那須 辰造(なす たつぞう、1904年7月30日 - 1975年4月5日)は、日本小説家児童文学者

略歴

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和歌山県西牟婁郡田辺町(現田辺市)生まれ。東京帝国大学仏文科卒業。第10次『新思潮』同人で、福士幸次郎に師事し、小説、翻訳を発表した。戦後は児童文学者となった。子供向けに外国文学の再話を多く行い、『ぞうさんババール』シリーズなどフランスの児童文学を訳した。1956年に『緑の十字架』で第3回サンケイ児童出版文化賞受賞。

福島正実茂市久美子は弟子。SF作家・翻訳家の野田昌宏によると、福島が早川書房に入社したのは、那須の紹介によるという[1]

1960年代鳥越信の再話・抄訳批判に、福島とともに反論した。俳人でもあった。

兄の野田健三郎は九州大学教授、電気工学研究者、上述の野田昌宏は健三郎の息子である[2]

著書

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  • 『釦つけする家』(小説集)(金星堂) 1933年
  • 『天窓』(句集)(風流陣発行所、風流陣俳句文学叢書) 1939年
  • 松尾芭蕉 伝統と悲劇』(道統社) 1942年
  • 『鯛舟』(報国社) 1942年
  • 『国しぬび』(国民社) 1944年
  • 北畠親房』(三省堂) 1944年
  • 『李花哀傷』(鎌倉書房) 1946年
  • 『チビ象坊ヤ』(宮島書店) 1947年
  • 『哀傷日記 南海のほとり』 (梧桐書院) 1948年
  • 『難破船の少年 漂流冒険小説』(講談社) 1948年
  • 『ケンタッキー探検 ダニエル・ブーン物語』(小峰書店) 1951年
  • アムンゼン』(あかね書房、小学生伝記文庫) 1952年
  • 『芭蕉物語』(改訂版)(同和春秋社、日本名作物語) 1953年
  • コロンブス 』(講談社) 1953年
  • 『外国文学の読み方』(同和春秋社、中学生の文学教室) 1954年
  • 万次郎漂流記』(講談社) 1954年
  • ぺすたろっち』(講談社、講談社の二年生文庫) 1954年
  • 葛飾北斎』(金子書房、少年少女新伝記文庫) 1955年
  • 『緑の十字架』(同和春秋社) 1955年:産経児童出版文化賞受賞
  • マルコ・ポーロ』(講談社) 1955年
  • 『近世俳人物語』(福村書店) 1956年
  • 『世界探検物語』(講談社) 1956年
  • 『白い大陸 南極へ』(講談社、少年少女世界科学冒険全集) 1956年
  • 『南極の探検』(宝文館、少年少女世界探検開発文庫) 1957年
  • 『偉人の話』(講談社) 1957年
  • フランクリン』(偕成社、児童伝記全集) 1958年
  • ナポレオン』(講談社) 1958年
    のち火の鳥伝記文庫
  • 『まぼろしのオランダ船』(講談社、少年少女日本歴史小説全集) 1959年
  • 『少年少女世界伝記全集(北欧編)ナンセン』(講談社) 1961年
  • 『少年少女世界伝記全集(東洋編) ジンギスカン』 (講談社) 1961年
  • 『文化の偉人 芸術につくした人びと』(あかね書房、小学生偉人全集) 1962年
  • リンカーン 自由の父・愛の人』(偕成社、世界偉人伝全集) 1962年
  • バード少将』(講談社、幼年世界伝記全集) 1965年
  • 『歌仙三吟「四季」四篇』(笹沢美明藤島昌平共著、青芝俳句会) 1968年
  • キャプテンクック(集英社、母と子の世界の伝記) 1973年
  • 『茄弓堂一夜句集』(青芝俳句会) 1976年
  • 『地球は美しいです』(講談社、児童文学創作シリーズ) 1976年
  • 那須辰造著作集』全3巻 (講談社) 1980年
  • 『インキびん - 少年少女のために 那須辰造訳詩集』(那須喜代) 1982年

