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スーパー・ガス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『スーパー・ガス』
加藤和彦スタジオ・アルバム
リリース
録音 1971年5月 - 7月
ニッポン放送第1スタジオ
加藤和彦自宅
ジャンル フォーク
ロック
時間
レーベル CAPITOL
プロデュース 加藤和彦
朝妻一郎
新田和長
加藤和彦 アルバム 年表
ぼくのそばにおいでよ
1969年
スーパー・ガス
1971年
それから先のことは…
1976年
『スーパー・ガス』収録のシングル
  1. 家をつくるなら
    リリース: 1973年3月20日 (1973-03-20)
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スーパー・ガス』(SUPER GAS)は、1971年10月5日に発売された加藤和彦の2枚目のソロ・アルバム。

解説

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初のソロ・アルバム『ぼくのそばにおいでよ』発表後の1970年7月、加藤は福井ミカとの結婚前後、北山修シュリークス、ザ・フーティ・ラッズ、ロック・キャンディーズなどの音楽家仲間とアメリカ・ツアー 『カレッジ・ポップス・イン・U.S.A.』に参加する[1]。一行はニューヨークで開催されていたロック・フェスティバルを観覧し、加藤は道中立ち寄ったメキシコではステージをこなした[2]

帰国後、加藤はアルバムの制作を始める。全曲の詞は松山猛が担当し[3]、作編曲は加藤が手がけた。アルバム・タイトルは、加藤の知人の飼い犬ガスがスーパーマンに扮したアルバム・カバーに因むものであり、加藤もアルバム発表時のコンサートではスーパーマンの扮装で出演していた[2][4]。サウンド面での特色としては加藤のギター・プレイが前面に出され、当時の日本ではまだ珍しかったスティールパンに加え、輸入されたばかりのミニモーグや、ARP 2600などのシンセサイザーが使用されていることなどが挙げられる[2]。レコーディングはニッポン放送第1スタジオや加藤の自宅で行なわれ、伊豫部富治がエンジニアを務めた。

アートワーク

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アート・ディレクションは川村都。アルバム・カバーの写真は川仁忍が手がけ、バック・カバーには加藤とミカが、ガスと戯れている写真をパートカラー印刷したものが使われている。また、アナログ・レコードに付属した紫色のインナースリーヴには写真のコラージュと歌詞が印刷されていた。バック・カバーにはクレジットが印刷されており、加藤によれば本作は日本でプロデュース・クレジットが記載された最初のアルバムであるという[2]。なお、初発売時のレコード帯には、以下のキャッチコピーが記載されていた。

世界のシンガー = ソング・ライター

収録曲

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全曲作詞:松山猛、作編曲:加藤和彦
アナログ・レコードでは#1から#6までがA面に、#7から#10までがB面に収録されている。
楽曲の時間表記は初出CDに基づく。

  1. 家をつくるなら (THE HOUSE SONG) - (2:21)
    当初、この楽曲はアルバムのみの収録だったが、ナショナル住宅建材株式会社のCMソング[2]に使われたことで人気を博し、アルバム発売から約1年半経った1973年に#6とのカップリングでシングルカットされた。
  2. アーサー博士の人力ヒコーキ (Dr.EARTHER'S MAN-POWER PLANE) - (5:43)
  3. 魔法にかかった朝 (THE MORNING SONG) - (2:21)
  4. せっかちと■■■■ (SEKKACH AND) - (3:12)
    曲名と歌詞に放送禁止用語が含まれていたため、加藤の判断で該当部分の音を消去し、歌詞の一部も手書きで塗りつぶされた。
  5. もしも、もしも、もしも (IF) - (3:35)
  6. 不思議な日 (STRANGE DAY [OF OUR LIFE]) - (2:41)
    この楽曲は1970年に小野和子へ提供したもので[5]、のちに小林啓子がカバーしている[6]
  7. 魔誕樹の木陰 (LA MATAN-QUI) - (2:40)
    琉球音階を取り入れた楽曲。曲名の読み方は「またんきのこかげ」である。
  8. アルカンシェル (ARCENCIEL) - (7:00)
    この楽曲のリード・ギターはつのだひろが弾いている。
  9. 児雷也冒険譚 (LEGEND OF JIRAIYA) - (7:25)
  10. スーパー・ガス (SUPER GAS) - (1:44)
    加藤のアコースティック・ギターによるインストゥルメンタル

ボーナス・トラック

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2017年6月28日にユニバーサルミュージックジャパンから発売されたリイシュー盤『スーパー・ガス 2』(UICY-7307)には以下のボーナス・トラックが2曲追加されている。
時間表記は前記CDに基づく。

