MLBドラフト全体1位指名選手

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MLBドラフト全体1位指名選手(MLBドラフトぜんたい1いしめいせんしゅ)とは、MLBドラフト会議で最初に指名された選手を指す。会議はテレビやネットなどで中継され、読み上げられた選手は報道などにより一躍有名になり、将来のスーパースターとして期待される[1]

史上初の全体1位指名選手のリック・マンデイ
1987年のMLBドラフト全体1位指名のケン・グリフィー・ジュニアは、2016年に全体1位指名選手で初めてアメリカ野球殿堂入りを果たした。

ドラフト会議

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MLBドラフト会議 (First-Year Player Draft) は、ルール4ドラフト (Rule 4 Draft) とも呼ばれ、高校大学独立リーグなどのアマチュア野球選手を対象にしたMLBの新人選手選択会議である。

  • そもそもMLBドラフトは資金力のある球団が契約金額を高騰させ、有望な選手を独占するのを防ぐため、1965年から行われている制度[2]
  • ドラフト会議 (MLB)では、一度に100人以上も指名する球団もある。

ドラフト指名順位は、前年のチーム成績によって決まる。 最も成績の悪いチームが最初に指名できる。前年のシーズン終了後にフリーエージェント(FA)で選手が移籍した場合、補償としてドラフト指名権が譲渡される場合がある[3]

なお、MLBはNFLNBAと異なり、ドラフト指名選手のトレードは認められていない[4]日本野球機構ドラフト会議では完全ウェーバー方式ではないため、全体1位指名選手は発生し得ない。

歴史

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1965年

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初の全体1位指名選手は、1965年にカンザスシティ・アスレチックスから指名されたリック・マンデイである。当時としては破格の10万4000ドルの契約金で入団し、MLB通算1619安打・241本塁打の成績を残した。シカゴ・カブス在籍時代の1976年にはドジャー・スタジアムのグラウンド内に乱入し、星条旗を燃やそうとした2人のファンからその星条旗を奪い取ったことで国民的英雄になった[1]

1971年

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1971年の高校3年時に捕手シカゴ・ホワイトソックスから全体1位指名を受けたダニー・グッドウィンは契約条件が悪いためにプロ入りを拒否した。その4年後の1975年の大学4年時に今度はカリフォルニア・エンゼルスから指名されてプロ入り。スカウト達から「ジョニー・ベンチの再来」と高く評価されていた[1]。ところが、MLBでは主に指名打者として通算で252試合に出場したのみで、捕手としては出場機会が全く無かった。150安打(打率は.236)・13本塁打・OPS.678と全くの期待外れに終わった。現役最終年には日本の南海ホークスでプレーしている。

1973年

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1973年テキサス・レンジャーズから全体1位指名を受けたデビッド・クライドは地元テキサス州の高校時代に大旋風を巻き起こした。高校3年の時は防御率0.18・18勝0敗・148回を投げて328奪三振という驚異的な成績を残した。1973年6月27日に18歳の左腕がいきなり先発投手でMLBデビュー。1972年にチームが首都ワシントンD.C.から本拠地を移転させて以来、初めてチケットが完売。デビュー戦は5回1安打に抑える好投で勝利投手になった。しかし、その後は肩の故障に悩まされて、MLB通算18勝33敗という成績しか残せず、ユニフォームを脱いだ[1]

