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グレフュール賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

グレフュール賞Prix Greffulhe)はフランスサンクルー競馬場で行われるG3の競走。2021年現在は2100メートルで行われ、3歳馬だけが出走できる。フランスダービーの前哨戦の一つである。

グレフュール賞
Prix Greffulhe
開催国 フランスの旗フランス
競馬場 サンクルー競馬場
創設 1882年
2023年の情報
距離 芝2100メートル
格付け G3
賞金 賞金総額13万ユーロ[1]
出走条件 3歳
負担重量 牡馬・せん馬 58kg
牝馬 56.5kg
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意義

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グレフュール賞は、19世紀に馬種改良奨励協会が設けたフランスダービーのための5つの前哨戦(Poules de Produits)の1つである。この前哨戦(Poules de Produits)は、グレフュール賞ダリュー賞リュパン賞オカール賞ノアイユ賞(※すべて最近のレース名で表記)から成る。リュパン賞を除いて、これらの競走はフランスの内国産馬以外の出走は制限されている[2]

フランスの競走馬の資質向上を目的とするため、グレフュール賞に出走できるのは、繁殖能力を有する牡馬か牝馬に限られ、さらにフランスの「母内国産馬」(つまり、母馬がフランスで生産・育成された馬だけである)以外の出走は制限されている[2]。グレフュール賞の賞金は、出走馬が生まれる前の受胎中に登録した登録金で賄われていた[3]。なお、2020年よりせん馬の出走が可能となった[4]

グレフュール賞の優勝馬がフランスダービーを勝ったのは22回。最初の勝者は1894年のゴスポダール(Gospodar)で、最近では2003年ダラカニ(Dalakhani)がいる。このほか、2着が14回、3着が11回ある(2012年現在)[3]1965年シーバード2011年プールモワはフランスダービーには出走せずイギリスダービーに勝った。

歴史

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この競走ははじめ、1882年ロンシャン競馬場の2100メートルの競走「Prix de Greffulhe」として行われた[5]

グレフュール賞は、1915年から1919年の間、第一次世界大戦の影響で中止された。第二次世界大戦中の1943年から1945年は、ル・トランブレー競馬場(2150メートル)で代替開催された[6]

第一次世界大戦頃までは、牝馬の出走も一般的で、6頭が優勝している。このうちウニオン(Union、1909年優勝)とフラワーショップ(Flowershop、1920年優勝)は、後に仏オークス(ディアーヌ賞)に優勝した。(フラワーショップはフランス1000ギニーも勝っている。)現在も出走は可能だが、1937年にNicaが3着になったのを最後に、入着馬すら出ていない[3]

2005年のクラシック改編

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2005年にフランスの3歳クラシック路線の再編成が行われた。クラシック競走[注 1]のうち、リュパン賞が廃止、フランスダービーが2400メートルから2100メートルに短縮、パリ大賞典が2000メートルから2400メートルとなった。

これにあわせてグレフュール賞も、右回りのロンシャン競馬場から左回りのサンクルー競馬場に移り、距離も2000メートルに短縮された[3]

それ以来、グレフュール賞の勝馬からフランスダービーの優勝馬は出ていない。ただし、2011年のプールモワイギリスダービーを制している。

2018年より距離が2100メートルに戻された。

2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で6月に順延開催される。

2023年にはG3に格下げされた。

名称の由来

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グレフュール賞の名前は、馬種改良奨励協会(Société d'Encouragement)に長年貢献したアンリ・グレフュール(Henri Greffulhe、1815-1879)に由来している。グレフュール氏は、パリロンシャン競馬場の創設などに尽力した人物である。

記録

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歴代勝馬

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  • 勝ち馬のうち太字のものは、本競走後にフランスダービーに優勝したものを示す。
  • そのほか、フランスのクラシック競走(リュパン賞、パリ大賞典、ロワイヤルオーク賞)の優勝については備考欄に特記した。
  • 表中の「*」は日本輸入馬を示す。(多くは種牡馬だが、アップルツリーの様にジャパンカップ出走のため一時的に輸入されたものも含む。)

