朝日新聞デジタル
朝日新聞デジタル(あさひしんぶんデジタル)は、朝日新聞社が運営する日本のニュースサイトである。無料[注釈 1]のニュースサイト(24時刊)と有料の電子新聞(朝刊、be・別冊など)で構成されている。
URL | https://www.asahi.com/ |
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タイプ | ニュースサイト |
運営者 | 朝日新聞社 |
収益 | 会員数は406万人、このうち有料会員は25万人(2022年4月現在) |
開始 | 1995年8月10日[1] |
現在の状態 |
ユニークユーザー1300万人/月 ページビュー1億7000万/月 (2012年3月現在)[2] 公称ユニークブラウザ約1000万 約5億PV(2009年7月)[3] |
概要
編集24時刊
編集1995年8月10日[1]にasahi.com(アサヒ・コム)の名称で開設。日本のインターネット黎明期から存在する老舗ニュースサイトである。『asahi.com』が速報を担当し、第二報や分析・評論、識者のコメント等は『朝日新聞』に掲載[4]することで両者の棲み分けを行ってきた。ウェブサイトの運営はデジタルメディア本部が行っているが、ニュース配信は一部を除いて朝日新聞の編集局が行うようになっている[5]。
1999年からポータルサイトのgooにニュースを配信している[6]が、長らくYahoo!ニュースには配信していなかった(2012年10月3日から配信開始)。そのため、2009年1月時点の日本の新聞社サイトの利用者数ランキングでは6位だった[7]。一方、利用者1人あたりのページビューでは2位であり、熱心な読者を獲得している旨の意見もある[7]。ページビューは3億を越える月もあり[5]、第21回参議院議員通常選挙の翌日(2007年7月30日)には2000万/日に達した[8]。また2011年の東日本大震災に伴い、一時的にYahoo!ニュースにニュース配信を行ったところ、前月比269%の推定接触者数となり[9]、日本国内の新聞社サイトの中でトップのページビューを獲得した。
朝日新聞社が運営するウェブサイトはこの他に、朝日新聞の定期購読者向けのサービスである「アスパラクラブ」、ビートルズ世代の高齢者を対象にした「どらく」、有料コンテンツ販売サイトの「Astand」などがあり、朝日新聞デジタルからリンクされている。このうち、アスパラクラブは朝日新聞デジタルに統合され、現在は廃止されている。
2012年1月23日、15年以上に渡って使用されてきたasahi.comの名称を廃止し、朝日新聞デジタルにブランド名を改め、後述の有料電子新聞と一体化された[10]。同年4月1日にサイトがリニューアルされ、有料版の「24時刊」と無料版の旧「asahi.com」ページが統合され、新たに「24時刊」となった[11]。
有料電子新聞
編集上述のとおり、これまでも朝日新聞を初めとする日本の新聞は、無料のウェブサイト(朝日新聞はasahi.com)を使ったニュース速報・新聞記事(一部)の配信を行ってきた。しかし近年、新聞購読契約者の減少と反比例してウェブサイトでのページビューが増加してきたことを受けて、より充実したニュースを提供する有料ニュースサービスとして2011年5月18日に創刊(申込月によって最長8月末まで無料)。2011年8月からは順次有料サービスとして提供開始した。
かつては朝日新聞と業務提携を結ぶ十勝毎日新聞、山陰中央新報、沖縄タイムスと、系列スポーツ紙の日刊スポーツの読者を対象[注釈 2]としたセットサービスも行っていたが、2023年5月31日付で終了した[12]。
新聞紙面と無料ニュースサイトをベースに構成した独自のレイアウトで、対応機種であるiPad・スマートフォン(Android・iPhone)・タブレット端末やパソコンのブラウザであれば、直感的な操作(タッチやクリック等)で頁を開いたり、文字サイズの変更、記事写真から拡大図や関連動画の再生が可能である。朝日新聞からの記事は東京本社、大阪本社、名古屋本社、西部本社発行最終版がベースとなっている。当初は日本経済新聞電子版等とは異なり、新聞紙面イメージ(新聞漫画・新聞広告を含む)そのものの表示は出来なかったが、2012年1月23日のasahi.comとの統合に伴い、日本全国の地域面(北海道・東北、関東、東海・甲信越、近畿・北陸、中国・四国、九州の6ブロック)を紙面イメージで閲覧できるサービスが開始された(パソコンのみ対応)[13]。また、2013年1月10日に先行して東京本社版の紙面イメージを閲覧可能となり、2月14日からは大阪、名古屋、西部本社版[14]が、2022年5月23日からは北海道支社版[15]がそれぞれ閲覧可能となった。
