IEEE

アメリカ合衆国に本部を置き,人類社会の有益な技術革新に貢献する世界最大の専門職団体、もしくは同機関が認定した規格の通称

IEEE(アイ・トリプル・イー、Institute of Electrical and Electronics Engineers)は、アメリカ合衆国に本部を置く電気・情報工学分野の学術研究団体(学会)、技術標準化機関である。日本語では米国電気電子学会米国電気電子技術者協会とも。

Institute of Electrical and Electronics Engineers
設立 1963年1月1日 (61年前) (1963-01-01)
種類 専門職団体
13-1656633[1]
法人番号 3700150005956 ウィキデータを編集
法的地位 501(c)(3)英語版非営利団体
目的 電気工学電子工学通信工学情報工学[2]
所在地
源流 アメリカ電気学会(AIEE)、無線学会(IRE)
貢献地域 世界規模
組織的方法 工業規格、会議、出版
会員数
420,000
重要人物 José M F Moura, 会長兼CEO, 福田敏男(2020年会長)
収入
US$413 million
ウェブサイト www.ieee.org
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会員の分布、活動は全世界的規模に及び、この種の専門職団体として世界最大規模である。

概要

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ニューヨークに本部[3]ニュージャージー州ピスカタウェイ英語版に事務局を置く。1963年にアメリカ電気学会(AIEE)と無線学会(IRE)の合併により発足した[4]

対象とする分野は、電気工学を源流とする通信・電子・情報工学とその関連分野に及ぶ。学会の目的は、電気および電子工学電気通信情報工学ならびに関連分野の教育的・技術的進歩である[5]。専門分野ごとに計39の分科会[6]を持ち、それぞれに会誌(科学学術雑誌)を発行している。

2018年時点で、世界最大の学術研究団体であり[7][8]、世界160か国以上に423,000人以上の会員がいる[9]

法律上のビジネス文書を除いて、単にIEEEと表記し、「アイ・トリプル・イー」と呼ばれることが多い。IEEEの公式な日本語名称は無いが、1999年6月に設立された日本カウンシルにおいて、IEEEと表記するという決定がなされた[10]。他の学会と区別する必要があるときは、アメリカに本部があることを付記することが推奨されている。日本の報道では「米国電気電子学会」と記述されることが多いようである。

出版物

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IEEEは、電気・電子工学および情報工学の分野で世界の30%以上の文献を発行し、100以上の査読付き論文誌を出版し[11][12]、1800以上の会議やイベントを後援している。

これらの論文誌に掲載されているコンテンツや、IEEEが後援する年次会議のコンテンツは、IEEEオンラインデジタルライブラリーおよび研究データベースであるIEEE Xplore英語版[13]で利用でき、購読ベースのアクセスや、個々に出版物を購入することができる[14]

雑誌や会議録のほか、IEEEは標準化委員会が作成したチュートリアルや標準も発行している。

教育活動

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IEEEは、基礎科学、研究、技術についての学習の機会を提供する。

IEEEは、IEEE e Learning Library[15]Education Partners Program[16]Standards in Education[17]Continuing Education Units (CEUs).[18]などの教育機会を提供している。

IEEE eLearning Libraryは、自習型学習のために設計されたオンライン教育コースのコレクションである。IEEE会員専用のEducation Partnersは、オンライン学位のプログラム、認定資格、コースを10%割引で提供している。Standards in EducationのWebサイトでは、標準とは何かや、それを開発して使用することの重要性について説明している。このサイトには、標準の歴史、基本的な用語、それらの応用と製品への影響を紹介するチュートリアルモジュールとケース図、標準に関するニュース、書評、標準に関する情報を含む他のサイトへのリンクが含まれている。現在、アメリカ合衆国の29州は、PE(Professional Engineering)の資格を維持するためにProfessional Development Hours(PDH)の受講を要求しており[19][20]、技術者が継続教育プログラムに参加するためにContinuous Education Unit(CEU)を探すよう奨励している。 CEUは容易にProfessional Development Hours(PDH)に変換でき、1 CEUは10 PDHに相当する。南アフリカなど、米国以外の国でも同様にcontinuing professional development(CPD)クレジットが必要である。また、IEEE Expert Nowコースは南アフリカのCPDリストにも含まれる予定である。

IEEEはまた、若者が工学を理解しやすくするためのWebサイトや、工学のキャリアを自分の将来の一部にする方法を後援している。8歳から18歳までの学生、保護者、教師は、このサイトで工学者になるための準備、工学に関する専門家に対する質問、カリキュラムのリンクの閲覧、授業計画の見直しを行うことができる。このウェブサイトでは、学生はカナダと米国で認定された工学学位プログラムを検索することもできる。

