越前市(えちぜんし)は、福井県嶺北地方にある。福井県では福井市坂井市に次いで人口が多い。

えちぜんし ウィキデータを編集
越前市
越前市旗 越前市章
越前市旗 越前市章
2004年3月1日制定
日本の旗 日本
地方 中部地方北陸地方
都道府県 福井県
市町村コード 18209-5
法人番号 4000020182095 ウィキデータを編集
面積 230.70km2
総人口 78,646[編集]
推計人口、2024年11月1日)
人口密度 341人/km2
隣接自治体 福井市鯖江市今立郡池田町南条郡南越前町丹生郡越前町
市の木
市の花
市の鳥 コウノトリ
越前市役所
市長 山田賢一
所在地 915-8530
福井県越前市府中一丁目13番7号
北緯35度54分13秒 東経136度10分07秒 / 北緯35.9035度 東経136.16875度 / 35.9035; 136.16875座標: 北緯35度54分13秒 東経136度10分07秒 / 北緯35.9035度 東経136.16875度 / 35.9035; 136.16875
越前市役所
外部リンク 公式ウェブサイト

越前市位置図

― 市 / ― 町・村

地図
市庁舎位置
特記事項 越前市の旧境界
(2005年10月1日合併前)

1. 旧:武生市 2. 旧:今立町
ウィキプロジェクト

概要

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旧武生市中心部周辺の空中写真。日野川西岸沿いに市街地が広がる。2021年6月10日撮影の18枚を合成作成。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

福井県のほぼ中央に位置し、越前和紙越前打刃物越前箪笥などの伝統的工芸品の生産地として著名な市[1]。2005年(平成17年)10月1日、武生市および今立郡今立町が合併し発足した。

市の中央を北陸自動車道国道8号が縦断し、関西中京圏などの主要都市や福井市敦賀市など周辺都市との交通の動脈となっている[1]

市周辺地域は古くから拓けた土地であり、旧武生市の辺りには越の国国府が置かれ、北陸地方の政治・経済・文化の中心地として栄えてきた歴史がある[1]平安時代には、「源氏物語」の作者である紫式部が、少女時代を過ごした[1]

中心市街地は、歴史的遺産を継承した、古い町並や建物を活かしたまちづくりが進められており、白壁の蔵が立ち並ぶ「蔵の辻」と呼ばれる一角がある[1]。一方、市の西部地域には豊かな里地里山が残されており、希少野生生物も多く生息しているため、平成16年度に、環境省の「里地里山保全再生モデル地域」に選定されており、コウノトリの飛来を目標に環境調和型農業や里地里山の保全再生に取り組んでいる[1]

 
今立町岩本町の町並み。越前和紙の里
 
旧武生市京町

地理

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位置

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三方を山で囲まれた武生盆地の中央部に市街地を形成している。ごくわずかに越前海岸から離れており、内陸都市である。

地形

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山岳

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河川

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気候

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日本海側気候である。また、豪雪地帯に指定されている。

  • 最深積雪 - 130センチ(2018年2月13日)
武生(旧武生市、平年値2005-2020(降雪量のみ1991-2020))の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
降水量 mm (inch) 260.4
(10.252)
168.5
(6.634)
165.7
(6.524)
147.3
(5.799)
135.9
(5.35)
146.3
(5.76)
248.5
(9.783)
137.3
(5.406)
223.4
(8.795)
164.2
(6.465)
176.6
(6.953)
352.9
(13.894)
2,296.5
(90.413)
降雪量 cm (inch) 114
(44.9)
89
(35)
14
(5.5)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
40
(15.7)
262
(103.1)
平均降水日数 (≥1.0 mm) 22.4 17.9 15.5 12.2 10.7 11.1 12.8 8.9 11.7 11.9 15.3 23.9 173.7
出典:気象庁[2]

人口

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越前市と全国の年齢別人口分布(2005年) 越前市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 越前市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性
越前市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年) 76,720人
1975年(昭和50年) 79,808人
1980年(昭和55年) 81,942人
1985年(昭和60年) 83,953人
1990年(平成2年) 84,897人
1995年(平成7年) 85,533人
2000年(平成12年) 87,699人
2005年(平成17年) 87,742人
2010年(平成22年) 85,614人
2015年(平成27年) 81,524人
2020年(令和2年) 80,611人
総務省統計局 国勢調査より


隣接自治体

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 福井県

なお、福井市と接する部分は鯖江市・池田町を含む4市町境が交差する山頂1点のみ。

歴史

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奈良時代越前国国府が置かれる。鎌倉時代に守護へ権力が移行し国司制度が形骸化するまで、越前の政庁である国府であった。