2013年3月5日までに、有料会員数が10万人を超えた。また、1日に3本まで記事が読める無料会員数も99万人に達した[16]。
朝日新聞社は紙とデジタルの「ハイブリッド型メディア」をうたい、その中核になる朝日新聞デジタルは「第2の創刊」とした[17]。その一環であらたにウェブ向けにインタラクティブ性や新しい技法を取り入れたビジュアル報道を試行している。一部の紙面連動の記事やWeb限定の企画記事「朝デジスペシャル」などでは、インフォグラフィクスによる図解、動画、スクロール、Web地図上の表示、CGによる可視化等のインタラクティブ性を活用した構成をとる。デジタル技術のスキルを持つ「記者」を採用し、従来型の記者と共に取材し、Webを活かした表現方法を考え、短時間で作成する。作成に伴う情報加工、プログラミング、デザイン、UI設計等は外部委託せずすべて社内製のため時間短縮が可能になったという[18][19]。
沿革
編集- 1995年8月 - asahi.com(アサヒ・コム)開設。
- 1999年11月 - gooにニュース配信を開始。
- 2001年4月 - ロゴ変更、地図・辞書検索を導入[20]。
- 2002年5月 - asahi.comツールバー 1.0Aを公開[21]。
- 2004年3月 - RSS配信を開始[22][23]。
- 2004年10月 - アスパラクラブを開設。
- 2005年3月 - ユニバーサルデザインと音声読み上げ WebUDを導入[24]。
- 2005年7月 - 書籍ランキングから嫌韓流が外されたことがネットで話題になる[25]。
- 2005年10月 - 「キャンパス・アサヒコム」が不正アクセスで乗っ取られる[26]。
- 2006年6月 - どらくを開設[27]。
- 2007年1月 - はてなブックマークとの連動機能を実装[28]。
- 2007年4月 - 時間帯や曜日でトップページの内容を変更。asahi.com動画の配信を開始[29]。
- 2008年1月 - 読み比べニュースサイト『新s』を開設。
- 2008年6月 - レイアウトやジャンルを一新(3列構造、フィーチャーボックス、天気のエリア選択やジャンルの入れ替えなどカスタマイズ)。写真・動画、英文ニュースを充実[30][31][5]。
- 2009年6月 - Twitterのアカウントを開始[32]。
- 2009年7月 - 朝日新聞社がCNETを買収[33]。
- 2009年9月 - ブログ転載機能を実装[34]。
- 2010年4月 - WEB新書の販売を開始[35]。
- 2010年10月 - Facebookのアカウントを開始[36]。
- 2011年5月 - 有料の電子新聞として「朝日新聞デジタル」のサービス開始(8月までは無料)。
- 2012年1月 - asahi.comのブランド名を「朝日新聞デジタル」に統合[10]。地域面の紙面イメージ配信を開始。
- 2012年10月 - Yahoo!ニュース(Yahoo! JAPAN)にニュース配信を開始。
- 2013年1月 - 東京本社版の紙面イメージ配信を開始。
- 2013年2月 - 大阪本社・西部本社・名古屋本社版の紙面イメージ配信を開始。
- 2014年4月 - 特典電子版の配信を開始。
- 2022年5月 - 北海道支社版の紙面イメージ配信を開始。
提供サービス
編集- 24時刊
- 最新ニュース(時事通信社などの通信社や日刊スポーツ、CNET Japan等の提供の記事を含む)と紙面掲載記事を併せて提供する。基本的に閲覧は無料だが、購読契約を結んだ読者のみが全文を読むことができる記事もある。また、記事に関連した動画ニュース・カラー写真の掲載もある。重大な事件などがあればニュース速報として画面上にキャプションを掲載する。過去1年間の記事を検索できる機能(図解・動画・当日紙面除く)や、自分の好みのジャンルに特化した紙面を閲覧できる「MY朝日新聞」の機能もある。iPadであれば、過去23時間前まで遡って1頁目を読むことが出来る「1面タイムマシン」という機能もある。
- 紙面版朝刊の各紙面を網羅し、解説記事、政治・経済・政策・国際・スポーツ・生活・教養などジャンル別に分類してニュースをまとめているほか、「天声人語」や社説、投書コーナー「声」、地方版などを収録している。4コマ漫画『ののちゃん』は紙面イメージで閲覧可能。
