高橋伸夫 (地理学者)
高橋 伸夫(たかはし のぶお、1939年(昭和14年)9月29日 - 2013年(平成25年)7月14日[1])は、日本の地理学者、筑波大学名誉教授。東京都台東区出身[1]。人文地理学、とくに都市地理学に関する研究を行うとともに、学習参考者や一般向けの書籍も執筆、編集した。また、オリヴィエ・ドルフュス『地理空間』(山本正三との共訳)など、フランス地理学の日本への紹介も行った。
高橋伸夫 | |
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生誕 |
1939年9月29日 日本東京府 |
死没 |
2013年7月14日(73歳没) 日本 |
国籍 | 日本 |
研究分野 | 地理学 |
研究機関 | 東京教育大学、筑波大学 |
出身校 | パリ第1大学、東京教育大学 |
指導教員 | 青野壽郎 |
博士課程 指導学生 | 松井圭介 |
主な業績 | 都市地理学 |
主な受賞歴 | パリ地理学会銀メダル |
プロジェクト:人物伝 |
経歴
編集1952年(昭和27年)に東京教育大学附属小学校(現・筑波大学附属小学校)、1958年(昭和33年)に東京教育大学附属中学校・高等学校(現・筑波大学附属中学校・高等学校)を卒業。
1960年(昭和35年)4月に東京教育大学理学部へ入学、青野壽郎の薫陶を受け1964年(昭和39年)3月に同地理学専攻を卒業、母校の東京教育大学附属高等学校教諭となる[1]。1年で高校教師を辞し、1965年(昭和40年)4月に東京教育大学大学院理学研究科地理学専攻へ進学、理学修士号を取得し同博士課程へ進み[1]、1969年(昭和44年)3月に退学、翌4月から東京教育大学理学部助手に就任[2]。
フランス政府奨学金を得て1970年(昭和45年)パリ第1大学地理学研究所博士課程へ留学、「日本における工業化に伴う都市化の進展」で博士号[1](地理学博士)を1972年(昭和47年)6月に取得した[2]。パリ第1大学では、フランス地理学を代表する学者であるフィリップ・パンシュメル、ポール・クラヴァル、ジャン=ロベール・ピットらと交流した[3]。1974年(昭和49年)、「清水市域における都市化の展開」で東京教育大学から理学博士[4]、パリ第1大学から地理学博士を取得[5]。東京教育大の博士号の主査は尾留川正平が務めた[6]。
1974年(昭和49年)4月に助手として着任以来、筑波大学に長く所属し、地球科学系長などを務め[2]、2003年(平成15年)に名誉教授となった[7]。この間、東北大学、秋田大学、茨城大学、つくば国際大学、埼玉大学、千葉大学、お茶の水女子大学、東京都立大学 (1949-2011)、東京都立教育研究所、日本大学、法政大学、広島大学、岡山大学、パリ第7大学で非常勤講師を務めた[2]。都市地理学、金融の地理学、フランスや南アメリカの地誌学的研究を始め、地理教育に貢献し、「教科書の高橋」の異名をとった[8]。学会関係では、日仏地理学会会長などを歴任した[9]。
2003年(平成15年)に退官後も研究を続け、生涯に約40冊の著書を発表した[8]。2013年(平成25年)7月14日、73歳で逝去[1]。高橋の遺志により、しばらくの間地理学関係者へ逝去の事実は公開されなかった[1]。
おもな著書
編集2003年までに著書28冊、訳書・訳文16本、学術論文152本、その他(分担執筆、寄稿等)78本を発表した[10]。(この数字には教科書、地図帳、参考書、百科事典、随筆等は含まれない[11]。)
単著
編集編著
編集共編著
編集- (菅野峰明、永野征男との共編)都市地理学入門、原書房、1984年
- (中村和郎との共編)地理学への招待(地理学講座 第1巻)、古今書院、1988年
- (菅野峰明、山下清海、山下脩二、手塚章との共編)世界地図を読む―図説 世界地理、大明堂、1993年
- (谷内達との共著)日本の三大都市圏 : その変容と将来像、古今書院、1994年
- (小野寺淳、田林明、中川正との共著)文化地理学入門、東洋書林、1995年
- (阿部和俊、谷内達、佐藤哲夫との共著)ジオグラフィー入門―地理学でみる日本と世界、古今書院、1996年
- (手塚章、ジャン=ロベール・ピットとの共編著)パリ大都市圏 : その構造変容、東洋書林、1998年
- 改訂新版:(谷内達、阿部和俊、佐藤哲夫、杉谷隆との共著)ジオグラフィー入門―考える力を養う地理学は面白い、古今書院、2008年
- (村山祐司、菅野峰明、伊藤悟との共著)新しい都市地理学、東洋書林、1997年
- (村山祐司、手塚章、ジャン=ロベール・ピットとの共編著)EU統合下におけるフランスの地方中心都市、古今書院、2003年
- (内田和子、岡本耕平、佐藤哲夫との共編著)現代地理学入門 : 身近な地域から世界まで、古今書院、2005年
- (菊地俊夫、根田克彦、山下宗利との共編著)都市空間の見方・考え方、古今書院、2013年 - 高橋の最期の著作となった。
訳書
編集- (山本正三との共訳)オリヴィエ・ドルフュス著、地理空間(文庫クセジュ)、白水社、1975年
- フランス : その国土と人々(全訳世界の地理教科書シリーズ 1)、帝国書院、1977年
出典・脚注
編集- ^ a b c d e f g 松井(2013):79ページ
- ^ a b c d 筑波大学地球科学系(2003):1ページ
- ^ 松井(2013):79 - 80ページ
- ^ “清水市域における都市化の展開 高橋伸夫”. 国立国会図書館. 2013年8月19日閲覧。
- ^ 高橋伸夫『この一冊で世界の地理がわかる!』三笠書房、1998年、364頁。ISBN 483791764X。:奥付・執筆者紹介
- ^ 東京教育大学理学部地理学教室(1977):27ページ
- ^ “筑波大学名誉教授” (PDF). 筑波大学. 2013年8月19日閲覧。
- ^ a b 松井(2013):80 - 81ページ
- ^ “日仏諸学会”. 在日フランス大使館. 2013年8月19日閲覧。
- ^ 筑波大学地球科学系(2003):2 - 11ページ
- ^ 筑波大学地球科学系(2003):11ページ
参考文献
編集- 東京教育大学理学部地理学教室「東京文理科大学・東京教育大学地理学関係学位授与者一覧」『東京教育大学地理学研究報告』XXI、東京教育大学理学部地理学教室、1977年、23-27頁。
- 松井圭介「高橋伸夫先生を悼む」(PDF)『地理空間』第6巻第2号、地理空間学会、2013年12月20日、79-82頁、doi:10.24586/jags.6.2_79。
- 「高橋伸夫先生略歴・著作目録」『筑波大学人文地理学研究』第27号、筑波大学地球科学系、2003-03-00、1-11頁。 NAID 40006387777