer ATL-100