TensorFlow
TensorFlow(テンソルフロー、テンサーフロー)とは、Googleが開発しオープンソースで公開している、機械学習に用いるためのソフトウェアライブラリである。
開発元 | Google, Yuan Tang, Arm[1] |
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初版 | 2015年11月9日 |
最新版 | 2.18.0[2] - 2024年10月24日 [±] |
リポジトリ | |
プログラミング 言語 | |
対応OS | |
種別 | 機械学習ライブラリ |
ライセンス | Apache License 2.0 |
公式サイト |
tensorflow |
概要
編集機械学習や数値解析、ニューラルネットワーク(ディープラーニング)に対応しており、GoogleとDeepMindの各種サービスなどでも広く活用されている。
2015年11月9日にベータ版がApache 2.0 open source licenseの下で公開され[3]、2017年2月15日には正式版となるTensorFlow 1.0がリリースされた[4][5]。
TensorFlowは元々、Google内部での使用のためにGoogle Brainチームによって開発された[6][3]。開発された目的は、人間が用いる学習や論理的思考と似たように、パターンや相関を検出し解釈するニューラルネットワークを構築、訓練することができるシステムのための要求を満たすためである[7]。現在は、Googleのサービスの研究と生産に使用されており、以前に使用されていたクローズドソースのDistBeliefの役割をほぼ置き換えている[7]:min 0:15/2:17 [8]:p.2 [7]:0:26/2:17。AIにも詳しいルーカス・ビーワルドは、GoogleはTensorFlowのコードをオープンソースにした事で、AIの真の価値はAIの「エンジン」ではなく、AIを賢くするのに必要な「データ」である事を示したと語った。そのためGoogleは「データ」の部分は公開しないだろうと述べた[9]。
対応プログラミング言語はC言語、C 、Python、Java、Go[10]。 対応OSは64ビットのLinux(ただしバイナリ配布はUbuntu用)、macOS、Windows[11]。ハードウェアは CPU[12]、NVIDIA GPU[12]、Google TPU[13]、Snapdragon Hexagon DSP[14] などに対応していて、Android Neural Networks API 経由で Android 端末のハードウェアアクセラレータも使用できる[15]。「Google Colaboratory」でも使える。
また、TensorFlowベースの強化学習フレームワーク「Dopamine」もオープンソースとなっている。
インテルCPU向け
編集インテルCPU 用の Intel Math Kernel Library ではディープラーニング用の最適化が実装されており、これを TensorFlow から利用できるようにしたものをインテルが配布している[16][17]。Anaconda などのディストリビューションでもこちらが採用されていて、pip で配布している物と比べて ResNet-50 が8.6倍高速に学習する[18]。
モバイル機器向け
編集モバイル機器向けは TensorFlow for Mobile と TensorFlow Lite の2種類がある[19]。Android、iOS、Raspberry Pi 向けのコードも GitHub 上で公開されている[20]。TensorFlow Lite は2017年11月14日に Google より公開された[21][22]。
Eager Execution for TensorFlow
編集当初のTensorFlowはニューラルネットワークの計算を表現した計算グラフを学習の前にあらかじめ構築する「Define-and-Run」という方式を取っていたが、2018年に公開された新しい機能である「Eager Execution for TensorFlow」はPreferred Networksのディープラーニングフレームワーク「Chainer」などで採用されている、計算の実行時に計算グラフが定義される「Define-by-Run」という方式を取っている[23][24]。
応用
編集以下のような用途に利用可能[25]。
「CeBIT 2017」における展示
編集2017年3月20日から24日にかけてドイツ・ハノーファーで行われた国際情報通信技術見本市「CeBIT 2017」にて、Googleの日本法人がTensorFlowの採用事例として「から揚げ配膳ロボット」、「きゅうり仕分けロボット」、「ドローンで撮影した写真の解析」の3点を展示した[29]。
脚注
編集- ^ “tensorflow/AUTHORS at master · tensorflow/tensorflow”. December 23, 2024閲覧。
- ^ "Release 2.18.0"; 閲覧日: 2024年10月27日; 出版日: 2024年10月24日.
