金子満

日本のアニメーションプロデューサー

金子 満(かねこ みつる、1939年(昭和14年)1月 - 2018年(平成30年)6月15日[1])は、日本のアニメーションプロデューサーディレクターシナリオライター。「日本のコンピュータグラフィックスの父」と称される[2]

かねこ みつる
金子 満
生年月日 1939年1月
没年月日 2018年6月15日
出生地 日本の旗 日本東京
職業 アニメーションプロデューサーディレクターシナリオライター
配偶者 浜美枝
事務所 フジテレビジョン⇒MK COMPANY⇒慶應義塾大学東京工科大学
受賞
アカデミー賞
アカデミー特別業績賞
その他の賞
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東京生まれ。東京工業大学大学院後期博士課程修了。学位は博士(学術)慶應義塾大学東京工科大学教授を務めた。

経歴

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父は映画配給会社・東宝の重役を務めた。

慶應義塾大学法学部を卒業後、フジテレビジョンに入社。編成部で『日清オリンピックショウ 地上最大のクイズ』や『第7の男[3]ゼロファイター』などを手掛ける。1964年に担当した『ゼロファイター』では制作方針の混乱から、当時のスポンサーが完成作品を敬遠して1969年まで「お蔵入り」を招く失敗を経験した[4]。その失敗を経て、社内留学制度を利用し南カリフォルニア大学シネマスクールへ留学。さらに、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーで研修を受ける。帰国後は『木枯し紋次郎』などのプロデューサーを務める。

MK COMPANY設立

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1974年にフジテレビから独立して、映像企画会社のMK COMPANY(エムケイ)を設立した。エムケイでは『ウリクペン救助隊』『ラ・セーヌの星』や、中谷国夫の名で『大空魔竜ガイキング』の原作を手掛ける。その後も、エムケイのプロデューサー兼シナリオライターとして『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』『名犬ジョリィ』『太陽の子エステバン』を製作した。

1983年には東京工業大学の安居院・中嶋研究室と共同で2Dアニメーションの研究を行い、テレビシリーズのアニメ作品では世界初のコンピュータで描画・彩色した『子鹿物語』を製作した。以降も『SF新世紀レンズマン』などのアニメ作品に携わる。1987年にはジム・クリストフらと、ロサンゼルスにメトロライトスタジオを設立。メトロライトスタジオが手掛けた映画『トータル・リコール』では、当時の最新技術だったモーションキャプチャシステムがうまく作動しなかったので、アーノルド・シュワルツェネッガーのビデオショットをハーフミラーで一枚ずつコンピューターモニターに投射して、モニター上の骸骨モデルをビデオの動き通りの位置に張り付けるロトスコープを採用した。これによって、アカデミーの技術協会から「お金をかけなくても良い効果を生み出せる例」としてアカデミー特別業績賞を受賞する[5]

慶應義塾大学、東京工科大学教授

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1996年に、東京工業大学大学院後期博士課程を修了(情報理工学)。慶應義塾大学環境情報学部及び同大大学院教授を経て、東京工科大学メディア学部教授、同大大学院教授となる。2010年に、東京工科大学大学院及び東京工科大学片柳研究所教授に就任し、同研究所のクリエイティブ・ラボで主宰を務める。また、東京国際アニメフェアで委員を担うなど、精力的に活動をしていた。

2018年6月15日に死去した。

JCGLの設立

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1981年、日本で最初の商業CGスタジオ「JCGL(ジャパン・コンピュータ・グラフィックス・ラボ)」を渋谷区南平台に設立した。JCGLは、2階建てのブティック風のつくりながら、地下にスタジオやマシンルームを備えるという遊び心に富んだものであった。来日時のビル・ゲイツも見学に訪れたという。

1984年、製作講談社、配給東宝東和系で映画『SF新世紀レンズマン』を公開。宇宙船などを3DCGによって表現した。これはニューヨーク工科大学の技術が導入されたものであった。だが、機器の高機能化・低価格化にともなう所有機材の陳腐化や財務状況の悪化、特許に関する訴訟などによってJCGLは次第に疲弊し、ナムコ(現在の株式会社バンダイナムコエンターテインメント)に吸収される。当時のJCGLのスタッフは離散したが、1985年、スタッフ教育のためにJCGL内に発足した「CGカリキュラム研究会」は、その後CG-ARTS協会へと発展し、CGクリエイター検定などを実施している。

親族

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1969年、女優・浜美枝と結婚[6]。2男2女をもうけた[7]

脚注

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  1. ^ 「金子満先生を偲ぶ会」のご案内をいたします。”. www.facebook.com. 公益財団法人画像情報教育振興協会. 2023年4月1日閲覧。
  2. ^ 別冊宝島2551『日本の女優 100人』p.63.
  3. ^ 『映像ミザンセーヌの黄金則 ヒットする映画の作り方』120頁
  4. ^ 『映像ミザンセーヌの黄金則 ヒットする映画の作り方』114 - 115頁
  5. ^ 『映像ミザンセーヌの黄金則 ヒットする映画の作り方』113頁
  6. ^ 「語る 人生の贈りもの 浜美枝 11 結婚・子育て…舞い込んだ司会業」『朝日新聞』2022年1月17日 35頁
  7. ^ “徹子の部屋 バックナンバー 浜 美枝(はま みえ)”. テレビ朝日. (2014年9月25日). https://www.tv-asahi.co.jp/tetsuko/guest/bn/20140925.html 2024年11月4日閲覧。 

著書・監修

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  • 金子満 (著)、東京工科大学片柳研究所クリエイティブ・ラボ(監修)『映像コンテンツの作り方 コンテンツ工学の基礎』ボーンデジタル、2007年4月。ISBN 978-4862460172 
  • 金子満 (著)、長尾康子 (編集)『シナリオライティングの黄金則 コンテンツを面白くする』ボーンデジタル、2008年4月。ISBN 978-4862460622 
  • 金子満 (監修、読み手)、ジェイソン E. スクワイヤ (編集)『ザ・ムーヴィビジネスブック』ボーンデジタル、2009年4月。ISBN 978-4862460721 
  • 金子満、近藤邦雄、平谷早苗 (編集)『キャラクターメイキングの黄金則』ボーンデジタル、2010年9月。ISBN 978-4862461261 
  • 沼田やすひろ(著)、金子満(監修)『「おもしろい」映画と「つまらない」映画の見分け方』キネマ旬報社〈キネ旬総研エンタメ叢書〉、2011年8月。ISBN 978-4873763699 
  • 沼田やすひろ(著)、金子満(監修)『「おもしろい」アニメと「つまらない」アニメの見分け方』キネマ旬報社〈キネ旬総研エンタメ叢書〉、2012年3月。ISBN 978-4873763927 
  • 金子満、近藤邦雄、三上浩司渡部英雄『映像ミザンセーヌの黄金則 ヒットする映画の作り方』ボーンデジタル、2012年3月。ISBN 978-4862461834 
  • ビデオリサーチ 編『「視聴率」50の物語 テレビの歴史を創った50人が語る50の物語』小学館、2013年8月。ISBN 978-4093108096 
  • 金子満(原作)森村あすか(作画)『ラ・セーヌの星 = Étoile de la Seine 1』復刊ドットコム、2013年11月。ISBN 978-4835449852 
  • 金子満(原作)森村あすか(作画)『ラ・セーヌの星 = Étoile de la Seine 2』復刊ドットコム、2014年1月。ISBN 978-4835449869