VUメーター
VUメーター(ブイユーメーター、VU Meter)とは音響機器に於いて音量感を指示するための測定器である。1939年にベル研究所及びCBS、NBCにより通信線路の基準レベルを監視するために開発された。VUとは英語のvolume unit(音量の単位)のこと。
開発当時の定義
編集インピーダンス600 Ωの負荷回路へ1 kHzの正弦波を加えて1 mWの電力を消費したときの出力電圧を0 dBmとし、 4 dBmを0 VUとするが、業界によってちがう。
VUメーターの指示範囲は-20から 3で単位はdBである。(変動する)信号電圧に対し針が指示値に位置するまでの所要時間は300 msecである。この遅れは原理的に電圧の最大値(いわゆるピークレベル)を示せないことを意味し、連続した正弦波を加えた場合は(そのピークレベルを示さず)ほぼ平均値に等しい値を指示する。
VUメーターの規格
編集VUメーターに関する規格として ANSI C16.5-1942, British Standards BS 6840, そしてIEC 60268-17がある。かつて日本にもJIS C 1504-1976があったが、1993年に廃止された。
VUメーターの特性
編集VUメーターは、定義では特性インピーダンス600 Ωの音声周波信号を扱う伝送路において、音声信号のレベルを、新たに設けたVU[注記 1](Volume Unit[1])という単位で指示するための音量計である[2]。 VUは、以下のようになる。
目盛り表記(VU) | 入力電圧(dBm)[注記 2] | 許容差(db) |
---|---|---|
-20 | -16 | - |
-10 | -6 | ±0.6 |
-7 | -3 | ±0.5 |
-5 | -1 | ±0.4 |
-3 | 1 | ±0.3 |
-2 | 2 | ±0.2 |
-1 | 3 | |
0 | 4 | |
1 | 5 | |
2 | 6 | |
3 | 7 |
VUメーターは、全波整流器付きの電圧計、特性インピーダンスが一定になるような可変アッテネーター、外部直列抵抗の3つの構成要素から作られている[4]。
VUメーターの特性インピーダンスは7500 Ω±3%が望ましい[5][注記 3]
VUメーターの指示範囲は-20 VUから 3 VUである。無信号のあと、0 VUにあたる1 KHz正弦波信号を入力した場合、針が0 VUの99%の点を通過するまでの時間は300 ms、誤差±30 msである。針は必ず0 VUの点を超え、最低でも1%を超え、しかし最高でも1.5%に達しないオーバーシュートを発生する[5][7]。 戻り時間は応答速度と大きく違わないこととする[8]。
脚注
編集注記
編集- ^ ヴィー・ユーと発音する。なお、IEC 60268−17 ed.1.0ではvuは小文字で書くよう指定されているが、JIS C 1504-1976では"VUメーター"のように大文字となっている。
- ^ 入力電圧(dBm)は600 Ωに対する1 mWを示す電圧(0.775 V)を0 dbとしたもの。なお値はdBu(dBv)と同じであるが、こちらは600 Ω1 mWとは直接結びつかない、電圧のレベル表現である。デシベル#絶対量としてのデシベル
- ^ JIS 1504-1976では外部直列抵抗(3600 Ω)を除いたメーターの特性インピーダンスが3900 Ω±200 Ωと規定されている[6]。
参照
編集- ^ IEC 1990, § 1.
- ^ 日本規格協会 1976, § 1.
- ^ 日本規格協会 1976, § 表1.
- ^ IEC 1990, § 2.2.
- ^ a b IEC 1990, § 12.
- ^ 日本規格協会 1976, § 6.3.
- ^ 日本規格協会 1976, § 6.1.
- ^ IEC 1990, § 10.
参考文献
編集- International Electrotechnical Commision (1990年9月). IEC 60268-17 (Report) (1 ed.).
- 日本規格協会 (1976年). C 1506-1976 (Report).