1979年以降

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施行年 優勝馬 父馬 開催地 距離 タイム 備考
1979年 G2 Le Marmot Amarko ロンシャン 2100m 2:25.20
1980年 G2 Providential Run The Gantlet ロンシャン 2100m 2:13.10
1981年 G2 The Wonder Wittgenstein ロンシャン 2100m 2:15.20 1997年の安田記念4着になったアマジックマンの父。
1位入線のノーリュートは禁止薬物が検出されたため失格となった。
1982年 G2 *ボアドグラース リュティエ ロンシャン 2100m 2:17.70 優勝馬は日本供用種牡馬。
1983年 G2 Dom Pasquini Rheffic ロンシャン 2100m 2:32.90
1984年 G2 ダルシャーン シャーリーハイツ ロンシャン 2100m 2:19.30
1985年 G2 *ムクター Nishapour ロンシャン 2100m 2:35.60
1986年 G2 Arokar Akarad ロンシャン 2100m 2:28.30
1987年 G2 Persifleur *リファーズウィッシュ ロンシャン 2100m 2:12.80
1988年 G2 Soft Machine フーリッシュプレジャー ロンシャン 2100m 2:13.70
1989年 G2 *アロングオール ミルリーフ ロンシャン 2100m 2:18.90
1990年 G2 Epervier Bleu Saint Cyrien ロンシャン 2100m 2:19.80 後にリュパン賞優勝。
1991年 G2 スワーヴダンサー グリーンダンサー ロンシャン 2100m 2:16.30
1992年 G2 *アップルツリー Bikala ロンシャン 2100m 2:14.70
1993年 G2 *ハンティングホーク サドラーズウェルズ ロンシャン 2100m 2:18.40
1994年 G2 *ティッカネン コジーン ロンシャン 2100m 2:14.50
1995年 G2 Diamond Mix Linamix ロンシャン 2100m 2:21.50
1996年 G2 Ragmar Tropular ロンシャン 2100m 2:10.60
1997年 G2 *パントレセレブル ヌレイエフ ロンシャン 2100m 2:14.00 後にパリ大賞典も優勝。
1998年 G2 *クロコルージュ レインボウクエスト ロンシャン 2100m 2:25.30 フランスダービーは2着。
1999年 G2 *モンジュー サドラーズウェルズ ロンシャン 2100m 2:20.10
2000年 G2 Rhenium Rainbows for Life ロンシャン 2100m 2:30.00
1位入線のAristotleが3位Boutronの進路を妨害して3着に降着したための繰上優勝。
2001年 G2 Maille Pistol Pistolet Bleu ロンシャン 2100m 2:28.50
2002年 G2 Act One インザウイングス ロンシャン 2100m 2:18.50 後にリュパン賞優勝。
2003年 G2 ダラカニ ダルシャーン ロンシャン 2100m 2:17.30 後にリュパン賞も優勝。
2004年 G2 Millemix Linamix ロンシャン 2100m 2:12.90
2005年 G2 Vatori Vettori サンクルー 2000m 2:08.20
2006年 G2 Visindar シンダール サンクルー 2000m 2:03.10
2007年 G2 Quest for Honor ハイエストオナー サンクルー 2000m 2:09.90
2008年 G2 Prospect Wells サドラーズウェルズ サンクルー 2000m 2:11.60
2009年 G2 Cutlass Bay ホーリング サンクルー 2000m 2:14.50
2010年 G2 Ice Blue ダンシリ サンクルー 2000m 2:07.80
2011年 G2 プールモワ *モンジュー サンクルー 2000m 2:03.20 同馬はイギリスダービーに出走し、優勝した。
2012年 G2 Kesampour キングズベスト サンクルー 2000m 2:09.40
2013年 G2 Ocovango サンクルー 2000m 2:06.96
2014年 G2 Prince Gibraltar サンクルー 2000m 2:13.56
2015年 G2 Sumbal サンクルー 2000m 2:13.04
2016年 G2 Cloth Of Stars サンクルー 2000m 2:03.70
2017年 G2 Recoletos サンクルー 2000m 2:13.97
2018年 G2 Study Of Man ディープインパクト サンクルー 2100m 2:19.29
2019年 G2 Roman Candle Le Havre サンクルー 2100m 2:12.55
2020年 G2 Gold Trip Outstrip リヨン 2200m 2:20.09
2021年 G2 Baby Rider サンクルー 2100m 2:10.12
2022年 G2 Onesto サンクルー 2100m 2:11.43
2023年[7] G3 Greenland Saxon Warrior サンクルー 2100m 2:17.86
2024年 G3 Wootton Verni サンクルー 2100m 2:14.79

