阪本順治
阪本 順治(さかもと じゅんじ、1958年10月1日[1] - )は、日本の映画監督、脚本家。『大鹿村騒動記』や『北のカナリアたち』などを手がけたことで知られている[2]。
さかもと じゅんじ 阪本 順治 | |||||||||||||||
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第31回東京国際映画祭にて(2018年10月) | |||||||||||||||
生年月日 | 1958年10月1日(66歳) | ||||||||||||||
出生地 | 日本・大阪府堺市 | ||||||||||||||
職業 | 映画監督、脚本家 | ||||||||||||||
ジャンル | 映画、ミュージック・ビデオ | ||||||||||||||
活動期間 | 1989年 - | ||||||||||||||
主な作品 | |||||||||||||||
『どついたるねん』 『顔』『KT』 『亡国のイージス』 『闇の子供たち』 『大鹿村騒動記』 『北のカナリアたち』 『半世界』 『せかいのおきく』 | |||||||||||||||
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経歴
編集大阪府堺市出身[3]。実家は仏具店で、家の前に東映の封切館「堺銀座東映パール」があった[4][5][6]。子どもの頃は東映ヤクザ映画の全盛期で[4]、お客が映画館に押し寄せ、紛れてタダ見した[4][5][6]。もし家の前の映画館が東映ではなく松竹だったら、人情喜劇でデビューしていたと思うと話している[6]。東映作品を一本だけ選ぶなら『森と湖のまつり』という[6]。大阪府立三国丘高等学校時代は家に閉じこもり、友達は一人もいなかったという[4][7]。大きな影響を受けたのが大島渚で[4][5]、大島のシナリオを読み漁っていたら、学生運動をしないといけないと思うようになった[4]。それでまだ学生運動をやっているところはないかと探したら横浜国立大学がまだやっていたことが分かり[4]、一浪して同大学教育学部入学[4]。しかし大学生活は面白くなく、すぐに行かなくなり10ヶ月で中退[4][8]。映画の世界に行くしかないとは考えていたが、製作現場に入る方法が分からず、テレビドラマでエキストラのアルバイトなどをする[4][5]。偶然、石井聰亙と知り合いになり「『爆裂都市 BURST CITY』を撮るけど、美術助手なら空いてるよ」と誘われ、初めて映画製作の現場を体験する[4]。同作の撮影は5ヵ月続き、毎日徹夜で現場で寝たという[4]。ギャラは月4万円と安かったが、3食メシが出るし映画の撮影が楽しく映画をやっていきたいと思うようになった[4]。以降、助監督として井筒和幸や川島透の現場にスタッフとして参加する[4][9]。
1989年、赤井英和主演の『どついたるねん』にて監督デビューを果たし、芸術選奨文部大臣新人賞、日本映画監督協会新人賞、ブルーリボン賞作品賞を受賞する[10]。2000年、深作欣二監督『仁義なき戦い』(1973年)をリメイクした『新・仁義なき戦い』を監督する[11]。同年、藤山直美主演の『顔』で第25回報知映画賞作品賞を受賞した[12]。
2002年、日韓合作映画『KT』が公開される[13][注 1]。2007年、風吹ジュン主演の『魂萌え!』が公開される[15]。2008年、タイでの幼児売買春と臓器密売を扱った『闇の子供たち』が公開される[16]。同年、藤原竜也主演の『カメレオン』を監督する[17]。2010年には、香取慎吾主演の『座頭市 THE LAST』が公開されたほか[18]、仲村トオル主演の『行きずりの街』が公開された[19]。
2011年、布袋寅泰「PROMISE」のミュージック・ビデオを監督する[20]。2012年、原田芳雄の遺作となった『大鹿村騒動記』が第33回ヨコハマ映画祭作品賞を受賞する[21]。同年、吉永小百合を主演に迎えた東映創立60周年記念映画『北のカナリアたち』が公開される[22]。2013年、M資金をめぐる経済サスペンス『人類資金』が公開される[23]。2014年、一青窈「蛍」のミュージック・ビデオを監督する[24]。2015年、ドキュメンタリー映画『ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年』が第28回東京国際映画祭のパノラマ部門にて上映される[25]。2023年、長編映画『せかいのおきく』が第22回ニューヨーク・アジアン映画祭にて上映され、同映画祭から、生涯功績賞を受賞する。[26]
スタイルと影響
編集北野武と並んで「撮影所以後」を代表する監督のひとりと目されている[27]。
影響を受けた映画監督にはフェデリコ・フェリーニを挙げている[28]。
フィルモグラフィー
編集映画(監督作品・その多くで脚本兼務)
編集- どついたるねん(1989年)
- 鉄拳(1990年)
- 王手(1991年)
- トカレフ(1994年)
- BOXER JOE(1995年)
- ビリケン(1996年)
- 傷だらけの天使シリーズ
- 傷だらけの天使(1997年)
- 愚か者 傷だらけの天使(1998年)
- 顔(2000年)
- 新・仁義なき戦い(2000年)
- KT(2002年)
- ぼくんち(2003年)
- この世の外へ クラブ進駐軍(2004年)
- 亡国のイージス(2005年)
- 魂萌え!(2007年)
- 闇の子供たち(2008年)
- カメレオン(2008年)
- 座頭市 THE LAST(2010年)
- 行きずりの街(2010年)
- 大鹿村騒動記(2011年)
- 北のカナリアたち(2012年)
- 人類資金(2013年)
- ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年(2015年)
- 団地(2016年)
- エルネスト(2017年) ※ 日本・キューバ合作映画。[29]
- 半世界(2019年)
- 一度も撃ってません(2020年)
- 弟とアンドロイドと僕(2022年)
- 冬薔薇(2022年)
- せかいのおきく(2023年)
映画(監督作品以外)
編集- 爆裂都市 BURST CITY (1982年) 美術編集
- アジアの逆襲 (1983年) 製作担当
- 危ない話 (1989年) 脚本のみ
- SFXアドベンチャーアクション 東方見聞録 1992 原作
- 映画監督って何だ!2006 出演
ミュージック・ビデオ
編集著書
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “阪本順治監督インタビュー:映画「北のカナリアたち」について【1/2】”. INTRO (2012年11月1日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “辰吉丈一郎×阪本順治「ジョーのあした」、20年分の魂の記録が公開決定”. ナタリー (2015年9月26日). 2015年10月27日閲覧。