鎌倉時代頃から越前和紙が今立地区(旧今立町)で抄造されはじめ、室町時代には今立地区の大滝村に紙座(組合)[3] が設けられた。 江戸時代には、越前の和紙職人が抄造を全国に普及させ、全国に和紙産地が形成されるとともに、越前和紙は「紙の王」(和漢三才図会)とも称されるほどになった。

旧武生市内府中から、五分市町(ごぶいち)、味真野町(あじまの)一帯は、本願寺の寺社が多く分布しており多くの浄土真宗本願寺派の門徒がいた事から越前一向一揆の惨劇の舞台となった。

その後、織田信長支配時には不破光治佐々成政前田利家府中三人衆により治められ、前田利家によって越前府中城、佐々成政によって小丸城が築かれた。

江戸時代には越前松平家家老の本多家領と幕府領の本保陣屋があった。

明治時代には、今立地区(旧今立町)の越前漆器職人である越前衆[4][5][6] が全国に漆掻きに回る。江戸時代を上回る多くの越前衆の出稼ぎ、移住もあり漆器製造の向上普及に貢献し全国の漆器産地が形成される。

年表

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  • 1913年(大正2年)9月19日 - 武生町内で大火。1700戸が焼失[7]
  • 2005年(平成17年)10月1日 - 武生市および今立郡今立町合併して、越前市が発足する。

行政

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2019年まで使用された旧越前市役所庁舎

歴代市長

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名前 就任日 退任日 備考
奈良俊幸 2005年11月6日 2021年11月5日 4期
山田賢一 2021年11月6日 在任中 1期目

庁舎

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市役所
  • 越前市役所:越前市府中一丁目13番7号
支所・出張所
  • 今立総合支所:越前市粟田部町第9号1番地9(あいぱーく今立内)[8]
  • 味真野出張所:越前市味真野町第7号2番地1(味真野公民館内)
  • 白山出張所:越前市都辺町第36号84番地(白山公民館内)

提携都市

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国内

市名について

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市の名称を巡っては、「武生市」「越前武生市」「南越市」など多数を占めたにもかかわらず、少数意見の「越前市」が選ばれたことに批判がある[9]。既に北隣に「越前町」がある上、2005年(平成17年)1月1日には南隣に南越前町が同じく市町村合併で発足しており、これではほとんど同じ地名が密集することになり、当時の武生市・今立町合併協議会による決定直後から「非常に紛らわしい」「隣接する『越前町』の名称を完全に模倣している」との批判があった[注釈 1]

当時の三木勅男武生市長は、いずれは三箇所とも合併して一つの「越前市」になったらいいと発言し、暗に両隣の町名が合併で自然消滅することを求めたが、2005年5月に行われた最後の武生市長選には出馬せず任期満了、その後合併までの期間も短く、市民による具体的活動も見直し議論もされぬまま越前市の発足に至っている。

議会

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市議会

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越前市議会

県議会

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福井県議会

越前市今立郡南条郡選挙区(越前市、池田町南越前町)に属する。同選挙区から選出される福井県議会議員の定数は5議席。

国会

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衆議院

敦賀市小浜市鯖江市今立郡池田町南条郡南越前町丹生郡越前町三方郡美浜町大飯郡高浜町大飯郡おおい町三方上中郡若狭町と構成される福井県第2区に属する。 また、衆議院選挙比例代表区は比例北陸信越ブロック

参議院

参議院・北陸信越ブロックの福井県選挙区に属する。同選挙区は参議院一人区の1つ。

公共機関

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国の機関

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武生区検察庁
法務省
財務省
厚生労働省
防衛省
裁判所

施設

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越前警察署
 
南越中消防署

警察

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福井県 越前警察署
  • 交番
    • 武生駅前交番(越前市府中一丁目)
    • 有明交番(越前市高瀬二丁目)
    • 南交番(越前市畷町)
    • 国高交番(越前市長土呂町)
    • 粟田部交番(越前市粟田部町:今立分庁舎内)
  • 駐在所
    • 本保駐在所(越前市本保町)
    • 北新庄駐在所(越前市北町)
    • 味真野駐在所(越前市池泉町)
    • 北日野駐在所(越前市矢放町)
    • 王子保駐在所(越前市今宿町)
    • 広瀬駐在所(越前市広瀬町)
    • 白山駐在所(越前市堀町)
    • 岡本駐在所(越前市新在家町)
    • 南中山駐在所(越前市中津山町)
    • 服間駐在所(越前市領家町)

