鉄の女
政府の長たる女性に対ししばしば用いられる通称
鉄の女(てつのおんな、英: Iron Lady)とは、しばしば女性の政府の長に付けられる愛称で、強い意志を持つ女性を「鉄」に例え描写するものである。マーガレット・サッチャーがこのように比喩されるのはよく知られているが、これは、1976年にサッチャーの共産主義に対する不寛容な態度を、ソビエト連邦のマスメディアが非難した言葉にちなむ[1]。
概説
編集「鉄の女」と呼ばれた女性政治家の例を挙げる。
- マーガレット・サッチャー - イギリスの第71代首相(1979年 - 1990年)
- バーバラ・キャッスル - イギリス労働党の指導者。40年以上にわたって政治家を務めた[2]。
- インディラ・ガンディー - インドの第5代、第8代首相(1966年 - 1977年、1980年 - 1984年)
- ゴルダ・メイア - イスラエルの第5代首相(1969年 - 1974年)
- ユージェニア・チャールズ - ドミニカ国第3代首相(1980年 - 1995年)。「カリブの鉄の女」として知られる。
- ビリャナ・プラヴシッチ - スルプスカ共和国第2代大統領(1996年 - 1998年)。「セルビアの鉄の女」として知られる[3]。
- ユーリヤ・ティモシェンコ - ウクライナの第11代、第14代首相(2005年、2007年 - 2010年)[4][5]
- ジルマ・ルセフ - ブラジルの第36代大統領(2010年 - 2016年)[6]
- アンゲラ・メルケル - ドイツの第8代首相(2005年 - 2021年)
- エレン・ジョンソン・サーリーフ - リベリアの大統領(2006年 - 2018年)[7]
- ダリア・グリバウスカイテ - リトアニアの大統領(2009年 - 2019年)[8]
- アウンサンスーチー - ミャンマーの国家顧問(2016年 - )
- ネリー・クルース - 欧州委員会競争政策担当委員(2004年 - 2010年)。「反トラストの鉄の女」とも「鉄のネリー」とも呼ばれる[9]。
- イメルダ・マルコス - 元フィリピン大統領フェルディナンド・マルコスの元ファーストレディ。「鉄の蝶」と呼ばれる[10]。
- マデレーン・オルブライト - 第64代アメリカ合衆国国務長官(1997年 - 2001年)。「チタンの女」と呼ばれる[11]。
- 林鄭月娥 - 第5代香港特別行政区行政長官(2017年 - 2022年)[12]
- 小池百合子 - 第20代東京都知事(2016年 - ) [1]
- 蔡英文 - 第14・15代中華民国総統(2016年 - 2024年)[13]
- リズ・トラス - イギリスの第78代首相(2022年)。サッチャーになぞらえて「鉄の女2.0」と呼ばれる。[14]
脚注
編集- ^ Speech at Kensington Town Hall ("Britain Awake") (The Iron Lady), Margaret Thatcher Foundation archives
- ^ U.K. loses its first Iron Lady By Hasan Suroor (The Hindu) May 5, 2002
- ^ http://news.bbc.co.uk/2/hi/1108604.stm
- ^ Ukraine's Iron Lady, Time Magazine (January 30, 2005)
- ^ Ukraine's Iron Lady provokes rift, The Guardian (July 3, 2005)
- ^ “Brazil: 'Iron Lady' Is New Chief Of Staff”. ニューヨーク・タイムズ. (June 22, 2005) 2009年12月21日閲覧。
- ^ “Liberia's 'Iron Lady' claims win”. BBC. (2005年11月11日) 2006年7月23日閲覧。
- ^ Lithuania elects first female president ABC News Dalia Grybauskaite: Lithuania’s ‘Iron Lady’ Khaleej Times
- ^ Riley, Alan (2009年12月3日). “The legacy of the Iron Lady of Antitrust”. European Voice. 2010年1月25日閲覧。
- ^ Rowan, Roy (1976年3月29日). “Orchid or Iron Butterfly, Imelda Marcos Is a Prime Mover in Manila”. People Magazine 2006年7月23日閲覧。
- ^ Federation of American Scientists. NATO-List: USIA - Albright Foreign Media Reaction: "Titanium Lady Shows Her Mettle In Moscow" The conservative Daily Telegraph pointed out (February 21, 1997)
- ^ “香港政府トップ “辞任発言”めぐり釈明”. 日本放送協会. (2019年9月3日) 2019年9月11日閲覧。
- ^ “台湾総統に蔡氏 妥協しない「鉄の女」”. 日本経済新聞. (2010年1月20日) 2020年3月6日閲覧。
- ^ “英新首相リズ・トラス氏(47) 移り気な「鉄の女2.0」”. 日本経済新聞. (2022年9月6日) 2022年9月7日閲覧。
関連項目
編集- 鉄人
- ペルセポネー - 「鉄の女王」と呼ばれた。
- 仁粹大妃韓氏、文定王后尹氏 - 両者共に朝鮮史における「鉄の妃」として知られる。
- ホッスー・カティンカ - ハンガリーの女子競泳選手。「鉄の女(Iron Lady)」と呼ばれるだけなく、自称して"Iron Lady"グッズも販売している。
- 鉄の処女 - アンゲラ・メルケルの本来のあだ名。
- エッフェル塔 - 「鉄の女」の隠語で呼ばれることもある。
- ヨシフ・スターリン - ソビエト連邦の第二代最高指導者。「スターリン」の筆名は「鉄の男」を意味する。
- イクノディクタス - 日本の競走馬(牝馬)。1989年に中央競馬でデビューして以来、引退まで大きな故障もなく51戦のレースを走り続けたことからこのように呼ばれた(「鉄人」のスポーツにおける扱いと同様の呼ばれ方)。
- トリプティク - アメリカで生まれ、アイルランドとフランスで調教された競走馬。仏・英・愛・米・日・加と6か国を転戦し、牡馬混合G1競走8勝を挙げた。
- レディーズシークレット - アメリカの競走馬。1985年には年間で17走、翌年には計15レースに出走しながら大きな故障もなく、引退までにG1競走11勝を挙げた。