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J-15 (航空機)

（J-15から転送）

J-15
殲撃-15
殲-15艦載戦闘機[1]

空母「遼寧」艦載のJ-15

空母「遼寧」艦載のJ-15

  • 用途：艦載多用途戦闘機
  • 分類：艦上戦闘機、マルチロール機
  • 製造者：瀋陽飛機工業集団
  • 運用者：中華人民共和国の旗 中国
  • 初飛行：2009年8月31日[2]
  • 生産数：100±機（2024年）[3]
  • 運用開始：2013年
  • 運用状況：現役

J-15（殲-15、歼-15、ピンイン：Jiān-15）は、瀋陽飛機工業集団と601研究所により開発された艦上戦闘機である。NATOコードネームは「フランカー X2」[4]。中国人民解放軍海軍の中国の空母建造計画で製造された。

概要

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初期の情報では本機がセミステルスの派生型となることが主張されたが、後に独自改良したJ-11Bをベースに用い、国産のアビオニクスと兵装を装備することが示された。2001年頃にウクライナから入手したSu-33試作型が参考にされたと推測される[2][5][6][7]。

少数生産にとどまるとみられたが、2020年2月21日に中国航空工業集団（AVIC）は新しいバッチとみられるJ-15の生産を再開[8]。

2024年10月には遼寧と山東の2隻の空母による初の合同演習で、新型のJ-15BとJ-15Dの運用も確認された[9]。続く11月の珠海航空ショーではJ-15Tが公開された[10]。

当初機体番号は3桁で統一されていたが（試作機551～556、量産機100～123。ナンバーのない派生試作機もあり）、空母山東の就役に前後して、2桁のナンバーに改められている[11]。 機番や公開演習から、初期試作機6機や派生試作機を除いた生産型がA型66機、B型14機、S型15機、D型2機以上あるとされる。

開発

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最初のJ-15試作機は、2009年8月31日に初飛行を実施したと推測される。[12]。飛行の動画と静止画像は2010年7月に公表され、これらは基本的にSu-33と同様の機体設計を示している[13]。

2011年7月、WS-10の出力増強型WS-10Hが、J-15戦闘機のために選定されると報告された。より艦上戦闘機に適した機体とするため、他の改善も施されている[14]。

2010年5月6日、J-15はスキージャンプ甲板を模して地上に設置された設備から最初の離陸を実行した[12]。

2012年11月25日、中国初の空母「遼寧」で行われた訓練で、J-15が初めて飛行甲板への着艦に成功した[15]。

派生開発も行わており、2012年11月4日には複座型のJ-15Sが初飛行[16]。2014年11月にはカタパルト発艦を前提としたと思われるJ-15Tのモックアップが登場[17]。2018年5月には電子攻撃型のJ-15D(J-17)を確認[18]。2021年12月には新型のアビオニクス搭載と思われるJ-15Bが紹介された[19]。

設計

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J-15はJ-11Bをベースとして、Su-33の試作機であるT-10K-3から得られた構造強化やアレスティング・フックなど艦載機設計をフィードバックしている[20][12]。このため、構成はSu-33とほぼ同じであり、主翼と水平尾翼を中ほどで上方に折りたたむ機構を持つ。

アビオニクスはJ-11Bの3軸安定型4重デジタル・フライ・バイ・ワイヤをベースとしたシステムが搭載されているとされる[21]。中国製アビオニクス搭載により、AAMや通常爆弾しか運用できなかった制空戦闘機のSu-33と違い、各種の空対空ミサイルや精密誘導弾、YJ-83対艦ミサイル、KD-88対地ミサイル、YJ-91対レーダーミサイル等を搭載できるマルチロール機となった[22]。

主任設計士によれば、ランディングギアなど主要なチタン合金耐荷重構造を3Dプリント技術により製造し、これにより開発期間短縮に成功している。金属の変形や強度不足を克服して3Dプリンターによる大型部品を使用した航空機はJ-15が世界初である[23]。また、J-11Bと同様に機体構造の多くの部分に複合材料を使用しているとされ、空虚重量はSu-33よりも軽量化されていると推測されている[24]。

試作機・量産A型ではエンジンはAL-31Fターボファンエンジンを搭載する。国産エンジンのWS-10A/Hも選定されたものの試作機への搭載のみで、洋上を飛行する艦上機用エンジンとしてはまだ信頼性が低いといった理由から、この時点では量産機搭載されていない[22]。2022年11月23日、J-15にWS-10シリーズと思われる国産エンジンが搭載されていることが確認された[25]。