- be・別冊(旧You刊)
- 紙面版夕刊・「be」(土曜版)・「朝日新聞GLOBE」(日曜版)・「どらく」等に掲載されるオピニオン・インタビュー・コラム・エッセーなどの記事や、文化・趣味・生活にまつわる情報などを収録している。紙面版夕刊に掲載されるニュース記事は主に「24時刊」に掲載される。4コマ漫画『地球防衛家のヒトビト』は24時刊で閲覧可能。
- &[and]
購読料金
編集デジタル版のみの「プレミアムコース」「スタンダードコース」「ベーシックコース」と、日本国内・海外の定期購読者対象の「ダブルコース」「紙面ビューアコース」の5種類がある。
- プレミアムコース - 3800円/月
- スタンダードコース - 1980円/月
- ベーシックコース - 980円/月
- ダブルコース - 月ぎめ購読料 1000円/月(最低6か月間の購読を条件に、月ぎめ購読料 500円/月)
- 紙面ビューアコース- 月ぎめ購読料 0円/月
- 提携地方紙の十勝毎日新聞、山陰中央新報、沖縄タイムス、ならびに系列スポーツ紙の日刊スポーツ購読者が対象の「ダブルコース」の設定あり(それぞれの新聞の定期購読料 1000円/月で契約可能 日刊スポーツを除きそれぞれの発行区域内の居住者のみ対象)。
- 2014年10月1日以後は、無料会員対象の「お試しクーポン」(手続き開始から10日間無料で有料コースを体験入会できる)を配布する。その代わりとして、有料会員の2か月間無料のサービスは廃止され、入会月のみ無料となるが、最低でも有料課金が行われる2か月目までは退会できなくなる[38]。
- 2021年10月1日より新聞を定期購読している世帯は無料で紙面ビューアーが利用できるようになった[39]。
CM出演者
編集第一弾
第二弾
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b 「10年前アサヒ・コム」とは(インターネットアーカイブ)
- ^ DoubleClick Ad Planner、Unique visitors (users)、日本
- ^ “「アサヒ・コム」媒体資料”. 朝日新聞社. 2009年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年12月16日閲覧。
- ^ 松岡美樹 (2007年11月20日). “紙とウェブを使い分ける朝日新聞社の論理(前編)”. ASCII.jp. 2010年1月1日閲覧。
- ^ a b c 大河原克行 (2008年8月5日). “「ニュースサイト」から「総合情報サイト」へ〜脱皮を図るアサヒ・コムの狙いとは”. INTERNET Watch. 2010年1月1日閲覧。
- ^ “ポータルサイト「goo」で朝日新聞社ニュース速報、メルマガ・懸賞サーチを開始”. 株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー情報流通 (1999年9月1日). 2010年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年12月5日閲覧。
- ^ a b 野津 誠 (2009年2月24日). “国内の新聞社サイト、利用者数最多は「毎日jp」”. INTERNET Watch. 2010年12月2日閲覧。
- ^ japan.internet.com 編集部 (2007年8月3日). “アサヒ・コム、1日あたりの PV 過去最高の2,000万 PV を突破”. 2007年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月2日閲覧。
- ^ TogetterやUstream、まちBBSのユーザー数急増
- ^ a b アサヒ・コムのブランドを朝日新聞デジタルに統一(朝日新聞社、2012年1月23日閲覧)
- ^ 朝日新聞デジタルのパソコン版をリニューアル(2012年4月1日付告知、同年4月4日閲覧)
- ^ “朝日新聞デジタル・提携新聞ダブルコース サービス終了のお知らせ”. 朝日新聞デジタル (2023年3月31日). 2023年9月9日閲覧。
- ^ アサヒ・コムが「朝日新聞デジタル」に統一--地方面も配信
- ^ 「朝日新聞デジタル」の紙面ビューアー、スマホやタブレットにも対応
- ^ 紙面ビューアーに北海道支社版が加わりました
- ^ “<お知らせ>朝日新聞デジタル、有料会員10万人突破”. 朝日新聞デジタル. (2013年3月6日). オリジナルの2013年3月6日時点におけるアーカイブ。 2022年10月2日閲覧。
