電照菊
電照菊(でんしょうぎく)とは、菊の栽培方法の1種であり、この栽培方法で栽培された菊の総称である。抑制栽培の1種で、昭和12年に愛知県豊橋市で日本で最初の電照菊が栽培されたとされている。[1]
栽培方法
編集- 菊は、日照時間が短くなると花芽を形成し、やがて蕾となり開花するという性質がある。その性質を利用し、花芽が形成される前に人工的に光をあてることにより、花芽の形成と開花時期を遅らせる方法が電照菊である。
- 使用する菊は秋に開花する「秋菊」を使用することが多い。
- 温室を使用して栽培する地域が多く、秋菊が花芽を形成する前の5~8月頃の夜間(午後10時~翌日午前2時が多い)に、電球などを用いた照明を菊にあてて、花芽を形成させないようにする。9月以降は照明をあてずに、通常と同じ栽培を行なう。これにより開花時期を数ヶ月遅らせ、1月~3月に開花、出荷する。
- 技術の向上によって、秋菊のみでなく夏菊もこの方法で栽培されており、開花時期を9ヶ月までずらすことが可能である。また、温室で覆うことで太陽光を遮る方法も併用することで、様々な菊を様々な時期に開花、出荷を可能としている。
- 照明は白熱電球が主流であったが、電照菊専用の電灯も開発され、現在はこちらが主流である。近年は省エネルギー、地球温暖化防止の観点から、省電力の照明が開発・実用化されている。例えば、蛍光球、発光ダイオードなども使われている。
- なお、温室を用いず路地で栽培する地域[どこ?]もある。
歴史
編集産地
編集全国でこの電照菊は栽培されているが、田原市、豊橋市を中心とした渥美半島で全国の生産量の約30%を占めている。この地域は水不足の問題があったが、1968年(昭和43年)、豊川用水の完成によりほぼ解消されている。
2010年における東京市場向けの菊の年間出荷量は、本数では愛知県が9,128万本(1位)、沖縄県が4,400万本(2位)、出荷額では愛知県が67億円(1位)、沖縄県が17.6億円(2位)だった[7]。愛知県は年間を通じて出荷しているが、冬季の暖房費を抑えることができる沖縄県は3月と12月に集中して出荷している[7]。沖縄県の電照菊の畑は県内全域でみられる[8]。
品種
編集- 輪ギク
- (秋菊)
- 神馬(じんば)
- 精輿の誠
- (夏秋菊)
- 精の一世
- 岩の白扇
- (秋菊)
- スプレー菊
- レミダス(黄)
- エルザ (白)[9]
出荷量
編集愛知県の出荷量は全国の3割を占めており、そのうち田原市は80%以上を占めている。出荷量の推移は以下の通りである。[10]
年 | 出荷量 |
---|---|
平成13年 | 5.5億本 |
平成14年 | 5.4億本 |
平成15年 | 5.4億本 |
平成16年 | 5.2億本 |
平成17年 | 5.4億本 |
平成18年 | 5.2億本 |
平成19年 | 5.2億本 |
平成20年 | 5.1億本 |
平成21年 | 4.9億本 |
平成22年 | 4.7億本 |
電照菊を扱った作品
編集音楽
編集出典
編集- ^ あいちの地場産業第10版 株式会社おかしん総研 2004年2月 p.6
- ^ あいちの地場産業 (2013), pp. 204–205, 菊
- ^ 施設型農業の展開-豊川用水流域の場合- p.13
- ^ 施設型農業の展開-豊川用水流域の場合- p.13
- ^ あいちの花 p.64
- ^ 赤羽根町史 p.399
- ^ a b 伊藤智章 「電照菊」の出荷額の地図化 見えてくる産地の特徴とは? 幻冬舎オンライン、2017年7月14日
- ^ 電照菊畑 糸満市
- ^ 第53回日本花き生産者大会あいち記念誌 あいちの花第53回日本花き生産者大会あいち実行委員会 平成22年
- ^ 岡崎信用金庫『あいちの地場産業』岡崎信用金庫、平成24年2月、205頁より参照
- ^ http://www.hotexpress.co.jp/news/071015_kariyushi/ かりゆし58 アルバム発売記念ライブ開催!!(hotexpress music magazine)
- ^ https://www.nikkansports.com/entertainment/f-et-tp0-20071023-273760.html かりゆし58が初アルバム記念イベント(日刊スポーツ)
参考文献
編集- 岡崎信用金庫 (2013), あいちの地場産業 (12 ed.) 2014年12月7日閲覧。
- 久野 重明 (1998), 施設型農業の展開-豊川用水流域の場合-愛大中産研研究報告第52号
- 第53回日本花き生産者大会あいち実行委員会 (2010), あいちの花
- 赤羽根町史編纂委員会 (1968), 赤羽根町史