給油ポッドを使用してプローブアンドドローグで空中給油を行うバディー・システムにも対応しており、2021年には夜間空中給油訓練が公開されている[26]。

推定性能

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チャイナ・サインポストでは、J-15が「おそらくF-22を除き、事実上、各国軍隊で運用されている全ての現用戦闘機と空気力学的な性能は対等か凌駕する」と分析し[27]、またJ-15はF/A-18E/Fと比較して出力重量比で10%優り、翼面荷重で25%低いと主張している[27]。

チーフデザイナーを務めた孫聡は爆弾の搭載量、戦闘行動半径、機動性がF/A-18と一致する可能性があると述べている。しかし、同様の声明の中で彼はより電子機器との戦闘システムの改良、国産エンジンの成熟が必要と述べた[28]。

中国人民解放軍国防大学の胡思遠は、「J-15の目下の弱点は、ロシア製のAL-31エンジンが、アメリカ製のF-35（のF135ターボファンエンジン）よりも出力に劣ることにある」と述べた[29]。

尹卓少将は、J-15は空中戦闘能力ではF/A-18E/Fのものより優れており、アビオニクスの性能が第5世代戦闘機の基準を満たしていると述べている。しかし一方で、対地・対艦攻撃能力は、F/A-18E/Fにやや劣っていたと述べた[30]。

事故

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中国初の艦載機として注目度の高い機体であり、運用開始当初に2度の墜落事故が報告されている。どちらも陸上基地ニートカでFBWの誤動作が疑われるが、空母での事故は確認されていない。

  • 2016年4月6日、陸上機基地での訓練中に飛行システム故障で墜落。パイロットはベイルアウトし、重傷を負ったが生存。墜落した機体は損傷が軽微であったため、修復され復帰した。
  • 同年4月27日、着陸中に機体が約80度で急上昇、失速して墜落した。パイロットの死亡。現在のところJ-15唯一の喪失機となる。
  • 2017年7月、 左エンジンにバードストライクを受け、火災が発生。緊急着陸し、消火された。

派生

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J-15
試作機
J-15A
単座の量産型。遼寧と山東で運用されるが、CATOBARの福建には非対応。
J-15S
複座型。開発中止との推測もあったが、2013年12月には中国メディアは、J-15Sの大量生産が始まったことを報告[31]。艦載運用はされておらず、陸上基地のニートカでの訓練に使用されている。
J-15T
CATOBAR対応機開発とカタパルト実用試験のための試作機[32]。モックアップでは前脚部が太くなり、カタパルトと接続するローチンバーが追加されていた[33]。2016年9月頃には実機による試験がされていると報じられた[34]。
J-15D
電子攻撃機型。J-17と呼ばれることもある。J-15Sをベースに同じく複座型の電子攻撃機J-16Dの技術を組み込んでいる。翼端にESMおよびELINT装備を含んでいると思われるポッドを搭載している。最初のJ-15Dテストベッドは2016年10月に初飛行し、2018年に確認された機体が最初の真の試作品であるという[18]。2024年11月の航空ショーでは翼端2基に加えて、J-16Dと同様に胴体ハードポイントに2基、翼下ハードポイントに2基の計6基の電子戦ポッドを装備している[35]。
過去にはJ-11BSの能力向上型、J-16の艦載機型であるという説もあった。
J-15B
J-15Aの改良型。CATOBAR能力、第5世代アビオニクス、新型AESAレーダー、IRST（レドームも黒から白色に変更）、ステルスコーティング、翼端ランチャーも変更されPL-10およびPL-15ミサイルの発射に対応[36][37][38]。スーパーホーネットやラファールなどのCATOBAR機と同様にSTOBAR空母でのクロスデッキ運用も可能。

要目

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  • 乗員：1名
  • 全長：22.28m
  • 全幅：15.0m（主翼折り畳み時：7.4m）
  • 主翼面積：67.84㎡
  • 全高：5.92m
  • 空虚重量：17,500kg
  • 全備重量：27,000kg
  • 離陸時重量：32,500kg
  • エンジン：サトゥールン・AL-31／WS-10ターボファンエンジン×2
  • エンジン出力：12,505kg（122.6kN）×2
  • 最高速度：マッハ2.4
  • 航続距離：3,500㎞
  • 最大高度：20,000m
  • 兵装：GSh-30-1・30㎜機関砲×1（装弾数：150発）
  • ハードポイント：12か所
    • 空対空ミサイル：PL-8・PL-10・PL-12・PL-15
    • 空対艦ミサイル：YJ-8・Kh-31
    • 爆弾、各種ポッド

登場作品

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→詳細は「Su-27とその派生型に関連する作品の一覧」を参照