1882年から1978年まで

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  • 1882: Clio
  • 1883: Farfadet
  • 1884: Serge
  • 1885: Palamede
  • 1886: Sauterelle
  • 1887: Brio
  • 1888: Bocage
  • 1889: Chopine
  • 1890: Cerbere
  • 1891: Reverend
  • 1892: Fra Angelico
  • 1893: Arkansas
  • 1894: Gospodar
  • 1895: Le Sagittaire
  • 1896: Montreuil
  • 1897: Palmiste
  • 1898: Le Roi Soleil
  • 1899: Tapis Vert
  • 1900: Cymbalier
  • 1901: Passaro
  • 1902: Maximum
  • 1903: Chatte Blanche
  • 1904: Monsieur Charvet
  • 1905: Genial
  • 1906: Brisecoeur
  • 1907: Kalisz
  • 1908: Kenilworth
  • 1909: Union
  • 1910: Nuage
  • 1911: Combourg
  • 1912: Patrick
  • 1913: ニンバス
  • 1914: Diderot
  • 1915–19: 中止
  • 1920: Flowershop
  • 1921: Tacite
  • 1922: Kefalin
  • 1923: Checkmate
  • 1924: Tapin / Nethou [注 2]
  • 1925: Belfonds
  • 1926: Asterus
  • 1927: Lusignan
  • 1928: Ivanoe
  • 1929: Verdi
  • 1930: Veloucreme
  • 1931: トウルビヨン
  • 1932: Sagace
  • 1933: Antenor
  • 1934: Maravedis
  • 1935: Mansur
  • 1936: ファスネー(Fastnet)
  • 1937: Samy
  • 1938: Cillas
  • 1939: Bacchus
  • 1940: Tresor
  • 1941: ルパシャen:Le Pacha
  • 1942: Arcot
  • 1943: Pensbury
  • 1944: アルダンen:Ardan
  • 1945: Mistral
  • 1946: プリンスシュヴァリエ(Prince Chevalier)
  • 1947: Chesterfield
  • 1948: Rigolo
  • 1949: アンビオリクス(en:Ambiorix
  • 1950: Scratch
  • 1951: シカンブル
  • 1952: Silnet
  • 1953: Marly Knowe
  • 1954: Major
  • 1955: en:Hafiz
  • 1956: Patras
  • 1957: Amber
  • 1958: Upstart
  • 1959: エルバジェ
  • 1960: Hautain
  • 1961: Devon
  • 1962: Whippoorwill
  • 1963: Le Mesnil
  • 1964: Free Ride
  • 1965: シーバード
  • 1966: Hauban
  • 1967: en:Roi Dagobert
  • 1968: *バルダスト
  • 1969: Prince Regent
  • 1970: Magic Hope
  • 1971: Rheffic
  • 1972: *サンシー
  • 1973: Roi Lear
  • 1974: Dankaro
  • 1975: Mariacci
  • 1976: Youth
  • 1977: Rex Magna
  • 1978: Naasiri

騎手

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3人の騎手がグレフュール賞を5回勝っている。

  • Roger Poincelet – Mistral (1945), Ambiorix (1949), Silnet (1952), Hafiz (1955), Le Mesnil (1963)
  • イヴ・サンマルタン– Roi Dagobert (1967), Val d'Aoste (1968), Dom Pasquini (1983), Darshaan (1984), Mouktar (1985)
  • キャッシュ・アスムッセン – Arokar (1986), Along All (1989), Suave Dancer (1991), Tikkanen (1994), Montjeu (1999)

調教師

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  • アンドレ・ファーブル - 10勝 - Along All (1989), Apple Tree (1992), Hunting Hawk (1993), Diamond Mix (1995), Peintre Celebre (1997), Visindar (2006), Quest for Honor (2007), Prospect Wells (2008), Cutlass Bay (2009), Pour Moi (2011)

馬主

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2人の馬主が7勝を挙げている。

  • マルセル・ブサック – Asterus (1926), Tourbillon (1931), Cillas (1938), Ardan (1944), Ambiorix (1949), Scratch (1950), Dankaro (1974)
  • アーガー・ハーン4世– Hafiz (1955), Naasiri (1978), Darshaan (1984), Mouktar (1985), Dalakhani (2003), Visindar (2006), Kesampour (2012)

脚注

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注釈

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  1. ^ ここではフランスの文献(『凱旋門賞の歴史』や『フランス競馬百年史』)にしたがい、リュパン賞やパリ大賞典も「クラシック競走」として扱った。
  2. ^ 1924年はデッドヒートによる同着優勝。

出典

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  1. ^ ICSC 2014 France2014年12月12日閲覧。
  2. ^ a b フランス・ギャロ「ノアイユ賞の歴史」2013年2月22日閲覧。
  3. ^ a b c d フランス・ギャロ「グレフュール賞の歴史」(2013年2月22日閲覧)より。
  4. ^ フランスギャロ、G1ムーランドロンシャン賞ら7重賞をセン馬に開放へ”. JRA-VAN (2019年7月10日). 2022年1月23日閲覧。
  5. ^ Courses au Bois du Boulogne(=ブローニュの森の競馬場※ロンシャン競馬場のこと) フランスの新聞La Presse誌、1882年4月22日の記事。2013年2月20日閲覧。
  6. ^ Résultats d'hier, au Tremblay、フランスのLe Matin誌の記事(1944年4月18日付)。2013年2月22日閲覧。
  7. ^ 2023年グレフュール賞レーシングポスト、2023年5月1日閲覧

参考文献

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  • 『凱旋門賞の歴史(第三巻)1965-1982』A・フィッツジェラルド・著、草野純・訳、競馬国際交流協会・刊、1997
  • 『フランス競馬百年史』ギイ・チボー・著、真田昌彦・訳、競馬国際交流協会・刊、2004

競走結果

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外部リンク

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