X.com(エックスドットコム)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州パロアルトに存在したオンライン銀行である。 1999年イーロン・マスクらによってに設立された。

X.com
元の種類
非公開会社
業種 銀行
後継 PayPal
設立 1999年3月 (25年前) (1999-03)
創業者
解散 2000年3月 (24年前) (2000-03)
本社

2000年3月に競合だったコンフィニティと合併し、2001年6月にコンフィニティが当時開発したPayPalをそのまま社名とした[1]

概要

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X.comはオンライン銀行の一つで、銀行預金は連邦預金保険公社 (FDIC) に委託していた[2]。設立当初はマスク自身と、彼のビジネス・メンターでのちにマスクが創業するテスラ社SpaceX社の資金調達をしたグレッグ・クーリから融資を受けた[3]

既存の金融サービスは多くの紙や人員などを必要としていたが、そこで発生していた手数料、当座借越に対する制裁(ペナルティ)がX.comには無かった。紹介制度があり報酬として20ドルのキャッシュカード、新規会員には10ドルのカードが贈られ、当時としては画期的なサービスであった。オンラインのみで口座開設することが可能で、電子メールで他者に送金できるため、小切手郵送する必要が無かった[4]

歴史

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2000年3月にX.comは最大のライバルであったコンフィニティ社と合併し、その後もX.comの名前を維持した。マスクは当時最大の株式保有者であったため、CEOとして選抜される。1999年にコンフィニティのサービスであったPayPalは、ユーザーがPalmPilotの赤外線通信で送金することを可能にした。のちにPayPalは電子メールやウェブで送金を可能にする新機能を開発している。

マスクはX.comの名称を気に入っていたが、市場調査ではX.comよりPayPalの名称のほうが好感度が高いことが判明した[5]

2000年9月にマスクは、コンフィニティの共同創業者であるピーター・ティールにCEOの座を奪われた。2001年6月にX.comはPayPalへ名前を変更した[6]

マスクはその後もXに執着があり、自身の設立した新会社にSpaceXと名付けるなどしている[5]

ドメイン名

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X.comは元来銀行の名前であり、ドメイン名でもある。

ドメインとしてのx.comはピッツバーグ・パワーコンピュータの創業者であるマーセル・デパオリスとデイヴ・ワインスティーンが会社用に取得し、1999年初頭にマスクがと現金で買い取った。マスクはすべての金融サービスを提供する会社を作ることを目標にしており、それには「X.com」という名前が最もふさわしいと考えた[7]

2017年7月5日、マスクは再びPayPalからドメインx.comを買い戻し[8][9]、自身の運営する企業であるボーリング・カンパニーウェブサイト転送(リダイレクト)させることで有効活用したが、これは帽子を売るための宣伝目的であった[10]。マスクはこのドメイン購入を「感情的に大きな価値があるため」と説明している[11]

2023年7月23日からソーシャル・ネットワーキング・サービスX(旧:Twitter)で運用した。2024年5月17日から、twitter.comにアクセスしてもx.comに転送する処置がとられた[12][13]

脚注

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  1. ^ Doeden, Matt (2015-03-01) (英語). SpaceX and Tesla Motors Engineer Elon Musk. Lerner Publications. ISBN 9781467762809. https://books.google.com/?id=dyVTBgAAQBAJ&pg=PA13&dq=x.com musk#v=onepage&q=x.com musk&f=false 
  2. ^ Vance, Ashlee (2015-05-21) (英語). Elon Musk: How the Billionaire CEO of SpaceX and Tesla is Shaping our Future. Ebury Publishing. ISBN 9780753550663. https://books.google.com/?id=_LFSBgAAQBAJ&pg=PA86&dq=x.com musk#v=snippet&q=x.com &f=false 
  3. ^ Hull, Dana (2012年8月13日). “Greg Kouri, early investor in PayPal, dies in New York”. Mercury News. 2018年10月23日閲覧。
  4. ^ Craig Tolliver: “X.com opens its virtual doors” (英語). MarketWatch英語版 (1999年2月10日). 2024年11月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年11月19日閲覧。
  5. ^ a b 【Xの嫌な感じの正体】イーロン・マスクがツイッター改名に執着する「本当の理由」、ダイヤモンド・オンライン、2023年7月26日。
  6. ^ Publishing, BusinessNews (2016-07-20) (英語). Summary: Elon Musk: Review and Analysis of Vance's Book. Business Book Summaries. ISBN 9782511040959. https://books.google.com/?id=Dda0DAAAQBAJ&pg=PA12&dq=x.com musk#v=onepage&q=x.com musk&f=false 
  7. ^ ジミー・ソニ、櫻井祐子: “[イーロン・マスクが考えた「一番カッコいいURL」の名前とは?”. ダイヤモンド・オンライン (2023年5月13日). 2023年7月26日閲覧。
  8. ^ What mysterious plan does Elon Musk have for X.com?”. Mashable. 11 July 2017閲覧。
  9. ^ Elon Musk just bought x.com, but it probably didn't come cheap”. Quartz. 11 July 2017閲覧。
  10. ^ Iles, James (Dec 11, 2017). “Elon Musk Finally Puts X.com to Some Use” (英語). NamePros. https://www.namepros.com/blog/elon-musk-finally-puts-x-com-to-some-use.1054256/ 2018年1月2日閲覧。 
  11. ^ Musk, Elon (10 Jul 2017). “Thanks PayPal for allowing me to buy back http://X.com ! No plans right now, but it has great sentimental value to me.” (英語). @elonmusk. 2018年1月2日閲覧。
  12. ^ Brian Bushard: “イーロン・マスク、青い鳥のロゴ変更へ 「X.com」をツイッターに転送”. フォーブス (2023年7月24日). 2024年11月17日閲覧。
  13. ^ 「XのURLが変更される予定です」──「twitter.com」が「x.com」にリダイレクトされる仕様に”. ITmedia NEWS. ITmedia (2024年5月17日). 2024年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月17日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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