参考文献

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  1. ^ “重磅！歼-15舰载战斗机已具备昼夜起降和综合攻防能力|舰载战斗机|起降|李唐_新浪军事_新浪网”. mil.news.sina.com.cn. 2022年7月27日閲覧。
  2. ^ a b Chapligina, Maria (4 June 2010). “Russia downplays Chinese J-15 fighter capabilities”. RIA Novosti. http://en.rian.ru/mlitary_news/20100604/159306694.html 4 June 2010閲覧。 
  3. ^ https://www.twz.com/air/chinas-j-15t-enhanced-carrier-based-flanker-officially-unveiled
  4. ^ China_Equipmen
  5. ^ “Chinese Aircraft - J-11 (Su-27 FLANKER)”. Globalsecurity.org. 2011年7月4日閲覧。
  6. ^ Revealing Shenyang J-XX Stealth Fighter of China - What's On Xiamen
  7. ^ 俄方称中国自研先进战机不顺 仍将回头购俄战机_军事_凤凰网
  8. ^ “Shenyang resumes production of carrier-borne J-15 fighters” (英語). Janes.com. 2020年9月2日閲覧。
  9. ^ 海军双航母首次演练，歼15B正式官宣，唯一不足还缺预警机
  10. ^ China’s J-15T Enhanced Carrier-Based Flanker Officially Unveiled
  11. ^ “Chinese Military Aviation: Gallery”. Chinese Military Aviation. 2022年11月2日閲覧。
  12. ^ a b c Fulghum, David A.. “New Chinese Ship-Based Fighter Progresses”. Article. Aviation Week. 27 April 2011閲覧。
  13. ^ First glimpse of Chinese fighter, or Russian rip-off?
  14. ^ “J15 carrier based fighter, FWS-10 turbofan engine”. AirForceWorld.com. 5 July 2011閲覧。
  15. ^ China lands first jet on aircraft carrier
  16. ^ "Test Flights of J-15S Flying Shark Tandem Seat Carrier-Borne Fighter ~ Chinese Military Review."
  17. ^ Images suggest China developing J-15 for CATOBAR-equipped carrier
  18. ^ a b A close look at China’s carrier-based SEAD Flanker
  19. ^ “China reveals upgraded J-15 fighter jet; key aircraft carrier roles expected - Global Times”. www.globaltimes.cn. 2022年1月14日閲覧。
  20. ^ J-15/15S Flying Shark/Flanker
  21. ^ 歼15我军新型舰载战斗机 外形酷似苏-33 带鸭翼
  22. ^ a b 軍事研究2015年2月号
  23. ^ “传中国新一代战机或全球首个使用3D打印技术”. 環球時報. 22 March 2013閲覧。
  24. ^ 漢和防務評論 2010年7月号
  25. ^ Newdick, Thomas (2022年11月23日). “China’s J-15 Naval Fighter Is Now Powered By Locally Made Engines” (英語). The War Zone. 2024年11月29日閲覧。
  26. ^ 田辺義明「最新中国航空・軍事トピック 夜間空輸」『航空ファン』通巻823号（2021年7月号）文林堂 P.125
  27. ^ a b Flying Shark” Gaining Altitude: How might new J-15 strike fighter improve China’s maritime air warfare ability?
  28. ^ "J-15 fighter able to attack over 1,000 km."
  29. ^ Jian, Yang. "J-15 jets on deck as carrier sets off on longest sea trials." Shanghai Daily, 12 July 2012.
  30. ^ "J-15 better than U.S. F/A-18 in terms of air action, slightly inferior in terms of attack against sea targets."
  31. ^ “China begins mass production of fighters for aircraft carrier”. focustaiwan.tw. The Central News Agency (2013年12月3日). 2014年12月31日閲覧。
  32. ^ “Footage suggests China testing another J-15T CATOBAR-capable prototype” (18 November 2020). 8 March 2021閲覧。
  33. ^ China Explores Electromagnetic Carrier Launch System
  34. ^ China flight testing modified J-15 for CATOBAR operations
  35. ^ China’s most sophisticated J-15D EW two-seat fighter emerges
  36. ^ “'Super Flanker' on an Aircraft Carrier: First Look at China's Newest Fighter the J-15B”. Military Watch Magazine (15 December 2021). 2022年11月3日閲覧。
  37. ^ Joe, Ricke (20 May 2021). “China's J-15 Carrierborne Fighter: Sizing up the Competition”. The Diplomat. 2022年11月3日閲覧。
  38. ^ “China reveals upgraded J-15 fighter jet; key aircraft carrier roles expected - Global Times”. www.globaltimes.cn. 2022年1月14日閲覧。

関連項目

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開発に関連する航空機

外部リンク

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