- ^ “映画「人類資金」PR 主演の佐藤浩市さんら”. 大阪日日新聞 (2013年9月18日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 「人物日本列島人物 ウィークリー・データ連載(407) デビュー作『どついたるねん』で賞ずくめの新人映画監督 阪本順治 『大島渚さんの家に押し掛けたのにサインもらえなくて エキストラのバイトがあったんでやってみたんですよ。テレビドラマでフンドシ一枚になったり(笑)。それもすぎ嫌になってやめちゃった。』」『週刊宝石』1990年3月29日号、光文社、84–87頁。
- ^ a b c d “ゲスト:阪本順治(映画監督)”. ザ・インタビュー〜トップランナーの肖像〜. BS朝日. 2022年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月27日閲覧。
- ^ a b c d 阪本順治「私と東映映画 Part8 『役者のボルテージが、そのまま映画のボルテージになる』」『東映キネマ旬報 2008年冬号 vol.8』2008年8月1日、東映ビデオ、12–13頁。
- ^ “平成14(2002)年度総会報告”. 三丘同窓会 (2002年). 2020年3月23日閲覧。
- ^ “阪本順治監督×俳優佐藤浩市 あらまほしき映画 (1)”. 西部邁ゼミナール. TOKYO MX (2011年6月25日). 2015年10月27日閲覧。
- ^ “人類資金:阪本順治監督に聞く「志の高い映画だが、どう面白がってもらえるかを考えた」”. 毎日新聞 (2013年10月20日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “仕事とは? - 映画監督 阪本順治 - 就職ジャーナル”. リクナビ (2012年10月31日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “夏の映画特集 完成版 - 5つのテーマで14本の注目映画を紹介 - ラストは「超人気コミックが原作の映画」(20/24)”. 日経トレンディ (2008年8月20日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “報知映画賞ヒストリー”. シネマ報知 (2000年12月27日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “阪本順治×荒井晴彦 対談:前編 - 大喧嘩した2人の10年後の復縁 映画『大鹿村騒動記』”. ビジネス IT (2011年7月20日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ 荒井晴彦『争議あり』青土社、2005年、[要ページ番号]頁。[[[Wikipedia:出典を明記する#出典の示し方|要ページ番号]]][[Category:出典のページ番号が要望されている記事]]頁&rft.pub=[[青土社]]&rfr_id=info:sid/ja.wikipedia.org:阪本順治">
- ^ “新境地を開いた「魂萌え!」阪本順治監督が語る”. 映画.com (2007年1月23日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “阪本順治監督、映画「闇の子供たち」ロケ裏話披露”. スポーツニッポン (2008年6月26日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “優作さんのために書かれた脚本、藤原竜也主演で映画化”. 日刊スポーツ (2008年8月1日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ 真紀和泉 (2010年5月30日). “エンタがビタミン - 「あのシーンはいらない」。香取慎吾『座頭市 THE LAST』に草なぎがまさかのダメ出し。”. Techinsight. 2014年3月24日閲覧。
- ^ “デビュー25周年の仲村トオル、50作目『行きずりの街』公開に感無量”. ORICON STYLE (2010年11月20日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “布袋寅泰、『新・仁義なき戦い』以来10年ぶり阪本順治監督とコラボ実現”. BARKS (2011年5月26日). 2014年3月12日閲覧。
- ^ “ヨコハマ映画祭表彰式 吉高由里子さんら輝く笑顔、故原田芳雄さんしのぶ場面も”. 神奈川新聞 (2012年2月6日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “大自然の風景と重ねて”. 大阪日日新聞 (2012年10月28日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “「人類資金」阪本順治監督”. 読売新聞 (2013年10月11日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “一青窈、新曲「蛍」PVは阪本順治監督のノーカット映像”. ナタリー (2014年3月13日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “辰吉丈一郎、熱烈な“辰吉”コールに迎えられ「ジョーのあした」舞台挨拶に登壇”. ナタリー (2015年10月23日). 2015年10月27日閲覧。
- ^ “レポート】映画『せかいのおきく』阪本順治監督、第22回ニューヨーク・アジアン映画祭にて生涯功労賞受賞!”. anemo (2023年7月19日). 2023年8月5日閲覧。
- ^ 藤井仁子 (2013年5月27日). “日本映画のグローバル化をめぐる深い憂鬱とささやかな展望”. 読売新聞. 2014年3月24日閲覧。
- ^ “2008年、映画業界を賑わせた映画監督に聞く! 年末年始にもう1度見たい、あの映画”. Eo光 (2008年12月5日). 2014年3月24日閲覧。
- ^ “オダギリジョーがキューバ革命軍映画で主演日系人役”. 日刊スポーツ. (2016年8月2日) 2016年8月2日閲覧。
関連書籍
編集- 「アルモドバル・アレン・阪本順治・ポダリデス」『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』、勁草書房、1998年、ISBN 978-4-326-84852-2。
外部リンク
編集- 阪本順治 - allcinema
- 阪本順治 - KINENOTE
- 阪本順治 - 日本映画データベース
- Junji Sakamoto - IMDb