愛、アムール
『愛、アムール』(あいアムール、Amour)は、ミヒャエル・ハネケ監督・脚本による2012年のドラマ映画である。ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァ、イザベル・ユペールらが出演している。病に倒れた妻とその夫が描かれる[3]。オーストリア、フランス、ドイツが共同で製作した。
愛、アムール | |
---|---|
Amour | |
監督 | ミヒャエル・ハネケ |
脚本 | ミヒャエル・ハネケ |
製作 | マルガレート・メネゴス |
製作総指揮 | ウーヴェ・ショット |
出演者 |
ジャン=ルイ・トランティニャン エマニュエル・リヴァ イザベル・ユペール |
撮影 | ダリウス・コンジ |
編集 |
モニカ・ヴィッリ ナディン・ミュズ |
製作会社 |
Canal フランス3シネマ レ・フィルム・デュ・ロサンジュ Xフィルム・クリエイティブ・プール ウェガ・フィルム |
配給 |
Les Films du Losange Concorde Filmverleih ロングライド |
公開 |
2012年5月20日(CIFF) 2012年9月20日 2012年10月24日 2013年3月9日 |
上映時間 | 127分 |
製作国 |
オーストリア フランス ドイツ |
言語 |
フランス語 英語 |
製作費 | $8,900,000[1] |
興行収入 | $19,785,660[2] |
第65回カンヌ国際映画祭で上映され[4][5]、ハネケにとっては2作連続となるパルム・ドール受賞を果たした[6]。第85回アカデミー賞の外国語映画賞にはオーストリア代表として出品され[7]、受賞を果たした[8]。
ストーリー
編集パリの瀟洒な高級アパルトマンで、静かに余生を過ごす老音楽家夫婦のジョルジュとアンヌ。昨夜まで連れ立ってコンサートに出かけていたが、翌朝、アンヌが突然、発作を起こした。病が見つかり手術を受けるアンヌ。手術は失敗し、アンヌは半身不随の車椅子生活を余儀なくされた。「病院には戻りたくない」というアンヌを、自宅で献身的に看病するジョルジュ。
一人娘のエヴァも音楽家で世界を忙しく飛び回り、家庭にも問題を抱えて手一杯だった。取り敢えず父に任せて様子を見るエヴァ。初めのうちは変わりなく知的にジョルジュに指図するアンヌ。だが、知人の葬儀の日、アンヌは「先の苦労は目に見えている」と、死ぬ覚悟を仄めかした。
認知症が急速に進んで行くアンヌ。ジョルジュも悪夢を見るなど、影響を受けて行った。娘のエヴァは入院を勧めたが、ジョルジュは訪問看護師の手も借りて、出来る限りのケアを続けた。
少し正気を取り戻したアンヌが、「楽しかった」と微笑んだ翌日、再び錯乱して叫ぶアンヌに優しく語りかけたジョルジュは、直後に枕を押し付けてアンヌを窒息死させた。その後も、花を買うなど生活を続けるジョルジュ。気がつくと、元気な頃のままのアンヌが食器を洗っていた。家事を終え、コートを着るアンヌ。ジョルジュもコートを着ると、二人はいそいそと玄関から出かけて行った。
キャスト
編集- ジョルジュ - ジャン=ルイ・トランティニャン
- アンヌ - エマニュエル・リヴァ
- エヴァ - イザベル・ユペール
- アレクサンドル - アレクサンドル・タロー(本人役)
製作
編集フランスのレ・フィルム・デュ・ロサンジュ、ドイツのXフィルム・クリエイティブ・プール、オーストリアのウェガ・フィルムより729万ユーロで製作された[3][9]。フランス3と共同製作し、イル=ド=フランス地域圏より40万4000ユーロの支援を受けた[3]。さらに資金はドイツのMedienboard Berlin-BrandenburgとフランスのNational Center of Cinematography and the moving imageより付与された[10]。主要撮影は2011年2月7日から4月1日に行われた[10]。
受賞とノミネート
編集賞歴一覧 | |||
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賞・映画祭 | 部門 | 対象 | 結果 |
カンヌ国際映画祭[6] | パルム・ドール | ミヒャエル・ハネケ | 受賞 |
ダーバン国際映画祭[11] | 作品賞 | ミヒャエル・ハネケ | 受賞 |
国際映画批評家連盟賞[12] | 作品賞 | ミヒャエル・ハネケ | 受賞 |
セザール賞[13] | 作品賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
監督賞 | ミヒャエル・ハネケ | 受賞 | |
主演男優賞 | ジャン=ルイ・トランティニャン | 受賞 | |
主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | 受賞 | |
助演女優賞 | イザベル・ユペール | ノミネート | |
脚本賞 | ミヒャエル・ハネケ | 受賞 | |
美術賞 | ジャン=ヴァンサン・ピュゾ | ノミネート | |
撮影賞 | ダリウス・コンジ | ノミネート | |
編集賞 | モニカ・ヴィッリ | ノミネート | |
音響賞 | Guillaume Sciama Nadine Muse Jean-Pierre Laforce |
ノミネート | |
ヨーロッパ映画賞 | 作品賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
監督賞 | ミヒャエル・ハネケ | 受賞 | |
男優賞 | ジャン=ルイ・トランティニャン | 受賞 | |
女優賞 | エマニュエル・リヴァ | 受賞 | |
脚本賞 | ミヒャエル・ハネケ | ノミネート | |
リュミエール賞 | 作品賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
監督賞 | ミヒャエル・ハネケ | ノミネート | |
男優賞 | ジャン=ルイ・トランティニャン | 受賞 | |
女優賞 | エマニュエル・リヴァ | 受賞 | |
アカデミー賞[8] | 作品賞 | マルガレート・メネゴス、シュテファン・アルント、ファイト・ハイドゥシュカ、ミヒャエル・カッツ | ノミネート |
監督賞 | ミヒャエル・ハネケ | ノミネート | |
主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | ノミネート | |
脚本賞 | ミヒャエル・ハネケ | ノミネート | |
外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 | |
ゴールデングローブ賞 | 外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
英国アカデミー賞 | 監督賞 | ミヒャエル・ハネケ | ノミネート |
主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | 受賞 | |
オリジナル脚本賞 | ミヒャエル・ハネケ | ノミネート | |
非英語作品賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 | |
全米映画批評家協会賞 | 作品賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
