添牛内駅(そえうしないえき)は、北海道雨竜郡幌加内町字添牛内にかつて設置されていた、北海道旅客鉄道(JR北海道)深名線廃駅)である。事務管理コードは▲121410[2]

添牛内駅
添牛内駅跡 (2011年8月)
そえうしない
Soeushinai
政和 (9.9 km)
(6.9 km) 共栄
所在地 北海道雨竜郡幌加内町字添牛内
北緯44度12分49秒 東経142度8分21.5秒 / 北緯44.21361度 東経142.139306度 / 44.21361; 142.139306
所属事業者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
所属路線 深名線
キロ程 68.6 km(深川起点)
電報略号 ソエ
駅構造 地上駅
ホーム 1面1線
開業年月日 1931年(昭和6年)9月15日[1]
廃止年月日 1995年(平成7年)9月4日[1]
備考 深名線廃線に伴い廃駅
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1977年の添牛内駅と周囲約500m範囲。右上が朱鞠内方面。当時は相対式ホーム2面2線、駅舎横と駅裏に引込み線を持っていた。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

歴史

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駅名の由来

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当駅が所在した地名より。アイヌ語の「ソウナイ[5]」〔滝・ある・川〕に字をあてたものである。由来は駅西側の霧立峠へ上る道のかたわらで、滝になって落ちている現在のソーウンナイ川に由来すると推測される[6][7]

駅構造

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廃止時点で、1面1線の単式ホームを有する地上駅であった。ホームは線路の東側(名寄方面に向かって右手側)に存在し、分岐器を持たない棒線駅となっていた[6]。かつては2面2線の相対式ホームを有する、列車交換可能な交換駅であった。1983年(昭和58年)時点では使われなくなった対向ホーム側の1線は交換設備運用廃止後も分岐器が深川方、名寄方の両方向とも維持された形で側線として残っていた(但しホームは撤去されていた)[8]。また、その側線の名寄方から外側の深川方に伸びる行き止まりの短い側線を1線有した[8]。そのほか、本線の深川方から分岐し、駅舎南側への側線を1線有していた[6]。その後線路は側線を含め1993年(平成5年)までには撤去されたが、ホーム前後の線路は分岐器の名残で湾曲していた[6]

無人駅となっていたが、有人駅時代の駅舎が残っていた。駅舎は構内の東側に位置し、ホーム北側に接していた[6]

貨物列車が運行されていた時代は、木材、澱粉雑穀の搬出が主体であった[8]。名残であった広い構内には、夏場はルピナスの花で覆われていたとのことである[6]

利用状況

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  • 1981年度(昭和56年度)の1日乗降客数は20人[8]
  • 1992年度(平成4年度)の1日乗降客数は2人[6]

駅周辺

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駅跡

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修繕が完了した旧添牛内駅舎。

廃線後、駅舎は地域住民が取得し、倉庫として利用されてきた[10][11][12]。冬季には地元有志が雪下ろしを行い[12]2011年(平成23年)時点では屋根が塗り替えられていた形跡もあった[13]。同年時点でホームは夏季は雑草に覆われ、鉄道標識も残存していた[13]

2017年(平成29年)までの数年間はほとんど活用されていなかったが、同年7月に駅舎正面の駅名看板が復活した[12]

2020年(令和2年)から老朽化した駅舎の修繕を行うプロジェクトが進行中である[14]が、2021年7月時点では実施見込みは未定だった[15]。しかし、2022年(令和4年)に添牛内駅保存会がクラウドファンディングを実施し[16][17]、同年10月末に修繕が完了した[18]

旧駅舎の備品は散逸しているが、2023年(令和5年)、切符保管箱が愛別町の資料収蔵庫で見つかった。愛別町内で私設資料館を開いていた人物の所蔵品で、同人物の死後、愛別町に寄贈されていた。駅無人化に際して廃棄を惜しんだ鉄道関係者によって愛別町に持ち込まれ、私設資料館に収蔵されたものとみられる。「有人駅時代の貴重な資料」として添牛内駅保存会が愛別町から引き取ることになり、同年9月28日、寄贈式が行われた[19]

