1996年日本グランプリ (4輪)
1996年日本グランプリ (1996 Japanese Grand Prix) は1996年のF1世界選手権第16戦として10月13日に鈴鹿サーキットで決勝レースが開催された。
レース詳細 | |||
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日程 | 1996年シーズン第16戦 | ||
決勝開催日 | 10月13日 | ||
開催地 |
鈴鹿サーキット 日本 三重県 鈴鹿市 | ||
コース長 | 5.86403km | ||
レース距離 | 52周(304.92956km) | ||
決勝日天候 | 晴れ(ドライ) | ||
ポールポジション | |||
ドライバー | |||
タイム | 1'38.909 | ||
ファステストラップ | |||
ドライバー | ジャック・ヴィルヌーヴ | ||
タイム | 1'44.043(Lap 34) | ||
決勝順位 | |||
優勝 |
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2位 | |||
3位 |
概要
編集年間スケジュールにおいてオーストラリアGPが開幕戦に移動したため、日本GPは1977年以来となるシーズン最終戦として開催された。
ウィリアムズに所属するデイモン・ヒル、ジャック・ヴィルヌーヴ両名によるドライバーズチャンピオン争いは、ヒルが9ポイントリードして最終戦を迎えた。ヴィルヌーヴが逆転チャンピオンとなるには優勝(10ポイント)かつヒルが無得点以外に無かった。ヴィルヌーヴが優勝しヒルが6位(1ポイント)の場合、合計88ポイントで並ぶが、優勝回数の差(ヒル7勝、ヴィルヌーヴ5勝)でヒルがチャンピオンとなる。ヒルはすでにウィリアムズ離脱が決定しており、悲願のタイトルまであと1ポイントという状況で日本GPを迎えた。
予選
編集順位 | No | ドライバー | コンストラクター | タイム | 差 |
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1 | 6 | ジャック・ヴィルヌーヴ | ウィリアムズ・ルノー | 1:38.909 | |
2 | 5 | デイモン・ヒル | ウィリアムズ・ルノー | 1:39.370 | 0.461 |
3 | 1 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1:40.071 | 1.162 |
4 | 4 | ゲルハルト・ベルガー | ベネトン・ルノー | 1:40.364 | 1.455 |
5 | 7 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・メルセデス | 1:40.458 | 1.549 |
6 | 2 | エディ・アーバイン | フェラーリ | 1:41.005 | 2.096 |
7 | 15 | ハインツ=ハラルド・フレンツェン | ザウバー・フォード | 1:41.277 | 2.368 |
8 | 8 | デビッド・クルサード | マクラーレン・メルセデス | 1:41.384 | 2.475 |
9 | 3 | ジャン・アレジ | ベネトン・ルノー | 1:41.562 | 2.653 |
10 | 12 | マーティン・ブランドル | ジョーダン・プジョー | 1:41.600 | 2.691 |
11 | 11 | ルーベンス・バリチェロ | ジョーダン・プジョー | 1:41.919 | 3.010 |
12 | 9 | オリビエ・パニス | リジェ・無限ホンダ | 1:42.206 | 3.297 |
13 | 14 | ジョニー・ハーバート | ザウバー・フォード | 1:42.658 | 3.749 |
14 | 18 | 片山右京 | ティレル・ヤマハ | 1:42.711 | 3.802 |
15 | 19 | ミカ・サロ | ティレル・ヤマハ | 1:42.840 | 3.931 |
16 | 10 | ペドロ・ディニス | リジェ・無限ホンダ | 1:43.196 | 4.287 |
17 | 17 | ヨス・フェルスタッペン | フットワーク・ハート | 1:43.383 | 4.474 |
18 | 20 | ペドロ・ラミー | ミナルディ・フォード | 1:44.874 | 5.965 |
19 | 16 | リカルド・ロセット | フットワーク・ハート | 1:45.412 | 6.503 |
DNQ | 21 | ジョバンニ・ラバッジ | ミナルディ・フォード | 1:46.795 | 7.886 |
決勝
編集展開
編集グリッド上でスタートを待つ間に予選8位のデビッド・クルサード(マクラーレン)がエンジンストールし、フォーメーションラップがやり直しとなった。クルサードは最後尾にまわり、決勝は1周減算して52周で行われる。
仕切り直しのスタートでは、ポールシッターのヴィルヌーヴの加速が鈍く、ヒル、ゲルハルト・ベルガー(ベネトン)、ミカ・ハッキネン(マクラーレン)、ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)、エディ・アーバイン(フェラーリ)に抜かれて6番手にまで後退、ヴィルヌーヴにとっては痛恨の、ヒルにとっては圧倒的有利な情勢となった。S字コーナー手前でジャン・アレジ(ベネトン)がスピンし、バリアに激突して早々とリタイアした。
3周目、2位のベルガーがシケインでヒルのインを狙うが、追突してフロントウィングを損傷した。ヒルのマシンへの影響が懸念されたが、ダメージもなく走行を続けた。