IEEEは、学生活動委員会を通じて学生活動と他のIEEE団体との間のパートナーシップを促進する[21]

IEEEによる標準化

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IEEEは標準化活動(規格の制定)を行っている。標準化に関する活動は、内部組織のIEEE Standards Association(IEEE-SA)が行っている。この学会が定めた規格の名称は"IEEE"で始まる。

LAN(Local Area Network)に関するIEEE802シリーズは広く普及しており、著名である。

会員資格

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IEEE会員のほとんどは電気・電子・情報工学の研究者であるが、学会が幅広い分野を対象としていることからそれ以外の分野(機械工学土木工学物理学数学生物学など)の学生・研究者の会員も存在する。

個人は、student member(学生会員)、professional member(普通会員)、associate member(準会員)のいずれかの会員資格でIEEEに加盟できる。会員資格を得るには、特定の学術的または職業的基準を満たし、学会の倫理規定および細則に従わなければならない。IEEEのメンバーシップと所属にはいくつかの種類とグレードがある。上級会員以下の会員資格は自己申請によるが、審査がある。 本説明でいうところの大学・大学院の課程、職業経験にはIEEEに指定・認定されたものを指す。

会員資格 記号 概要
Student Member 学生会員 S 大学学部の学生の会員資格。IEEEの指定する学科目を通常の学業の50%以上の割合で履修している必要がある。会費等が割引になる[22]
Graduate Student Member 大学院生会員 GS 大学院の学生の会員資格。IEEEの指定する学科目を通常の学業の50%以上の割合で履修している必要がある[22]。学生会員よりも高い特権を持つ。
Associate Member 準会員 A 普通会員の条件を満たさないがIEEEの分野に関心を持つ者の会員資格。
Member 普通会員 M IEEEが指定する教育課程を終了してIEEEが指定する分野の学士号(または相当の資格)を取得しているか、IEEEが指定する分野の職業に6年以上従事している者[22]
Senior Member 上級会員 SM 一定の要件を満たすと、普通会員は上級会員への変更を申請することができる。これは、申請により得ることができる最高レベルの会員資格である。上級会員の申請者は、上級会員・フェロー・名誉会員から3通以上の推薦状を持ち、10年以上専門的業務に従事し、そのうち5年以上にわたり重要な業績を挙げることが条件となる[22]
Fellow Member フェロー F 合計5年以上の会員歴を持つ上級会員で、IEEEが指定する分野で著しい業績を上げた者の会員資格。最高レベルの会員資格である。自薦はできず、他薦により推挙され、IEEE理事会による審査の上で授与される[22]。各年の授与数は正会員数の0.1%以内と定められている。
Life Member・Life Senior Member 生涯会員 LM 65歳以上で、年齢とIEEE会員在籍年数の合計が100年以上の会員は、会員資格の先頭に"Life"がつけられる。普通会員は"Life Member"、上級会員は"Life Senior Member"、フェローは"Life Fellow"となる[22]
Honorary Member 名誉会員 HM IEEE会員以外で、 IEEE栄誉賞の受賞者など特別な貢献をした個人は、IEEE理事会の決定により名誉会員となることができる[23][22]

顕彰活動

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IEEEは電気電子工学に関する賞を主催し、授与する活動を行っている。

など様々なメダル(medals)や技術部門賞(technical field awards)がある。

テクニカルソサイエティ

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IEEEには39のテクニカルソサイエティ(technical society、技術分科会)があり、それぞれ特定の技術分野について焦点を当てている。各ソサイエティは、専門の出版物、技術会議などの各種サービスを提供する[24]

テクニカルカウンシル

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IEEEのテクニカルカウンシル(technical council、技術評議会)は、より広い知識分野に関する複数のソサイエティによるコラボレーションである。現在、7つのテクニカルカウンシルがある[25]

テクニカルコミティ

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新しいイノベーションへの迅速な対応を可能にするために、IEEEはソサエティやカウンシルの上にテクニカルコミティ(technical committee、技術委員会)を組織することもできる。現在、20を超えるコミティがある[27]

IEEE財団

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IEEE財団(The IEEE Foundation)[28]は、1973年に設立された慈善財団であり[29]、技術教育、技術革新、卓越した研究者を支援している[30]。IEEEとは密接な関係があるが、IEEEとは別の組織である。財団の理事会の役員は、IEEEの活発な会員である必要があり、その3分の1は、IEEE理事会の現役員または元役員でなければならない。

当初、IEEE財団の役割は、IEEE顕彰プログラムのための寄付を受け入れて管理することだったが、寄付はその目的に必要な額を超え、対象範囲が広がった。財団はまた、無制限基金の勧誘と管理に加えて、特定の教育・人道・歴史的保存、およびIEEEのピア認定プログラムを支援する対象指定基金も管理している[30]。2014年末現在、同財団の総資産は約4,500万ドルで、無制限基金と対象指定基金に均等に配分されている[31]