毎年、駅舎の開放イベント「添牛内駅に遊びにきませんか?」も開催され、地域住民や元住民、鉄道ファンらが集う場となっている[20][21]

隣の駅

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北海道旅客鉄道
深名線
政和駅 - 添牛内駅 - 共栄駅
かつて政和駅と当駅との間に新富駅が存在した(1990年(平成2年)9月1日廃止)。
かつて当駅と共栄駅(当時は仮乗降場)との間に大曲仮乗降場が存在した(1976年(昭和51年)2月1日廃止)。

脚注

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  1. ^ a b c d e 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、847頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  2. ^ 日本国有鉄道営業局総務課 編『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、223頁。doi:10.11501/1873236https://doi.org/10.11501/18732362022年12月10日閲覧 
  3. ^ 『官報』 1931年09月03日 鉄道省告示第224号(国立国会図書館)
  4. ^ 「通報 ●深名線上多度志駅ほか9駅の駅員無配置について(旅客局)」『鉄道公報日本国有鉄道総裁室文書課、1982年3月29日、3面。
  5. ^ アイヌ語ラテン翻字: so-us-nay
  6. ^ a b c d e f g 書籍『JR・私鉄全線各駅停車1 北海道630駅』(小学館1993年6月発行)76-77ページより。
  7. ^ アイヌ語地名リスト ゴ~シブ P51-60P”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年10月20日閲覧。
  8. ^ a b c d 書籍『国鉄全線各駅停車1 北海道690駅』(小学館、1983年7月発行)205ページより。
  9. ^ a b c d e 書籍『北海道道路地図 改訂版』(地勢堂、1980年3月発行)15ページより。
  10. ^ 書籍『鉄道廃線跡を歩くVII』(JTBパブリッシング2000年1月発行)35-36ページより。
  11. ^ 書籍『新 鉄道廃線跡を歩く1 北海道・北東北編』(JTBパブリッシング、2010年4月発行)41-43ページより。
  12. ^ a b c “旧JR深名線添牛内駅 22年ぶり“復活”手作り看板設置 名寄の志々見さん”. 北海道新聞. (2017年7月13日). オリジナルの2017年7月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170713075240/http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/dohoku/1-0420292.html 2020年7月23日閲覧。 
  13. ^ a b 書籍『北海道の鉄道廃線跡』(著:本久公洋、北海道新聞社2011年9月発行)178-179ページより。
  14. ^ ABOUT”. 深名線 旧添牛内駅舎. 2020年10月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月13日閲覧。
  15. ^ 進捗状況 2021年7月時点”. 深名線 旧添牛内駅舎 (2021年7月13日). 2021年11月24日閲覧。
  16. ^ 旧添牛内駅舎、築100年まで残したい 有志がCFで修繕費募る”. 北海道新聞 (2022年7月21日). 2022年7月27日閲覧。
  17. ^ 「貴重な木造駅舎で存在意義 シンボル的な建物に 深名線の添牛内駅修繕へ クラウドファンディング実施」『名寄新聞』2022年7月21日。
  18. ^ 「開設100年を見据えて 深名線・添牛内駅 来年にはイベントも 修繕が完了、支援に感謝」『名寄新聞』2022年11月28日。
  19. ^ 旧深名線・添牛内駅の切符保管箱 愛別で発見 82年に無人化、職員が持ち込む? 保存会に寄贈”. 北海道新聞 (2023年9月28日). 2024年7月24日閲覧。
  20. ^ 切符保管箱の展示など 深名線・添牛内駅、6月23日に開放イベント”. 道北ネット. 2024年7月22日閲覧。
  21. ^ 深名線・添牛内駅 駅名標や当時の写真も 開放イベントに鉄道ファン”. 道北ネット. 2024年7月22日閲覧。

関連項目

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