消防

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南越消防組合
  • 中消防署(管轄区域:旧武生市の区域)
  • 東消防署(管轄区域:旧今立町の区域および池田町)

郵便局

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図書館

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交流施設

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運動施設

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道の駅

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経済

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越前打刃物で作られた龍
主な産業
  • 電子・機械・化学・繊維工業が盛ん。
産業別人口(2005年国勢調査)
  • 第一次産業:1,513人
  • 第二次産業:18,623人
  • 第三次産業:23,926人
商工会議所・商工会
  • 武生商工会議所
  • 越前市商工会 - 白山・味真野・今立地区

第一次産業

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農業は稲作が中心。稲作以外にはスイカや菊や蕎麦などの栽培も盛ん。

農業

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農業協同組合

第二次産業

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伝統産業として越前和紙越前打刃物越前箪笥が有名。

工業

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第三次産業

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商業

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主な商業施設

拠点を置く企業

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本社を置く企業

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事業所を置く主な企業

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過去に存在した事業所

情報・通信

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テレビ局
中継局

生活基盤

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電力
電信

当市の市外局番は、料金単位区域と同一の範囲を持つ0778で統一されており、以下の区域への通話は市外局番不要かつ市内通話料金が適用されることとなる。

教育

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仁愛大学

小学校

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越前市の小学校は、現在、計17校が存在している。

特別支援学校

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県立

中学校

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越前市の中学校は、現在、計8校が存在している

高等学校

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越前市の高校は、現在、計3校が存在している

専修学校

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大学

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私立

交通

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武生駅

鉄道

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2024年(令和6年)3月16日には北陸新幹線金沢駅 - 敦賀駅間が延伸開業し、中間駅として越前たけふ駅が設置された[13]

西日本旅客鉄道(JR西日本)
ハピラインふくい
福井鉄道

バス

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路線バス

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福井鉄道(福鉄バス)
越前市市民バス「のろっさ」
越前市シャトルバス
  • 北陸新幹線越前たけふ駅とハピラインふくい武生駅を結び、2024年度(令和6年度)中は大河ドラマ館(武生中央公園)へも乗り入れる。運行は福井鉄道へ委託。

高速バス

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タクシー等

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越前市デマンド交通(チョイソコ
越前市定額タクシー「迎車でGO!」
  • 一般社団法人越前市観光協会が小松タクシー、武生タクシー、丸越タクシー、ヤマトタクシー、白山交通の5社へ運行を委託して行っている。市内の乗降スポット間の移動に限り利用可能で、事前のタクシーチケット購入とタクシー会社への配車が必要。
丹南地域定額タクシー
  • 丹南広域タクシー協議会がエリア内のタクシー会社へ運行を委託して行っている。越前市、鯖江市越前町南越前町の住民以外の人がエリア内の乗降スポット間の移動に限り利用可能で、事前のタクシーチケット購入とタクシー会社への配車が必要。
坂口地区デマンド交通「うららのりねぇ~のGO!!」

道路

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高速道路

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  • E8 北陸自動車道:6 武生IC

国道

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県道

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主要地方道
一般県道

道の駅

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名所・旧跡・観光スポット

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武生中心部にある蔵の辻
 
越前市中央図書館
 
かこさとし ふるさと絵本館「砳」
 
大瀧神社・岡太神社
 
毫摂寺
 
小丸城址
 
花筐公園

名所・旧跡

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主な城郭・館
主な神社
主な寺院
主な史跡
街道
  • 府中馬借街道 - 市の史跡[15]、中世から江戸時代に馬による物資輸送路として利用された古道。

観光スポット

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博物館・美術館
公園
自然

文化・名物

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祭事・催事

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名産・特産

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伝統工芸品
越前市三大グルメ

伝統芸能

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出身関連著名人

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出身著名人

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歴史上の人物
政治・実業
学者
文化人
スポーツ
報道・芸能

