銀の匙』(ぎんのさじ)は、中勘助による自伝小説である。

概要

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本棚引き出しにしまった小箱の中にある銀の匙をきっかけに、幼年期伯母に包まれた生活回想する。

経緯

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前編1910年明治43年)に執筆され[1]1913年大正2年)には「つむじまがり」と題された後編が執筆された。夏目漱石に送って閲読を乞うたところ絶賛を得、その推挙により同年4月8日から6月4日まで前編全57回が、1915年(大正4年)4月17日から6月2日まで後編全47回が東京朝日新聞で連載された。

1921年(大正10年)に岩波書店から単行本が出版され、1935年昭和10年)11月には岩波文庫版が発行された。岩波文庫版には和辻哲郎が解説を寄せている。2003年平成15年)に岩波書店が創業90年を記念して行った「読者が選ぶ〈私の好きな岩波文庫100〉」キャンペーンにおいて、本書は、夏目漱石の『こころ』、『坊っちゃん』に次いで、3位に選ばれた。また、岩波文庫版は113万6000部が発行され、岩波文庫で10位に位置するベストセラーとなっている(2006年(平成18年)12月現在)[2]。さらに、2012年には、後述のように同書を使った授業を展開したことで知られる橋本武が解説を付けた版が、小学館文庫として刊行されている

影響

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灘中学校において国語教諭の橋本武は、1950年から、教科書を使わず、中学の3年間をかけて本作品を読み込む授業を行っていた[3]『銀の匙』授業)。その理解と解釈の深い掘り下げ方に物語は遅々として進まず、生徒から「この進捗では3年で終わらないのでは」という声があがるが、橋本は「すぐ役に立つことは、すぐに役立たなくなる」としテーマの真髄に近づき問題をきちんと理解できるかどうか“学ぶ力の背骨”を生徒が物語から学ぶよう教鞭を取った。この授業を受けた生徒に、東京大学総長・濱田純一神奈川県知事黒岩祐治、弁護士・海渡雄一阪急阪神ホールディングス代表取締役会長・角和夫最高裁判所裁判官山崎敏充らがいる。

書誌情報

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脚注

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外部リンク

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