116フィルム
116フィルム(いちいちろくフィルム、英語: 116 film)は、スチル写真用のフィルムの規格である。1899年(明治32年)にコダックが導入した。
本項では、1932年(昭和7年)に同社が導入した、同一フィルムで撮影枚数・スプール等の異なる規格である616フィルム(ろくいちろくフィルム、英語: 616 film)についても扱う。これら規格の名称は、いずれもコダック式のロールフィルム番号である。
概要
編集116フィルム、616フィルムはいずれも画面サイズは「6.5×11cm判」(2.50×4.25インチ)である。基本的には、120フィルムおよび220フィルム(ブローニーフィルム)と同じ70mmフィルムを使用しているが、スプールのフランジ部分の直径が「116フィルム」はやや広く、「616フィルム」はやや狭い。スプールの軸部分も「616フィルム」は、120フィルムよりも「116フィルム」よりも細い規格である。フィルムの長さは、いずれも100cmあるいは39インチとされる。
フィルムの生産が終了以降、「116フィルム」あるいは「616フィルム」用の写真機を使用する場合には、120フィルムを「116フィルム」あるいは「616フィルム」用のスプールに巻きなおす等の手法が試みられている。
略歴
編集コダックが1896年(明治29年)に製造販売を開始した「ポケット・コダック」シリーズは、日中装填可能なフォルダーに収まった120フィルム(中身は現在のいわゆる「ブローニーフィルム」)で始まったが、3年後の1899年、「No.1Aフォールディングポケット・コダック」に使用するためのフィルムとして、ロールフィルム「116フィルム」を開発した[1]。
1932年には、新規格「620フィルム」を使用するフォールディングカメラ「コダックシックス-20」とともに、新規格「616フィルム」、および同フィルムを使用する写真機としてフォールディングカメラ「コダックシックス-16」を発表する[1]。
1955年(昭和30年)9月の『ポピュラーサイエンス』誌の広告記事「正しい仕事に正しいフィルムを選ぶ法」では、コダックヴェリクロームフィルム、コダカラーフィルムの項目に「120フィルム」「127フィルム」「616フィルム」「828フィルム」とならぶ「ポピュラーなロールフィルム」として、「116フィルム」も「616フィルム」も列挙されている[2]。
コダックは、1984年(昭和59年)4月に「116フィルム」、同年5月に「616フィルム」のそれぞれの生産を終了した[3]。「116フィルム」は85年間、「616フィルム」は52年間の歴史を終了した。
おもなフィルム製品
編集いずれも生産終了品である。
おもな写真機
編集116フィルム使用
編集コダック
編集- No.1Aフォールディングポケット・コダック - フォールディングカメラ、1899年発売
- No.2Aフォールディングポケットブローニー - 1910年発売
- No.2Aフォールディングオートグラフィックブローニー - フォールディングカメラ、1915年発売
- No.2Aブローニー - ボックスカメラ
- No.2Aブローニースペシャル
- No.1Aポケット・コダック - フォールディングカメラ、1926年発売
ツァイス・イコン
編集- コカレッテ - コンテッサ・ネッテルから継続して製造した製品、1933年生産終了
- イコンタD
- スーパーイコンタD
- ボックステンゴール54/15 - 6.5×11cm判、1938年製造終了
ウェルタ・カメラヴェルク
編集- ペルレ - 変形「5×8cm判」
リュミエール
編集- リュミエール6.5×11
616フィルム使用
編集コダック
編集- コダックシックス-16 - フォールディングカメラ、1932年発売
- ブローニージュニア
- ブローニーターゲットシックス-16
- ブローニースペシャルシックス-16
ナーゲル
編集- ジュニアシックス-16 - 1935年発売
アンスコ
編集脚注
編集参考文献
編集- How to choose the right film for the right job - Popular Science, 1955年9月、p.238-239.
関連項目
編集外部リンク
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