  1. 家をつくるなら(ライブ) - (2:15)
    作詞:松山猛、作曲/編曲:加藤和彦
    「カレッジ・ポップス・イン・U.S.A.」の翌年1971年7月に行なわれた同様のアメリカ・ツアー「ヤング・ジャパン国際親善演奏旅行」[7]の途次、7月30日にバンクーバーのリッチモンド・アリーナで行なったライブでの演奏。
  2. ララ・ムラ(ライブ) - (2:57)
    作詞/作曲:Donovan、編曲:加藤和彦
    前記ライブでの演奏で、ドノヴァンの楽曲 “La Moora” のカバーである。原曲は1971年発表のアルバム“HMS Donovan”収録。

コンパクト盤

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アナログ・レコード発売時には、本作から4曲を抜粋したコンパクト盤も発売された。規格はCTP-4303。

収録曲

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SIDE A

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  1. 家をつくるなら
  2. もしも、もしも、もしも

SIDE B

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  1. 不思議な日
  2. 魔法にかかった朝

クレジット

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  • Produced by K.Kato & Mr. Morning with a Little Help from K.Nitta
  • Engineered by T.Iyobe with Assistance of K.Sugiyama
  • Recorded at M.I.K.A. Sound Cottage During May to July 1971
  • All Selections are Written, Arranged, Played (on Guitar, Banjo, Harmonium, Steel-Drum) & Sung by K.Kato
  • With Many Thanks to Following People
  • Takashi Nishioka - Flat Mandolin on #1, Background Vocal on #8 & Vibe on #9
  • Hiro Tsunoda - Drums & Percussion, Lead Guitar on #8, Background Vocal on #4
  • Mika - Percussion on #5 & #8, Background Vocal & Screaming on #9
  • Yoshiro Yomo - Guitar on #7 & Background Vocal
  • Monsiever Kan - Background Vocal on #7
  • Toshio Endo - Pedal Steel Guitar on #1 & #2
  • Kei Ishikawa - Electric Bass on #1 & #2
  • Sasa & Koji - Background Vocal on #1
  • Baichan - Background Vocal only
  • Lyrics - Takeshi Matsuyama
  • Cover Photo - S.Kawani
  • Art Direction Design - Miyako Kawamura

発売履歴

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形態 発売日 レーベル 品番 アートワーク 解説 リマスタリング 初出/再発 備考
LP 1971年10月05日 CAPITOL CTP-9040 川村都 なし なし 初出 A式ジャケット
LP 1976年05月20日 EXPRESS ETP-72179 川村都 なし なし 再発 A式ジャケット
LP 1983年07月21日 EXPRESS ETP-40164 川村都 なし なし 再発 【エキスプレス・レコード15周年記念企画 名盤復刻シリーズ】
E式ジャケット 真空パッケージ
CT 1972年08月05日 東芝音楽工業 ZA-1234 川村都 なし 初出 【ニュー・フォーク・エクセレント・シリーズ】
CD 1991年03月20日 EASTWORLD TOCT-6036 川村都 篠原章/サエキけんぞう 記載なし 初出
CD 1999年03月20日 Pヴァイン PCD-1424 川村都 直枝政太郎/田口史人/湯浅学 記載なし 再発 【“ニューロックの夜明け”番外編8】
CD 2005年04月20日 EXPRESS TOCT-16025 川村都 再発 【名盤グラフィティー70's】
CD 2017年06月28日 EXPRESS UPCY-7307 川村都 小松喜冶 記載なし 再発 【名盤発見伝 ジャパニーズ・グラフィティー】
ボーナス・トラック2曲

参考文献

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  • 平凡パンチ 1971年12月6日号』平凡出版、1971年11月。 
  • 松山猛『もう話してもいいかな』小学館、2006年3月。ISBN 978-4-09-387637-7 
  • 前田祥丈 (聞き手・構成) 編『エゴ〜加藤和彦、加藤和彦を語る』スペースシャワーネットワーク、2013年7月。ISBN 978-4-90-670088-2 

脚注

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  1. ^ このとき、UCLAで行なったコンサートはアルバム化されている。(1970年12月、東芝音楽工業 EXPRESS EP-7778)
  2. ^ a b c d e 『エゴ〜加藤和彦、加藤和彦を語る』
  3. ^ 『もう話してもいいかな』p.74
  4. ^ 『平凡パンチ』 1971年12月6日号
  5. ^ シングル「みんな愛されるため / ふしぎな日」(1970年8月、東芝音楽工業 EP-1254)
  6. ^ アルバム『ちょっと気分をかえて』(1977年8月、キングレコード SKA-1012)
  7. ^ この公演の一部はアルバム化されている。(『ヤング・ジャパン・国際親善演奏旅行』 1971年12月、東芝音楽工業 EXPRESS ETP-9401)

外部リンク

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UNIVERSAL MUSIC JAPAN