ゆかりのある人物

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  • 継体天皇(古墳時代の大王) - 即位前に越国で過ごした。
  • 中臣宅守(奈良時代の歌人) - 罰せられて越前国へ流された。
  • 狭野茅上娘子(奈良時代の歌人) - 中臣宅守と和歌を交わした。
  • 紫式部(平安時代の作家、歌人) - 越前国司となった父・藤原為時とともに訪れ、一年余りを過ごしたといわれている。「源氏物語」を執筆。
  • 明智光秀(戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名) - 織田信長に仕える前の若かりし頃、朝倉義景に召し抱えられ、家臣として越前の地に約10年間暮らしていたとされている。
  • 坪田孫助(幕末~明治時代の生糸・織物商) - 輸出向羽二重製織開始のきっかけをつくった
  • 市川新松(明治~昭和時代前期の鉱物学者) - 北新庄村中新庄(越前市)の市川家の養子となった。水晶の研究が世界でみとめられた。
  • 渡辺洪基(明治時代の教育者、外交官、政治家、帝国大学総長)
  • 南直哉(曹洞宗の禅僧) - 霊泉寺住職。

脚注

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注釈

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  1. ^ 越前町の住民有志が、類似する市町村名が隣接し混乱を招くとして「越前市」の撤回を求める「新越前町の将来を考える会(仮称)」を設立。武生市今立町合併協議会側は、協議会の総意で決まったことであり、それを尊重するしかないとした[10]

出典

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  1. ^ a b c d e f 越前市の宝箱”. 越前市. 2024年1月17日閲覧。
  2. ^ 武生 2005-2020年(降雪量のみ1991-2020年)”. 気象庁. 2023年9月29日閲覧。
  3. ^ 越前和紙の歴史 2017-10-27日閲覧。
  4. ^ 浄法寺の漆 - 漆掻き職人の出稼ぎ 2017-10-27日閲覧。
  5. ^ うるしの國の物語|うるしの國・浄法寺 2017-10-31日閲覧。
  6. ^ 南部の漆を支えた人びと-越前衆の軌跡-工藤紘一 著 2017-10-27日閲覧。
  7. ^ 下川耿史『環境史年表 明治・大正編(1868-1926)』p.389 河出書房新社 2003年11月30日刊 全国書誌番号:20522067
  8. ^ あいぱーく今立 - 越前市
  9. ^ 武生市今立町合併協議会 合併協議会へのみなさまの声”. 2024年1月17日閲覧。
  10. ^ 2004年(平成16年)12月10日福井新聞。
  11. ^ 市議会の構成”. 越前市 (2023年11月27日). 2024年1月19日閲覧。
  12. ^ 概要 - ギャレックス株式会社
  13. ^ 北陸新幹線の金沢・敦賀間が開業 各地は観光客でにぎわう”. NHK (2024年3月16日). 2024年3月17日閲覧。
  14. ^ “ハピライン 越前市の新駅 「しきぶ駅」に名称決定”. 日刊県民福井Web. (2024年2月9日). https://www.chunichi.co.jp/article/850901 2024年2月10日閲覧。 
  15. ^ a b c d e f g h i j k l 文化財指定別一覧”. 越前市 (2023年11月27日). 2024年1月17日閲覧。
  16. ^ 大塩八幡宮拝殿 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  17. ^ 大滝神社本殿及び拝殿 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  18. ^ 大虫廃寺塔跡 │ おおむしはいじとうあと │ - 福井の文化財 福井県教育庁生涯学習・文化財課
  19. ^ 城福寺庭園 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  20. ^ 旧谷口家住宅(旧所在 福井県武生市横市町) - 国指定文化財等データベース(文化庁
  21. ^ 武生公会堂記念館 - 越前市
  22. ^ 越前市武生公会堂記念館 - 福井県
  23. ^ 武生市公会堂記念館(旧武生公会堂) - 国指定文化財等データベース(文化庁
  24. ^ 越前打刃物協同組合”. www.echizenuchihamono.com. 2019年2月7日閲覧。
  25. ^ 福井おいしい水の赤谷瓜割清水。小次郎公園近くの名水!味や成分は?”. 福井しらべ (2023年12月24日). 2024年1月17日閲覧。
  26. ^ 味真野小学校 校庭の桜の歴史”. 味真野小学校. 2024年1月17日閲覧。
  27. ^ 治左川の梅花藻(バイカモ) - 越前市”. 越前市ホームページ. 2024年1月17日閲覧。
  28. ^ a b c d e f g h i j k l m 市勢要覧(令和元年9月発行) (PDF)
  29. ^ 越前粟田部蓬莱祀”. www.oraishi.jp. 2019年2月7日閲覧。
  30. ^ Imadate Art Field - フェイスブック
  31. ^ 越前市三大グルメ「越前おろしそば」 - 越前市
  32. ^ 越前市三大グルメ「ボルガライス」 - 越前市
  33. ^ 越前市三大グルメ「中華そば」 - 越前市

関連項目

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外部リンク

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行政
産業・観光
その他