第一次戦略兵器削減条約

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第一次戦略兵器削減条約(だいいちじせんりゃくへいきさくげんじょうやく、: Strategic Arms Reduction TreatySTART I)は、1991年7月にアメリカソ連との間に結ばれた核兵器軍縮条約の一つである。

第一次戦略兵器削減条約
: Strategic Arms Reduction Treaty
START I 調印式におけるアメリカ大統領のブッシュ(左)とソ連大統領のゴルバチョフ(右)、モスクワ・クレムリン
通称・略称 START I
署名 1991年7月
署名場所 モスクワ
発効 1994年12月
失効 2009年12月5日
締約国 アメリカソ連
主な内容 核兵器軍縮条約
関連条約 新戦略兵器削減条約
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概要

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第一次戦略兵器削減条約は、米ソ両国の間で1982年にSTART(STrategic Arms Reduction Talks、戦略兵器削減交渉)として開始された交渉の中で結ばれた。 なお、1987年には同様の軍縮条約としてINF全廃条約が調印されている。

条約の交渉は、ソ連がアフガニスタンに侵攻(1979年)したことで再び過熱した新冷戦が、1985年頃緩和したことに伴って促進され、1991年7月31日モスクワクレムリンアメリカ大統領ジョージ・H・W・ブッシュソ連大統領ミハイル・ゴルバチョフとの間で調印された。米ソは保有する戦略核弾頭数の上限を6,000発、ICBMSLBM爆撃機など戦略核兵器の運搬手段の総計を1,600機に削減されることとなった。さらに、弾道ミサイルへ装着した核弾頭数も4,900発に制限された。条約履行の確認のために査察・監視も条約に盛り込まれている。これらは条約発効後7年で達成されるとした。

調印後

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ソ連の崩壊に伴い、条約の継承国はアメリカとロシアウクライナベラルーシカザフスタンになった。条約の批准は、ソ連崩壊により1994年まで遅延した。旧ソ連の核弾頭については、ベラルーシなどからロシアに移送され、ロシアが解体を行った。

米露両国は2001年12月、弾頭数の削減が終了したことを宣言している。

1994年12月に発効したSTART Iは15年間有効であり、遅くとも失効する前年までに延長するかどうかの会合を行うこととなっていた。2007年7月、米露両国は2009年以降の核軍縮について交渉を始めると発表した。

2009年12月グリニッジ標準時5日午前0時(日本時間同日午前9時)、START Iは次の条約を締結することなく失効したとされたものの、2003年発効のモスクワ条約(SORT)第2条において、START条約の条項が引き続き有効である事が米ソ両国において確認された[1]

2010年4月、新戦略兵器削減条約が調印。

条約の内容

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一覧表

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米ソ両国は、下記の条件に基づき各種兵器をそれぞれの数の核弾頭として計算し、条約発効後7年以内に核弾頭保有総数6000発を超えない様削減するものとされた[2]

核運搬手段 定 義 保有制限数
(核弾頭としての換算式)
具体例
(条約締結時)
備考
ICBM
及びSLBM
(1) ICBM…射程5500㎞以上の弾道弾[3]
(2) SLBM…潜水艦から発射される射程600㎞以上の弾道弾[4]
(1) 再突入体1基を1発の核弾頭に換算する
(2) 条約署名時に配備済のICBM、SLBM搭載弾頭数については本条約「了解覚書[5]」に指定された数とする。
(3) 条約署名後に配備されたICBM、SLBMの弾頭数については、発射試験時の再突入体の最大搭載数とする。
(4) 根本的に新しい弾頭機構を持つICBM、SLBMについては、最大投射可能重量の40%を、最も軽量な再突入体の重量で割った結果の最も小さい整数以上を弾頭数とする[6]
リスト[7]
重爆撃機 ・下記(a)又は(b)の両方又はいずれかを満たす爆撃機[8]
(a) 航続距離8000㎞以上[9]
(b) 長距離核ALCM(空中発射核巡航ミサイル)[10][11]を運用可能
・アメリカ合衆国
(1) 重爆撃機150機までは1機あたり10発の核弾頭にカウントする[12]
(2) 150機を超える場合、超過分は実際に搭載可能な長距離核ALCM数に基づいて保有核弾頭数に加算する[13]
・ソビエト連邦
(1) 重爆撃機180機までは1機あたり8発の核弾頭にカウントする。
(2) 180機を超える場合、超過分は実際に搭載可能な長距離核ALCM数に基づいて保有核弾頭数に加算する。
・共 通
特定の例外を除き、定義(a)を満たすが(b)を満たさない重爆撃機は、1機あたり1発の核弾頭と換算する。
・重爆撃機[14]
米国B-52、B-1、B-2、ソ連Tu-95、Tu-160
・長距離核ALCM
米国AGM-86BAGM-129、ソ連AS-15A、AS-15B( RKV-500A およびRKV-500B)
(1) 一定の手続きに基づき空中給油機、偵察機、電子戦機等に改造された旧重爆撃機は核弾頭にカウントされない。
(2) 条約締結時の10年前の時点で配備されていた重爆撃機は、一定の手続きの元で核弾頭としてカウントされない非核重爆撃機として改造できる。
(3) 長距離核巡航ミサイルを装備せず、その他一定の条件で海上作戦専用機として配備された物は重爆撃機としてカウントされない。

条約各用語の細部定義については条約付属書「定義[15]」、条文の解説・補足については「条約本文の分析[16]」に基づく

脚注

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  1. ^ Treaty Between the United States of America and the Russian Federation on Strategic Offensive Reductions
  2. ^ Treaty 1991.
  3. ^ ICBMの定義
  4. ^ SLBMの定義
  5. ^ SUBJECT: NOTIFICATION OF UPDATED DATA IN THE MEMORANDUM OF UNDERSTANDING,AFTER THE EXPIRATION OF EACH SIX-MONTH PERIOD
  6. ^ ICBMで発射可能な重量が10トンで再突入体が0.3トンの場合、10×0.4÷0.3=13.333…→14発の核弾頭に換算する。「40%ルール」とされる。
  7. ^ ICBM、SLBMの具体例リスト
  8. ^ 重爆撃機の定義
  9. ^ 燃料満載かつ7.5トンの武装を搭載した状態で、空中給油無しで最大効率で飛行し着陸するまでの最大距離
  10. ^ 長距離核空中発射巡航ミサイルの定義
  11. ^ 最大射程600㎞以上の核搭載型の空中発射式の核搭載巡航ミサイル
  12. ^ 重爆撃機150機×10発の長距離ALCMを搭載=1500発の核弾頭と換算
  13. ^ 例えば151機目と指定されたB-52Hの場合、最大20発の長距離核ALCMを搭載可能なため、1機あたり20発の核弾頭と換算する
  14. ^ 重爆撃機・長距離核ALCMの具体例
  15. ^ DEFINITIONS ANNEX
  16. ^ ARTICLE-BY-ARTICLE ANALYSIS OF THE TREATY TEXT

関連項目

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参考文献

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外部リンク

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