監督賞 | ミヒャエル・ハネケ | 受賞 | |
主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | 受賞 | |
ニューヨーク映画批評家協会賞 | 外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
ロサンゼルス映画批評家協会賞 | 作品賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | 受賞 | |
クリティクス・チョイス・アワード | 主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | ノミネート |
外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 | |
ボストン映画批評家協会賞 | 作品賞 | 『愛、アムール』 | 次点 |
主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | 受賞 | |
外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 | |
シカゴ映画批評家協会賞 | 主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | ノミネート |
外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 | |
ロンドン映画批評家協会賞 | 作品賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
監督賞 | ミヒャエル・ハネケ | ノミネート | |
男優賞 | ジャン=ルイ・トランティニャン | ノミネート | |
女優賞 | エマニュエル・リヴァ | 受賞 | |
脚本賞 | ミヒャエル・ハネケ | 受賞 | |
外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | ノミネート | |
ニューヨーク映画批評家オンライン賞 | 主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | 受賞 |
外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 | |
ワシントンD.C.映画批評家協会賞 | 主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | ノミネート |
外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 | |
ダラス・フォートワース映画批評家協会賞 | 主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | ノミネート |
外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 | |
サンフランシスコ映画批評家協会賞 | 主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | 受賞 |
外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 | |
カンザスシティ映画批評家協会賞 | 外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
ラスベガス映画批評家協会賞 | 外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
オクラホマ映画批評家協会賞 | 外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
英国インディペンデント映画賞 | 外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | ノミネート |
インディペンデント・スピリット賞 | 外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 | 外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
サテライト賞 | 主演女優賞 | エマニュエル・リヴァ | ノミネート |
外国語映画賞 | 『愛、アムール』 | ノミネート | |
キネマ旬報ベスト・テン | 外国映画ベスト・テン第1位 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
毎日映画コンクール | 外国映画ベストワン賞 | 『愛、アムール』 | 受賞 |
参考文献
編集- ^ “Amour” (フランス語). アロシネ. 2014年2月1日閲覧。
- ^ “Amour”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2013年4月9日閲覧。
- ^ a b c Lemercier, Fabien (2010年11月22日). “Ile-de-France backs Haneke's Amour”. Cineuropa. 2011年6月3日閲覧。
- ^ “2012 Official Selection”. Cannes. 2012年4月19日閲覧。
- ^ “Cannes Film Festival 2012 line-up announced”. timeout. 2012年4月19日閲覧。
- ^ a b “Awards 2012”. Cannes. 2012年5月27日閲覧。
- ^ “Hanke's Amour geht fuer Oesterreich ins Oscar Rennen”. Der Standart. 2012年9月4日閲覧。
- ^ a b “Nominees for the 85th Academy Awards”. 映画芸術科学アカデミー. 2013年2月25日閲覧。
- ^ “Love (Amour)”. filmsdulosange.fr. Les Films du Losange. 2011年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年6月3日閲覧。
- ^ a b “Amour”. Screenbase. Screen International. 2011年6月3日閲覧。
- ^ “Award-winners Announced At Durban International Film Festival 2012”. University of KwaZulu-Natal. 18 August 2012閲覧。
- ^ Mitchell, Robert (2012年9月5日). “Int'l crix love Haneke's 'Amour'”. Variety. 5 September 2012閲覧。
- ^ “Palmarès des César - Académie des Arts et Techniques du Cinéma” (フランス語). フランス映画芸術・技術アカデミー. 2013年2月27日閲覧。