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アクアラング (ジェスロ・タルのアルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『アクアラング』
ジェスロ・タルスタジオ・アルバム
リリース
録音 ロンドン アイランド・スタジオ
ジャンル プログレッシブ・ロックハードロック
時間
レーベル イギリスの旗クリサリス・レコード/アイランド・レコード
アメリカ合衆国の旗リプリーズ・レコード
プロデュース イアン・アンダーソン、テリー・エリス
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 3位(ノルウェー[1]
  • 4位(イギリス[2]
  • 7位(アメリカ[3]
  • 72位(日本[4]
  • ゴールドディスク
    トリプル・プラチナ(RIAA
    ジェスロ・タル アルバム 年表
    ベネフィット
    (1970年)
    アクアラング
    (1971年)
    ジェラルドの汚れなき世界
    (1972年)
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    アクアラング』(Aqualung)は、イギリスプログレッシブ・ロックバンドジェスロ・タル1971年に発表した4作目のスタジオ・アルバム

    背景

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    1970年12月に初代ベーシストのグレン・コーニックが脱退し、イアン・アンダーソンの幼馴染であったジェフリー・ハモンドが後任として加入[5]

    本作のレコーディングは、1970年のクリスマス前後の3〜4週間で行われた[6]。アンダーソンは、レコーディングに使用されたアイランド・スタジオの音質に不満を持ち[6]、マーティン・バー[注釈 1]も後年「スタジオでは何もかもうまくいかなかったから、バンド・メンバーの間の緊張も高まって、レコーディングは本当に大変だったよ」と振り返っている[8]。「ロコモーティヴ・ブレス(蒸気機関車のあえぎ)」は、まずアンダーソンがバスドラムハイハットを録音し、それから他のパートをオーバー・ダビングするというプロセスでレコーディングされ、この曲ではクライヴ・バンカーはシンバルとタムを担当した[6]

    歌詞は宗教をテーマとしており、アンダーソン自身は否定しているが批評家からはコンセプト・アルバムとみなされることも多かった[9]

    反響

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    全英アルバムチャートでは23週チャート圏内に入り、最高4位を記録して4度目のトップ10入りを果たした[2]

    アメリカのBillboard 200では7位に達して、自身初の全米トップ10入りを果たし[3]、1971年7月にはRIAAによってゴールドディスクに認定され、リリースから18年後の1989年11月にはトリプル・プラチナの認定を受けている[10]。また、シングル「讃美歌43番」はBillboard Hot 100で91位を記録[3]

    ノルウェーのアルバム・チャートでは31週連続でトップ30入りし、うち4週にわたり3位を記録するヒットとなった[1]。また、2011年にはリマスターCDが再度チャート入りして35位を記録[1]。日本では本作で自身初のオリコンLPチャート入りを果たした[4]

    評価

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    Bruce Ederはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「ハードロックフォークのメロディと、信仰や宗教に関するイアン・アンダーソンの小難しい考察(組織的な宗教がいかに人間と神の関係を制限しているかというテーマが中心)を融合した、全米7位のヒット作にしては余りにも深遠なレコードで、何百万人ものロック・リスナーの耳に届いたアルバムとしては最も知的な作品の一つ」と評している[11]

    1971年7月22日付の『ローリング・ストーン』誌では、ベン・ガーソンが「音楽的才能は優れており、見事に構築された曲が多いとはいえ、このアルバムは決して突出しておらず、それどころか生真面目さによって台無しにされている」と批判的なレビューを執筆した[12]。しかし、後に同誌が選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では337位にランク・インしている[13]

    マーティン・バーによるタイトル曲のギター・ソロは、『ギター・ワールド』誌が選出した「100グレイテスト・ギター・ソロ」で25位にランク・インした[14]。バー本人によれば、このソロはワン・テイクで録音された即興で、「もしうまくいかなかったら、このスペースはフルート・ソロになるところだったから、あのソロがうまくいったのは私にとってラッキーだった」と語っている[8]

    収録曲

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    特記なき楽曲はイアン・アンダーソン作。

    1. アクアラング "Aqualung" (Ian Anderson, Jennie Anderson) – 6:35
    2. クロス・アイド・マリー "Cross-Eyed Mary" – 4:08
    3. 失意の日は繰り返す(チープ・デイ・リターン) "Cheap Day Return" – 1:22
    4. マザー・グース "Mother Goose" – 3:51
    5. 驚嘆(ワンダリング・アラウド) "Wond'ring Aloud" – 1:53
    6. アップ・トゥ・ミー "Up to Me" – 3:13
    7. マイ・ゴッド "My God" – 7:10
    8. 讃美歌43番 "Hymn 43" – 3:17
    9. 後流(スリップストリーム) "Slipstream" – 1:11
    10. 蒸気機関車のあえぎ(ロコモーティヴ・ブレス) "Locomotive Breath" – 4:24
    11. 終末(ワインド・アップ) "Wind-Up" – 6:05