備考

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指名選手

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年度 選手 球団 ポジション 学校
1965 リック・マンデイ カンザスシティ・アスレチックス 外野手 アリゾナ州立大学
1966 スティーブ・チルコット※1 ニューヨーク・メッツ 捕手 アンテロープ・バレー高等学校英語版
1967 ロン・ブロムバーグ英語版 ニューヨーク・ヤンキース 一塁手 ドルイドヒルズ高等学校英語版
1968 ティム・フォーリ英語版 ニューヨーク・メッツ 遊撃手 ノートルダム高等学校英語版
1969 ジェフ・バロウズ ワシントン・セネターズ 外野手 ウッドロウ・ウィルソン・クラシカル高等学校英語版
1970 マイク・アイビー英語版 サンディエゴ・パドレス 捕手 ウォーカー高等学校英語版
1971 ダニー・グッドウィン※2 シカゴ・ホワイトソックス 捕手 ピオリア高等学校英語版
1972 デーブ・ロバーツ英語版 サンディエゴ・パドレス 三塁手 オレゴン大学
1973 デビッド・クライド テキサス・レンジャーズ 投手 ウェストチェスター国際学院英語版
1974 ビル・アーモン英語版 サンディエゴ・パドレス 遊撃手 ブラウン大学
1975 ダニー・グッドウィン カリフォルニア・エンゼルス 捕手 サザン大学英語版
1976 フロイド・バニスター ヒューストン・アストロズ 投手 アリゾナ州立大学
1977 ハロルド・ベインズ シカゴ・ホワイトソックス 外野手 セント・マイケルズ高等学校英語版
1978 ボブ・ホーナー アトランタ・ブレーブス 三塁手 アリゾナ州立大学
1979 アル・チェインバーズ シアトル・マリナーズ 外野手 ジョン・ハリス高等学校
1980 ダリル・ストロベリー ニューヨーク・メッツ 外野手 クレンショウ高等学校英語版
1981 マイク・ムーア シアトル・マリナーズ 投手 オーラル・ロバーツ大学英語版
1982 ショーン・ダンストン シカゴ・カブス 遊撃手 トーマス・ジェファーソン高等学校
1983 ティム・ベルチャー※2 ミネソタ・ツインズ 投手 マウント・バーノン・ナザレン大学英語版
1984 ショーン・エイブナー ニューヨーク・メッツ 外野手 メカニクスバーグ高等学校英語版
1985 B.J.サーホフ ミルウォーキー・ブルワーズ 捕手 ノースカロライナ大学チャペルヒル校
1986 ジェフ・キング ピッツバーグ・パイレーツ 三塁手 アーカンソー大学
1987 ケン・グリフィーJr. シアトル・マリナーズ 外野手 モーラー高等学校英語版
1988 アンディ・ベネス サンディエゴ・パドレス 投手 エバンズビル大学英語版
1989 ベン・マクドナルド ボルチモア・オリオールズ 投手 ルイジアナ州立大学
1990 チッパー・ジョーンズ アトランタ・ブレーブス 遊撃手 ボールズ・スクール英語版
1991 ブリエン・テイラー※1 ニューヨーク・ヤンキース 投手 イースト・カータレット高等学校
1992 フィル・ネビン ヒューストン・アストロズ 三塁手 カリフォルニア州立大学フラトン校
1993 アレックス・ロドリゲス シアトル・マリナーズ 遊撃手 ウェストミンスター・クリスチャン高等学校英語版
1994 ポール・ウィルソン ニューヨーク・メッツ 投手 フロリダ州立大学
1995 ダリン・アースタッド カリフォルニア・エンゼルス 外野手 ネブラスカ大学リンカーン校
1996 クリス・ベンソン ピッツバーグ・パイレーツ 投手 クレムソン大学
1997 マット・アンダーソン デトロイト・タイガース 投手 ライス大学
1998 パット・バレル フィラデルフィア・フィリーズ 三塁手 マイアミ大学
1999 ジョシュ・ハミルトン タンパベイ・デビルレイズ 外野手 アセンス・ドライブ高等学校英語版
2000 エイドリアン・ゴンザレス フロリダ・マーリンズ 一塁手 イーストレイク高等学校英語版
2001 ジョー・マウアー ミネソタ・ツインズ 捕手 クレティン・ダーラム高等学校英語版
2002 ブライアン・バリントン ピッツバーグ・パイレーツ 投手 ボールステイト大学
2003 デルモン・ヤング タンパベイ・デビルレイズ 外野手 アドルフ・カマリロ高等学校英語版
2004 マット・ブッシュ サンディエゴ・パドレス 遊撃手 ミッション・ベイ高等学校英語版
2005 ジャスティン・アップトン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 遊撃手 グレート・ブリッジ高等学校英語版
2006 ルーク・ホッチェバー カンザスシティ・ロイヤルズ 投手 フォートワース・キャッツ
2007 デビッド・プライス タンパベイ・デビルレイズ 投手 ヴァンダービルト大学
2008 ティム・ベッカム タンパベイ・レイズ 遊撃手 グリフィン高等学校
2009 スティーブン・ストラスバーグ ワシントン・ナショナルズ 投手 サンディエゴ州立大学
2010 ブライス・ハーパー ワシントン・ナショナルズ 外野手 サザン・ネバダ大学英語版
2011 ゲリット・コール ピッツバーグ・パイレーツ 投手 カリフォルニア大学ロサンゼルス校
2012 カルロス・コレア ヒューストン・アストロズ 遊撃手 プエルトリコ野球アカデミー英語版
2013 マーク・アペル ヒューストン・アストロズ 投手 スタンフォード大学
2014 ブレイディ・エイケン※2 ヒューストン・アストロズ 投手 カテドラル・カソリック高等学校英語版
2015 ダンズビー・スワンソン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 遊撃手 ヴァンダービルト大学
2016 ミッキー・モニアック フィラデルフィア・フィリーズ 外野手 ラコスタ・キャニオン高等学校英語版
2017 ロイス・ルイス ミネソタ・ツインズ 遊撃手 JSerra Catholic High School
2018 ケイシー・マイズ デトロイト・タイガース 投手 オーバーン大学
2019 アドリー・ラッチマン ボルチモア・オリオールズ 捕手 オレゴン州立大学
2020 スペンサー・トーケルソン デトロイト・タイガース 三塁手 アリゾナ州立大学
2021 ヘンリー・デービス ピッツバーグ・パイレーツ 捕手 ルイビル大学
2022 ジャクソン・ホリデイ ボルチモア・オリオールズ 遊撃手 スティルウォーター高等学校英語版
2023 ポール・スキーンズ ピッツバーグ・パイレーツ 投手 ルイジアナ州立大学
2024 トラビス・バザナ クリーブランド・ガーディアンズ 二塁手 オレゴン州立大学