ヴィルヌーヴはアーバインの後方に詰まっていたが、12周目のシケインでオーバーテイクに成功し4位に浮上した。続けて3位のシューマッハに迫り、14周目にピットインしてポジションアップを狙ったが、シューマッハも翌周ピットインしてヴィルヌーヴの前に戻った。
19周目、1・2位のヒル、ハッキネンが同時にピットイン。ヒルは首位を守ってコースに復帰するが、ハッキネンはシューマッハにかわされ、3位に後退した。ヒルと4位ヴィルヌーヴの間にはホームストレート1本分ほどのギャップがある。
31周目、シューマッハ、ハッキネン、ヴィルヌーヴの3者が同時にピットインし、2回目のタイヤ交換を行った。ヴィルヌーヴはフロントウィングを調節したため若干タイムロスし、ポジションは変わらず。ヒルは34周目に無難にタイヤ交換を済ませ、トップを堅持した。
ヴィルヌーヴは33周目にこのレースのファステストラップを記録し、チャンピオンを諦めない姿勢をみせた。しかし、37周目の1コーナーを通過したところで突然右リアタイヤが外れ、2コーナーのサンドラップに突っ込んだ。タイヤは勢いよくフェンスを飛び越えたが、幸運にも観客席への被害は免れた。ヴィルヌーヴはマシンを降り、この瞬間ヒルのワールドチャンピオンが決定した。ルーキーチャンピオンの可能性は潰えたが、ヴィルヌーヴはすっきりした表情で観客の拍手に応えた。
ヒルはシューマッハの追撃をかわして残り周回を走り切り、今季8勝目のチェッカーフラッグを受けた。亡き父グラハム・ヒルに続く、親子2代でのチャンピオン獲得はF1史上初となる。ウィニングランを終えてピットでマシンを降りると、苦楽を共にしてきたジョージー夫人と熱い抱擁を交わした。
結果
編集順位 | No | ドライバー | コンストラクター | 周回 | タイム/リタイア | グリッド | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | デイモン・ヒル | ウィリアムズ・ルノー | 52 | 1:32:33.791 | 2 | 10 |
2 | 1 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 52 | 1.883 | 3 | 6 |
3 | 7 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・メルセデス | 52 | 3.212 | 5 | 4 |
4 | 4 | ゲルハルト・ベルガー | ベネトン・ルノー | 52 | 26.526 | 4 | 3 |
5 | 12 | マーティン・ブランドル | ジョーダン・プジョー | 52 | 67.120 | 10 | 2 |
6 | 15 | ハインツ=ハラルド・フレンツェン | ザウバー・フォード | 52 | 81.186 | 7 | 1 |
7 | 9 | オリビエ・パニス | リジェ・無限ホンダ | 52 | 84.510 | 12 | |
8 | 8 | デビッド・クルサード | マクラーレン・メルセデス | 52 | 85.233 | 8 | |
9 | 11 | ルーベンス・バリチェロ | ジョーダン・プジョー | 52 | 101.065 | 11 | |
10 | 14 | ジョニー・ハーバート | ザウバー・フォード | 52 | 101.799 | 13 | |
11 | 17 | ヨス・フェルスタッペン | フットワーク・ハート | 51 | 1 Lap | 17 | |
12 | 20 | ペドロ・ラミー | ミナルディ・フォード | 50 | 2 Laps | 18 | |
13 | 16 | リカルド・ロセット | フットワーク・ハート | 50 | 2 Laps | 19 | |
Ret | 2 | エディ・アーバイン | フェラーリ | 39 | 接触 | 6 | |
Ret | 18 | 片山右京 | ティレル・ヤマハ | 37 | エンジン | 14 | |
Ret | 6 | ジャック・ヴィルヌーヴ | ウィリアムズ・ルノー | 36 | ホイール | 1 | |
Ret | 19 | ミカ・サロ | ティレル・ヤマハ | 20 | エンジン | 15 | |
Ret | 10 | ペドロ・ディニス | リジェ・無限ホンダ | 13 | スピン | 16 | |
Ret | 3 | ジャン・アレジ | ベネトン・ルノー | 0 | スピン | 9 | |
DNQ | 21 | ジョバンニ・ラバッジ | ミナルディ・フォード | DNQ | 20 |
エピソード
編集- マクラーレンとマールボロのスポンサー契約がこの年限りで終了するため、伝統の赤・白のカラーリングはこのレースが最後となった。
- 1984年から参戦してきたマーティン・ブランドルも、F1ラストレースとなった。
- レース後、ヴィルヌーヴは仲の良いデビッド・クルサード、ミカ・サロと3人で髪を切り、シーズン打ち上げパーティーに丸刈り姿で登場した。
- アロウズへの移籍が決定しているヒルは日本GP終了後も鈴鹿に残り、決勝翌日、来期よりF1に参入するブリヂストンタイヤのテスト走行を行った。テストカーにはTWRが所有するリジェ・JS41を使用した。
脚注
編集- ^ a b “1996 Japanese Grand Prix” (英語). Formula1.com. 2012年2月15日閲覧。
- ^ a b “日本GP 1996”. ESPN F1. 2012年2月15日閲覧。
前戦 1996年ポルトガルグランプリ |
FIA F1世界選手権 1996年シーズン |
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前回開催 1995年日本グランプリ |
日本グランプリ | 次回開催 1997年日本グランプリ |