光背
宗教美術において、神仏や聖人の頭部や体から発せられる光明を視覚的に表現したもの
(後光から転送)
光背(こうはい)とは、仏像、仏画などの仏教美術や、キリスト教美術などにおいて、神仏や聖人の体から発せられる光明を視覚的に表現したものである。
分類
編集仏教
編集後光とも呼ばれる。仏教美術における光背は、インド仏教では頭部の背後にある頭光(ずこう)に始まり、その後体全体を覆う挙身光(きょうしんこう)が生まれた[1]。仏教が東伝するにつれて、頭と身体のそれぞれに光背を表す二重円光があらわれ、中国仏教や日本仏教において様々な形状が発達した。日本では胴体部の背後の光背を身光(しんこう)と呼んでいる[1]。
形状による分類として、光を輪であらわした円光(輪光)、二重の輪で表した二重円光、またそれら円光から線が放たれている放射光、蓮華の花びらを表した舟形光背(舟御光)や唐草光、宝珠の形をした宝珠光、飛天が配せられているものを飛天光、多数の化仏を配置した千仏光、不動明王などのように炎を表した火焔光などがある[2]。
その他の宗教
編集これらの光輪は、仏教に限らずキリスト教の聖人図画などにも見受けられ、宗教全体で普遍的なものであると考えられており、仏教以前のゾロアスター教のミスラ神の頭部にはすでに放射状の光が表現されている。
その他の風習など
編集ネイティブアメリカンの権威ある者や戦士が頭に着ける羽根冠(ウォーボンネット)も元来は放射光状の光背を顕していると伝わっている。
ギャラリー
編集仏教美術
編集その他の宗教
編集-
紀元前69-31年 ゾロアスター教の光明神ミスラ(右)
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ヘイローの例。
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紀元前1235年の太陽神ラーの壁画
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アーヘン大聖堂の聖母子像
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グローリー飾り(マレイユ=アン=フランスのサン・マルタン教会)
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アメリカ先住民のウォーボンネット
脚注
編集参照
編集参考文献
編集- 中村元、久野健(監修)『仏教美術事典』東京書籍、2002年。ISBN 4-487-73159-3。
関連項目
編集- en:Halo (religious iconography) - 英語の後光のページ。ヘイロー、もしくは、ラテン語でニンブス、もしくはニンバス (nimbus)という。
- en:Circle of stars - 複数の星を円状に並べ、国々の団結・調和を示す旗等に使用される。また宗教芸術の分野で聖人の頭上に不滅の冠として配される。
- Meniskos - 古代ギリシアの彫刻は野外に展示されていたことから、鳥の糞をよけるために頭に円盤型の器具を取り付けていた。
- 三十二相八十種好 - 釈迦の特徴や宗教的に良い特徴を表す。丈光相に体から光を放つという特徴がある。
- オーラ
- マンドルラ(イタリア語の「アーモンド」が由来、キリストなどを囲むアーモンド形の枠)
- フワルナフ - ゾロアスター教に登場する光輪。クワルナフ、カウィの光輪などとも訳される。
- 曼荼羅 - 仏が収まる丸は、月輪(がつりん)という。
- 科学