- ^ “報道をデジタル媒体にも拡大 - 朝日新聞社CSR報告書・会社案内:朝日新聞社インフォメーション”. 2011年11月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月28日閲覧。
- ^ 日経デザイン「ネット時代の情報ビジュアライゼーション」『日経デザイン』2014年9月。
- ^ “インフォグラフ・インタラクティブ - 写真・動画:朝日新聞デジタル”. 2014年8月18日閲覧。
- ^ “「asahi.com」4月よりリニューアル”. INTERNET Watch (2001年3月26日). 2010年1月1日閲覧。
- ^ asahi.com (2002年5月30日). “asahi.comツールバーで いつでもどこでも最新ニュース”. 2010年1月1日閲覧。
- ^ “asahi.comが見出しRSS/RDF配信を開始、大手ニュースサイト初”. ITMedia (2004年3月1日). 2013年2月14日閲覧。
- ^ “RSS/RDFについて”. asahi.com. 2010年1月1日閲覧。
- ^ 鷹木 創 (2005年3月14日). “アサヒ・コムがユニバーサルデザインを導入、音声読み上げブラウザも配布”. INTERNET Watch. 2010年1月1日閲覧。
- ^ 探偵ファイルTaka (2005年8月25日). “朝日がランキング改変も!? 『マンガ嫌韓流』”. 探偵ファイル. 2010年12月9日閲覧。
- ^ 増田 覚 (2005年10月20日). “asahi.comの広告サイトが不正アクセスで閉鎖~閲覧者はウイルス感染も”. INTERNET Watch. 2010年12月9日閲覧。
- ^ すずまり (2007年12月13日). ““ビートルズ世代”がターゲット~朝日新聞「どらく」について聞く”. INTERNET Watch. 2010年12月5日閲覧。
- ^ はてな株式会社 (2007年1月9日). “プレスリリース”. 2010年1月1日閲覧。
- ^ 増田 覚 (2007年4月2日). “asahi.comがリニューアル、読者投稿の動画を公開するコンテンツも”. INTERNET Watch. 2010年1月1日閲覧。
- ^ “6月9日 アサヒ・コムをリニューアルします”. asahi.com (2008年6月9日). 2010年1月1日閲覧。
- ^ 増田 覚 (2008年6月9日). “asahi.comがトップページ刷新、ジャンルごとのRSS配信にも対応”. INTERNET Watch. 2010年1月1日閲覧。
- ^ “twilog - asahicom”. 2012年6月27日閲覧。
- ^ 原 隆 (2009年7月24日). “「CNET買収で朝日新聞とは異なるカルチャーを作る」”. 日経ビジネスONLINE. 2013年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月1日閲覧。
- ^ 野津 誠 (2009年10月1日). “「asahi.com」、記事をブログに転載できる機能追加”. INTERNET Watch. 2010年1月1日閲覧。
- ^ 増田 覚 (2010年4月21日). “朝日新聞社が有料課金事業を拡大、「WEB新書」創刊”. INTERNET Watch. 2010年12月2日閲覧。
- ^ “facebook - Asahi”. 2012年6月27日閲覧。
- ^ “Asahi Shinbun Digital Magazine[and]”. 朝日新聞デジタル. 2022年8月8日閲覧。
- ^ “「10日間お試しクーポン」の開始と、最大2カ月無料キャンペーン終了について”. 朝日新聞デジタル. (2014年9月1日). オリジナルの2014年9月13日時点におけるアーカイブ。 2022年10月2日閲覧。
- ^ “朝日新聞ご購読中の方 紙面ビューアーが無料で使えます! - 朝日新聞”. 朝日新聞ご購読中の方 紙面ビューアーが無料で使えます! - 朝日新聞. 2022年1月6日閲覧。
関連項目
編集- withnews - 朝日新聞デジタルと同様に朝日新聞社運営によるニュースサイト。
- 情報ニュースショー トレタテ!
- 新聞社運営のニュースサイト
外部リンク
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