太字は現役選手、※1はMLB未昇格で引退、※2は契約不成立。

記録

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指名回数

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球団 回数 西暦
ピッツバーグ・パイレーツ 6 1986年、1996年、2002年、2011年、2021年、2023年
ニューヨーク・メッツ 5 1966年、1968年、1980年、1984年、1994年
サンディエゴ・パドレス 5 1970年、1972年、1974年、1988年、2004年
ヒューストン・アストロズ 5 1976年、1992年、2012年、2013年、2014年
シアトル・マリナーズ 4 1979年、1981年、1987年、1993年
タンパベイ・レイズ 4 1999年、2003年、2007年、2008年
ミネソタ・ツインズ 3 1983年、2001年、2017年
ボルチモア・オリオールズ 3 1989年、2019年、2022年
デトロイト・タイガース 3 1997年、2018年、2020年
ワシントン・ナショナルズ 3 2009年、2010年、2025年
ニューヨーク・ヤンキース 2 1967年、1991年
テキサス・レンジャーズ 2 1969年、1973年
シカゴ・ホワイトソックス 2 1971年、1977年
ロサンゼルス・エンゼルス 2 1975年、1995年
アトランタ・ブレーブス 2 1978年、1990年
フィラデルフィア・フィリーズ 2 1998年、2016年
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 2 2005年、2015年
オークランド・アスレチックス 1 1965年
シカゴ・カブス 1 1982年
ミルウォーキー・ブルワーズ 1 1985年
マイアミ・マーリンズ 1 2000年
カンザスシティ・ロイヤルズ 1 2006年
クリーブランド・ガーディアンズ 1 2024年

未経験

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球団 創設
シンシナティ・レッズ 1881年
セントルイス・カージナルス 1882年
ロサンゼルス・ドジャース 1883年
サンフランシスコ・ジャイアンツ 1883年
ボストン・レッドソックス 1901年
トロント・ブルージェイズ 1977年
コロラド・ロッキーズ 1993年

※上記の7球団は、現在に至るまで全体1位指名権を得たことがない。

業績

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項目 人数 選手
アメリカ野球殿堂 4 ハロルド・ベインズケン・グリフィーJr.チッパー・ジョーンズジョー・マウアー
シーズンMVP 7 ジェフ・バロウズ、ケン・グリフィーJr.、チッパー・ジョーンズ
アレックス・ロドリゲスジョシュ・ハミルトン、ジョー・マウアー、ブライス・ハーパー
サイ・ヤング賞 2 デビッド・プライスゲリット・コール
ルーキー・オブ・ザ・イヤー 4 ボブ・ホーナーダリル・ストロベリー、ブライス・ハーパー、カルロス・コレア
MLBオールスターゲーム 26 リック・マンデイ、ジェフ・バロウズ、フロイド・バニスター、ハロルド・ベインズ
ボブ・ホーナー、ダリル・ストロベリー、マイク・ムーアショーン・ダンストン
B.J.サーホフ、ケン・グリフィーJr.、アンディ・ベネス、チッパー・ジョーンズ
フィル・ネビン、アレックス・ロドリゲス、ダリン・アースタッド、ジョシュ・ハミルトン
エイドリアン・ゴンザレス、ジョー・マウアー、ジャスティン・アップトン
デビッド・プライス、スティーブン・ストラスバーグ、ブライス・ハーパー
ゲリット・コール、カルロス・コレア、ダンズビー・スワンソンアドリー・ラッチマン

ハロルド・ベインズベテランズ委員会の選考によって殿堂入りした(2019年)。

脚注

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  1. ^ a b c d 大リーグ雑学ノートP84-86 福島良一著
  2. ^ Simpson, Allan (June4,2005). “Bonus Concerns Created Draft; Yet Still Exist”. BaseballAmerica. 2010年2月16日閲覧。
  3. ^ First Year Player Draft FAQ”. MLB.com. 2010年2月16日閲覧。
  4. ^ Moloney, Jim (June 8, 2005). “Trading picks would reshape draft”. MLB.com. 2009年2月16日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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