CPhos
ホスフィン配位子の一種
CPhosはビフェニルから誘導されるホスフィン配位子(英語版)の一種である。有機溶媒に可溶な白い固体である。
CPhos | |
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2-(2-ジシクロヘキシルホスファニルフェニル)-N1,N1,N3,N3-テトラメチル-ベンゼン-1,3-ジアミン | |
別称 CPhos | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 1160556-64-8 |
PubChem | 44156169 |
ChemSpider | 29783668 |
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特性 | |
化学式 | C28H41N2P |
モル質量 | 436.61 |
外観 | 白い固体[1] |
融点 |
111-113 °C, 384-386 K, 232-235 °F [1] |
水への溶解度 | organic solvents |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
CPhosのパラジウム錯体は臭化アリールおよび塩化アリール、トリフラートの根岸カップリングを促進する。CPhosは2級(sp3)アルキル亜鉛塩化物との反応を促進して高い収率で目的物を与え、よく見られる一置換副生成物はほとんど生成しない[1]。
根岸カップリングにおける利用
編集単純化されたハロゲン化アリールと臭化イソプロピル亜鉛との反応機構を以下に示す。副生成物を生じる段階は赤で示した。
ハロゲン化アリールがパラジウムと配位子の錯体に酸化的付加し(1)、トランスメタル化(2)して中間体Bを与える。これが還元的脱離(3)して目的のイソプロピルアレーンCを与える。しかし中間体Bはβ-水素脱離(4)してDになることがある。これが還元的脱離(3’)して脱ハロゲン化生成物Gになったり、挿入反応(5)によってEへと変化することがある。一度Eが生成すると還元的脱離(3’’)によってn-プロピル化した副生成物であるFができる。
CPhosはこの変換反応において副生成物であるFとGの生成を抑える効果がある。これは配位子を使うことにより、Bの還元的脱離がβ-水素脱離よりも速く進むからである。
関連項目
編集脚注
編集- ^ a b c Han, C.; Buchwald, S. L. (2009). “Negishi Coupling of Secondary Alkylzinc Halides with Aryl Bromides and Chlorides”. J. Am. Chem. Soc. 131 (22): 7532–7533. doi:10.1021/ja902046m. PMC 2746668. PMID 19441851 .