脚注

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  1. ^ "Form 990: Return of Organization Exempt from Income Tax 2017". Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.
  2. ^ IEEE Technical Activities Board Operations Manual”. IEEE. 2011年9月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。December 7, 2010閲覧。, section 1.3 Technical activities objectives
  3. ^ IEEE”. MITcoe.ac.in (MIT College of Engineering SB, Pune). 2019年2月15日閲覧。 “MIT College of Engineering SB, Pune represents the student branch for an ... (IEEE) is a professional association with its corporate office in New York City”
  4. ^ IRE - Institute of Radio Engineers (old name for IEEE)”. AcronymFinder. 2019年2月15日閲覧。 “IRE is defined as Institute of Radio Engineers (old name for IEEE) ... Engineers (AIEE) and the Institute of Radio Engineers (IRE) in 1963.”
  5. ^ History of”. IEEE. 2017年3月18日閲覧。
  6. ^ : society
  7. ^ IEEE Students Branch - PET Engineering College”. PETengg.ac.in (PET Engineering College). 2019年2月15日閲覧。 “The Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE) is a professional association ... Today, it is the world's largest association of technical professionals ...”
  8. ^ IEEE”. PES University. 2019年2月15日閲覧。 “IEEE, an association dedicated to advancing innovation and technological excellence for the benefit of humanity, is the world's largest technical professional ...”
  9. ^ About IEEE”. www.ieee.org. 2019年2月15日閲覧。
  10. ^ FAQ A3
  11. ^ Anthony's Individual Webpage”. 2019年2月16日閲覧。 “The Institute of Electrical and Electronics Engineers is dedicated to advancing ... They probide(sic) learning opportunities on engineering sciences and technology. ... as the IEEE 802.3 Ethernet standard; They also produce over 30% of the world's ... and computer science fields, publishing well over 100 peer-reviewed journals.”
  12. ^ About”. IEEE. 2017年3月18日閲覧。
  13. ^ IEEE Xplore”. rutgers.edu. 2019年2月16日閲覧。 “IEEE Xplore ... a collaboration between the Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)in the US and the Institution of Engineering and Technology(IET) in the UK. It covers more than 30% of the world's ... Dates covered: 1988 to the present with select titles back to 1913.”
  14. ^ First Name / Given Name Family Name / Last Name / Surname. “IEEE Xplore Digital Library”. Ieeexplore.ieee.org. 2017年3月18日閲覧。
  15. ^ IEEE Xplore Subscription Options | IEEE eLearning Library”. Ieee.org. 2017年3月18日閲覧。
  16. ^ Education”. IEEE. 2010年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月18日閲覧。
  17. ^ Standards”. IEEE. 2017年3月18日閲覧。
  18. ^ Education”. IEEE. 2009年3月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月18日閲覧。
  19. ^ Professional Engineering CE Requirements by State”. 2019年2月16日閲覧。 “Effective March 1, 2015 Florida Professional Engineers are required to complete 18 hours of continuing education to renew their licenses”
  20. ^ Maintaining a License”. NSPE.org (National Society of Professional Engineers). 2019年2月16日閲覧。 “For dedicated professional engineers, earning a PE license is just the beginning. ... Continuing Education Requirements for Professional Engineers ...”
  21. ^ MGA Student Activities Committee (SAC)”. IEEE. 2017年3月18日閲覧。
  22. ^ a b c d e f g グレードについて - IEEE 日本カウンシル”. 2019年2月16日閲覧。
  23. ^ IEEE Honorary Membership”. www.ieee.org. 2019年2月16日閲覧。
  24. ^ IEEE Societies”. IEEE. October 28, 2018閲覧。
  25. ^ IEEE Technical Councils”. IEEE. October 28, 2018閲覧。
  26. ^ ICCE 2017 RFID Technical Track”. Engineering.UTulsa.edu. November 4, 2018閲覧。 “The IEEE Council on RFID ... a technical track at ...”
  27. ^ Technical Committees Alphabetical • IEEE Computer Society”. www.computer.org. 28 October 2018閲覧。
  28. ^ IEEE Foundation, Inc. - GuideStar Profile”. 2019年2月18日閲覧。
  29. ^ IEEE Foundation”. InsidePhilanthropy. 2019年2月18日閲覧。 “PROFILE: Established in 1973, the IEEE Foundation is ...”
  30. ^ a b IEEE Foundation - Home Page - IEEE Foundation, Inc”. Ieee.org. 2014年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月18日閲覧。
  31. ^ [1]

関連項目

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外部リンク

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