    リマスターCDボーナス・トラック

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    1. リック・ユア・フィンガーズ・クリーン "Lick Your Fingers Clean" – 2:44
    2. 終末(ワインド・アップ/クォッド・ヴァージョン) "Wind Up" – 5:22
    3. イアン・アンダーソン・インタヴュー(抄録) "Excerpts from the Ian Anderson Interview" – 13:54
    4. ジェフリーへ捧げし歌(BBCセッションズ) "A Song for Jeffrey" – 2:49
    5. ファット・マン(BBCセッションズ) "Fat Man" – 2:54
    6. ブーレ(BBCセッションズ) "Bourée" (I. Anderson, Johann Sebastian Bach) – 3:58

    他メディアでの使用例

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    収録曲「ロコモーティヴ・ブレス」は、『ジュマンジ』(1995年公開)[15]、『ビューティフル・ガールズ』(1996年公開)[16]、『サルバドールの朝』(2006年公開)[17]といった映画のサウンドトラックで使用された。また、『ムーンライト・マイル』(2002年公開)では本作から「アクアラング」と「讃美歌43番」の2曲が使用され[18]、「アクアラング」は『華氏911』(2004年公開)[19]、『グッバイ・キス-裏切りの銃弾-』(2006年公開)[20]でも使用された。

    カヴァー

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    参加ミュージシャン

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    アディショナル・ミュージシャン

    脚注

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    注釈

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    1. ^ フランス系をルーツとし姓の表記は“Barre”のため、日本では“バレ”と読まれることも多いが、イギリス人であり“バー”と発音するのが正しい[7]

    出典

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    1. ^ a b c norwegiancharts.com norwegiancharts.com - Jethro Tull - Aqualung
    2. ^ a b JETHRO TULL | Official Charts Company - 「Albums」をクリックすれば表示される
    3. ^ a b c Jethro Tull - Awards”. AllMusic. 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月17日閲覧。
    4. ^ a b 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.160
    5. ^ Eder, Bruce. “Jethro Tull Biography”. AllMusic. 2015年6月23日閲覧。
    6. ^ a b c リマスターCD(WPCR-80068)収録のインタビュー(訳:ブーシェ晃子)参照
    7. ^ マーティン・バー、ジェスロ・タルのデビュー50周年を祝うライヴ作を発表【前編】”. 2021年3月31日閲覧。
    8. ^ a b Lalaina, Joe (2013年1月15日). “Dear Guitar Hero: Jethro Tull Guitarist Martin Barre”. Guitar World. NewBay Media. 2015年6月23日閲覧。
    9. ^ Murray, Noel (2012年11月28日). “Thick As A Brick and the Pleasures of the very, very, very long song”. A.V. Club. Onion Inc.. 2015年6月23日閲覧。
    10. ^ RIAA公式サイト内SEARCHABLE DATABASE - "AQUALUNG"と入力して検索し、"JETHRO TULL"のアイコンをクリックすれば表示される
    11. ^ Eder, Bruce. “Aqualung - Jethro Tull”. AllMusic. 2015年6月23日閲覧。
    12. ^ Gerson, Ben. “Jethro Tull Aqualung Album Review”. Rolling Stone. 2015年6月23日閲覧。
    13. ^ Jethro Tull, 'Aqualung' - 500 Greatest Albums of All Time”. Rolling Stone. 2015年6月23日閲覧。
    14. ^ 100 Greatest Guitar Solos: No. 25 "Aqualung" (Martin Barre)”. Guitar World. NewBay Media. 2015年6月23日閲覧。
    15. ^ Jumanji (1995) - Soundtracks - IMDb
    16. ^ Beautiful Girls (1996) - Soundtracks - IMDb
    17. ^ Salvador (Puig Antich) (2006) - Soundtracks - IMDb
    18. ^ Moonlight Mile (2002) - Soundtracks - IMDb
    19. ^ Fahrenheit 9/11 (2004) - Soundtracks - IMDb
    20. ^ Arrivederci amore, ciao (2006) - Soundtracks - IMDb
    21. ^ Iron Maiden - The Trooper (Vinyl) at Discogs
    22. ^ Huey, Steve. “Coverkill - Overkill”. AllMusic. 2015年6月23日閲覧。
    23. ^ W.A.S.P. - Mean Man (Vinyl) at Discogs
    24. ^ Theakston, Rob. “Big Bang Theory - Styx”. AllMusic. 2015年6月23日閲覧。

    外部リンク

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