翻訳

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  • 『小説論 列冊新文学研究 評論部 第3編』(アンリイ・マッシス金星堂) 1932年
  • 『小鳥のよるひる』(ジヤック・ドラマン(Jacques Delamain)、東京出版) 1946年
  • 『悲恋 ドミニツク』(フロマンタン白鳳書院) 1949年
  • ジャングルの少年』(キップリング小峰書店、小学生文庫) 1951年
  • ガリバー旅行記』(スウィフト講談社、世界名作全集) 1951年
  • リビングストン アフリカ探検』(大日本雄弁会講談社) 1951年
  • ドン・キホーテ』(セルバンテス講談社、世界名作全集) 1952年
  • 子じか物語』(ローリングス、講談社、世界名作全集) 1953年
  • 『モーヌの大将』(Le Grand Meaulnes、アラン・フルニエ早川書房、ウェルテル文庫) 1953年
  • 『ソロモン王の宝窟』(King Solomon's Mines、H・R・ハガード、日本出版協同) 1953年
  • 『判事への手紙 シメノン選集 第3』(Lettre a mon juge、早川書房) 1955年
  • ジャン・クリストフ』(ロマン・ローラン講談社、世界名作全集) 1956年
  • 十五少年漂流記』(ヴェルヌ、講談社) 1956年
    のち青い鳥文庫
  • 『ジップジップと空とぶ円ばん』(Zip-Zip and His Flying Saucer、スチーラー(John M.Schealer)、講談社、現代児童名作全集) 1957年
  • 海底二万マイル』(ベルヌ偕成社) 1957年
  • 『かもめ隊の少女』(トゥードゥーズ(Georges Toudouze)、講談社世界少女小説全集) 1957年
  • 『名馬風の王』(King of The Wind、マーゲライト・ヘンリー(Marguerite Henry)、講談社) 1957年
    のち青い鳥文庫
  • 『中央アジア探検記』(ヘデン、講談社) 1958年
  • 『美しいローレット』(ディエレット(Dielette)、講談社、世界少女小説全集) 1958年
  • フランダースの犬』(ウィーダ小学館、小学館の幼年文庫) 1958年
  • ああ無情』(ヴィクトル・ユーゴー、講談社、少年少女世界文学全集) 1958年
  • 『愛馬フリッカ』(メリー・オハラ(Mary O'Hara) 、講談社、少年少女世界動物冒険全集) 1958年
  • 謡曲狂言物語』(世阿弥他、講談社、少年少女日本名作物語全集) 1959年
  • 『無人島の三少年』(The Coral Island、バレンタイン(R.M.Ballantyne)、偕成社、名作冒険全集) 1959年
  • 家なき子』(エクトル・マロー、講談社、少年少女世界名作全集) 1960年
  • 三銃士』(アレクサンドル・デューマ、偕成社、児童世界文学全集) 1960年
  • 『かもめ岩の冒険』(ジュール・サンドー(Jules Sandeau)、講談社、世界名作全集) 1961年
  • 『宇宙への門』(Le continent du ciel、ベルナ、講談社、少年少女世界科学名作全集) 1962年
  • 『南極でただひとり』(バード、講談社、世界ジュニアノンフィクション全集) 1962年
  • 『黄金の都をもとめて』(パーク、講談社、世界ジュニアノンフィクション全集(探検編)) 1962年
  • 王子とこじき』(マーク・トウェーン、講談社) 1962年
  • 『オクスフォード世界の民話と伝説(フランス編)』(バーバラ・ピカード、講談社) 1964年
  • 『カラハリさばくのライオン / 野鳥記』(アンドレ・ドメゾン / ジャック・ドラマン、あかね書房、少年少女世界動物文学全集) 1964年
  • 『難破船』(L'Épave du Cynthia、ベルヌ学習研究社、少年少女ベルヌ科学名作全集) 1964年
  • 『水と原始林のあいだで・わたしの幼年時代』(アルベルト・シュヴァイツァー、偕成社) 1964年
  • 『アルセーヌ・ルパンの冒険 / 奇巌城 / 水晶のせんの秘密』(ルブラン、あかね書房) 1964年
  • 『荒野の二少年 / なだれ / 南の島の冒険』(モワット、講談社、少年少女新世界文学全集(諸国編)) 1964年
    「なだれ」はルーフ・バーセナウ作、朝倉純孝朝倉澄共訳、「南の島の冒険」はチョンシー作、白木茂