- ^ a b “Google Just Open Sourced TensorFlow, Its Artificial Intelligence Engine”. Wired (November 9, 2015). 10 November 2015閲覧。
- ^ “Google、機械学習ライブラリ「TensorFlow 1.0」正式版を初リリース”. Internet watch (2017年2月16日). 2017年2月16日閲覧。
- ^ “Announcing TensorFlow 1.0”. Google Research Blog (2017年2月15日). 2017年2月16日閲覧。
- ^ “Credits”. TensorFlow.org. 10 November 2015閲覧。
- ^ a b c "TensorFlow: Open source machine learning" "It is machine learning software being used for various kinds of perceptual and language understanding tasks" — Jeffrey Dean, minute 0:47 / 2:17 from Youtube clip
- ^ “TensorFlow: Large-scale machine learning on heterogeneous systems”. TensorFlow.org. Google Research (November 9, 2015). 10 November 2015閲覧。
- ^ “グーグルは、なぜAIエンジンをオープンソース化したのか?”. WIRED.jp (2015年12月5日). 2017年11月27日閲覧。
- ^ “Basic Usage”. TensorFlow. 2016年8月12日閲覧。
- ^ Installing TensorFlow | TensorFlow
- ^ a b Installing TensorFlow on Ubuntu | TensorFlow
- ^ An in-depth look at Google’s first Tensor Processing Unit (TPU) | Google Cloud Big Data and Machine Learning Blog | Google Cloud Platform
- ^ TensorFlow machine learning now optimized for the Snapdragon 835 and Hexagon 682 DSP | Qualcomm
- ^ Introduction to TensorFlow Lite | TensorFlow
- ^ TensorFlow* Optimizations on Modern Intel® Architecture | Intel® Software
- ^ Intel Optimized Tensorflow Wheel Now Available | Intel® Software
- ^ TensorFlow in Anaconda - Anaconda
- ^ Overview | TensorFlow
- ^ “Mobile TensorFlow”. TensorFlow. 2016年8月13日閲覧。
- ^ “グーグル、「TensorFlow Lite」開発者プレビュー発表--モバイルや組み込み端末向け”. ZDNet Japan (2017年11月16日). 2017年11月26日閲覧。
- ^ “「機械学習オン・ザ・ゴー」の時代 Googleの「TensorFlow Lite」公開”. クラウド Watch (2017年11月20日). 2017年11月26日閲覧。
- ^ 中田敦 (2018年5月23日). “日本企業が生み出した深層学習Chainer、フェイスブックやグーグルが認める”. Nikkei Business Publications. 2018年10月28日閲覧。
- ^ “Google、オープンソース機械学習ライブラリの最新版「TensorFlow 1.5」を発表”. アイティメディア (2018年1月30日). 2018年10月28日閲覧。
- ^ “米Google発のAIオープンソース「TensorFlow」を使ったデータ分析支援を8月に提供開始”. @Press. 2016年8月12日閲覧。
- ^ “Comma.ai、高速道路自動走行のデータをオープンソースで公開―低価格の自動運転車に道”. TechCrunch Japan. 2016年8月15日閲覧。
- ^ “マリオカート64の全自動走行をGoogleの機械学習ライブラリ「TensorFlow」でやってみたムービー”. GIGAZINE (2017年1月11日). 2017年11月26日閲覧。
- ^ “TensorFlow×マリオカートでキノコカップ優勝も可能なリカレントニューラルネットワーク「MariFlow」を開発”. GIGAZINE (2017年11月6日). 2017年11月26日閲覧。
- ^ “「TensorFlow」でから揚げ配膳ときゅうりの仕分けを自動化、Googleがアピール”. MONOist (2017年3月28日). 2017年11月26日閲覧。
- ^ “TensorFlowでキュウリの選別・仕分けを学習する”. Dylan Raithel、笹井 崇司(翻訳) (2016年9月14日). 2017年11月27日閲覧。
- ^ “キュウリ農家とディープラーニングをつなぐ TensorFlow”. 佐藤一憲 (2016年8月5日). 2017年11月27日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- TensorFlow (@tensorflow) - X(旧Twitter)