  • 『すてきな子犬ジンジャー』(エステス(Eleanor Estes)、講談社、世界少女名作全集) 1964年
  • シミトラの孤児』(ボンゾン(Paul-Jacques Bonzon)、講談社、少年少女新世界文学全集(フランス現代編)) 1964年
  • 『首なしうま』(Le cheval sans tête、ポール・ベルナ、講談社) 1965年
  • ぞうさんババール』(ジャン・ド・ブリューノフ、ローラン・ド・ブリューノフ、講談社、フランス生まれのババール絵本 1) 1965年
  • 『397ばんめの白いぞう』(The 397th White Elephant、ルネ・ギヨ(René Guillot)、偕成社) 1965年
  • ピーターうさぎ』(ビアトリクス・ポッター、講談社) 1965年
  • 『王さまババール』(ブリューノフ、講談社) 1965年
  • 『ババールの旅行』(ブリューノフ、講談社) 1965年
  • 『ババールとサンタクロース』(ブリューノフ、講談社) 1965年
  • 『デブの国・ノッポの国』(モーロワ、偕成社) 1965年[3]
  • シュリーマン』(小峰書店、世界偉人自伝全集) 1966年
  • 『星からきた人フュティノ』(パトリス・ギロワ、偕成社) 1966年
  • 信長記』(ポプラ社、古典文学全集) 1966年
  • 『ババールと子どもたち』(ブリューノフ、講談社) 1966年
  • 『ババールのピクニック』(ブリューノフ、講談社) 1966年
  • 青い鳥』(メーテルリンク、講談社、世界の名作図書館) 1966年
  • セギュール夫人童話集 ソフィーのいたずら』(岩崎書店) 1966年
  • 『大おとことおもちゃやさん』(ジェームズ・サーバー、偕成社) 1967年
  • 月世界旅行』(ベルヌ、偕成社、ベルヌ名作全集) 1968年
  • せまき門』(アンドレ・ジイド岩崎書店、ジュニア版世界の文学) 1968年
  • ゴッホ』(小峰書店、世界偉人自伝全集) 1968年
  • 『ぞうのプーパ』(ドメゾーン(Andre Demaison)、集英社) 1969年
  • 『機関士白ねずみくん物語』(カッタン、講談社、世界の名作図書館) 1969年
  • 『ダニーとなかよしのきょうりゅう』(ルイス・スロボトキン(Louis Slobodkin)、偕成社) 1969年
  • 『まいごのこいぬパンタローニ』(ベッティーナ、偕成社) 1969年
  • シンデレラひめ』(ペロー、偕成社) 1969年
  • 『ゆめってとてもふしぎだね』(ウィリアム・ジェイ・スミス、偕成社、どうわ絵本) 1969年
  • 『チンパンジーのウオロ』(ルネ・ギョ(René Guillot)、講談社、国際アンデルセン大賞名作全集) 1969年
  • 『およげなかったペンギン』(アンソニー・エイブラハムズ、偕成社、世界のカラーどうわ) 1970年
  • 『魔女のひつぎ』(ゴーゴリー他、講談社、世界の怪談3) 1970年
    のち青い鳥文庫
  • 『三びきのちびっこライオン』(ポール・ブクジル(Paul Buxil)、講談社、講談社の翻訳絵本シリーズ) 1971年
  • 『ファンファンとこうのとり』(ピエール・プロブスト(Pierre Probst)、講談社) 1971年
  • 『ファンファンとふね』(ピエール・プロブスト、講談社) 1971年
  • 『ファンファンとやぎ』(ピエール・プロブスト、講談社) 1971年
  • 『ファンファンとやまかじ』(ピエール・プロブスト、講談社) 1971年
  • 『二年生のアラビアンナイト』(集英社) 1972年
  • 『ジャングルのサーカス』(ドニーズ・トレズ(Denise Trez)、講談社) 1972年

脚注

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  1. ^ 『小松左京マガジン』9号P.15、小松・野田対談より
  2. ^ http://kingendaikeizu.net/seizi/asou.htm
  3. ^ デブの国・ノッポの国 (世界のどうわ ; 21) | NDLサーチ | 国立国会図書館”. 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ). 2024年7月16日閲覧。

関連項目

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