宗太郎駅

大分県佐伯市宇目にある九州旅客鉄道の駅
宗太郎信号場から転送)

宗太郎駅(そうたろうえき)は、大分県佐伯市宇目大字重岡にある、九州旅客鉄道(JR九州)日豊本線である[1]

宗太郎駅
駅全景(2023年6月)
そうたろう
Sōtarō
重岡 (6.8 km)
(7.5 km) 市棚*
地図
所在地 大分県佐伯市宇目大字重岡[1]
北緯32度47分10.25秒 東経131度42分24.93秒 / 北緯32.7861806度 東経131.7069250度 / 32.7861806; 131.7069250座標: 北緯32度47分10.25秒 東経131度42分24.93秒 / 北緯32.7861806度 東経131.7069250度 / 32.7861806; 131.7069250
所属事業者 九州旅客鉄道(JR九州)
所属路線 日豊本線
キロ程 231.0 km(小倉起点)
電報略号 ソタ
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線[1]
乗車人員
-統計年度-
0.24人/日(降車客含まず)
-2021年-
乗降人員
-統計年度-
1人/日
-2021年-
開業年月日 1947年昭和22年)3月1日[2]
備考 無人駅[2]
* この間に大分支社宮崎支社との支社境界あり(大分県側最後のトンネルの第四宗太郎トンネルと大分県・宮崎県の県境を跨ぐ橋梁の間にある)。
テンプレートを表示

概要

編集

大分県最南端の鉄道駅で、JR九州大分支社管轄の駅としても最南端である。1駅南の市棚駅との間には、大分県と宮崎県県境[2]と、大分支社・宮崎支社の支社境界がある。

青春18きっぷ利用者からは日豊本線延岡 - 佐伯間における普通列車の本数の少なさや、特有の運行時間と同地区の宗太郎峠から難所「宗太郎越え」として有名な駅。停車する普通列車は、1964年ですら1日6.5(土曜・休日は6)往復[3]、昭和末期の1988年でも1日4.5往復のみであった[4]。なお1964年には、京都発宮崎行荷物専用列車(下りのみ)も停車していた[3]

山間部深くに位置し、小さな集落の最上部にあり、いわゆる秘境駅の一つに数えられる[2][5]が、自動車での訪問は国道10号を使えば比較的容易である。当駅に通常停車する列車は全て普通列車で、2024年3月ダイヤ改正時点では1日に下り1本、上り2本のみである[注釈 1][6]。近隣が山間部に位置するため、宗太郎駅近辺では列車と猪や鹿との接触によるダイヤの乱れが特に多い地域でもあり、悪天候時には、特急や貨物列車の空転が発生しやすいことでも有名。

なお2020年10月15日より運行を開始した観光列車36ぷらす3」では、『土曜日ルート "緑の路"』で重岡駅とともに特別停車駅(同駅での乗降は不可だが停車中はホームに降りられる)となる[7]

1日の平均利用人数はわずか0.22人程度と非常に少ない。

駅名の由来について前述の観光列車「36ぷらす3」の車内放送では「かつて、近隣に岡藩のお抱えの山が沢山あり、その山を見回りしていた『洲本宗太郎』の名前を取ってこの辺りの地区名が『宗太郎』となった」と紹介されている[8]

歴史

編集

駅構造

編集

相対式ホーム2面2線を有する地上駅[1]。互いのホームは跨線橋で連絡している。無人駅で駅舎はなく[2]、かつて存在した駅舎の基礎と改札ラッチが残っている[1]

2018年3月17日ダイヤ改正以前、日豊本線では当駅のみ前乗り前降りとなっていた。これはそれまで運用されていたステップのないキハ220形に対応したホームの嵩上げを最小限に抑えたためで、上下ホーム共先端部の数メートル分のみ嵩上げされている。

前述のダイヤ改正後、当駅に停車する普通列車は3本共大分車両センター所属の787系電車4両編成に変更されたが、ホームの嵩上げの関係と利用客が少ないため、上下ともに進行方向の先頭車両のドアのみ開閉する(下りは1号車、上りは4号車)。なお、ホーム有効長は3両程度しかないため、「36ぷらす3」では前3両のドアのみ開閉する。

時刻表などは便所の外壁に取り付けられており、駅舎跡横に電話ボックスが設置されている。ホームには待合所があり、駅名標はJR標準型が設置されている(イラストは描かれていない)。跨線橋前(待合室のあるホーム)には、当駅開業に尽力した初代駅長の功績を讃えた記念碑がある。電話ボックスの側には井戸があり、飲用に適しているかは不明なものの、「日豊線一うまい水」と書かれている。

のりば

編集
のりば 路線 方向 行先
1 日豊本線 上り 佐伯方面
2 下り 延岡方面

利用状況

編集
  • 2016(平成28)年以降、乗車人員は公表されていない。
  • 2015年度の1日平均乗車人員は0.39人で、1人に満たない状況であるが、フリーきっぷあるいは途中下車制度を利用した乗客数は除外されている。
乗車人員推移 備考
年度 1日平均 年間
1990 (平成2年) 2.98 1,088 [統計 1]
1991 (平成3年) 1.73 631 [統計 2]
1992 (平成4年) 2.13 777 [統計 3]
1993 (平成5年) 1.65 604 [統計 4]
1994 (平成6年) 1.27 465 [統計 5]
1995 (平成7年) 2.12 775 [統計 6]
1996 (平成8年) 1.01 369 [統計 7]
1997 (平成9年) 1.08 396 [統計 8]
1998 (平成10年) 1.15 421 [統計 9]
1999 (平成11年) 0.95 345 [統計 10]
2000 (平成12年) 0.98 359
2001 (平成13年) 0.66 241
2002 (平成14年) 0.32 117
2003 (平成15年) 0.35 128
2004 (平成16年) 0.25 90
2005 (平成17年) 0.25 91
2006 (平成18年) 0.25 92
2007 (平成19年) 0.24 86
2008 (平成20年) 0.36 130
2009 (平成21年) 0.24 87
2010 (平成22年) 0.22 81
2011 (平成23年) 0.16 60 [2][統計 11]
2012 (平成24年) 0.16 59
2013 (平成25年) 0.71 259
2014(平成26年) 0.12 42 [統計 12]
2015(平成27年) 0.39 144 [統計 13]

駅周辺

編集
 
周辺風景(2012年11月)

周辺は国道10号とわずかな民家のみで、空き家も多い。当駅へ繋がる道は幅が狭く自動車での進入は難しいが、バイクでの進入は容易なので、これを利用して駅前まで訪れる鉄道ファンも多い。

駅から国道10号に出るまでの途中で佐伯市コミュニティバス・宇目地域コミュニティバスの宗太郎バス停があるが、同路線はデマンドバスのため、利用する場合(平日8時〜17時の間のみ利用可能)は前日17時までに予約を入れる必要である[17]

東九州自動車道が全線開通し、且つ佐伯インターから延岡南インター間が無料で通行出来る影響で当駅前の国道10号は自動車の交通量が東九州自動車道開通後、極端に少なくなっている。山奥にあって閑散としており、国道10号に沿って鐙川が流れる。国道10号を大分側へ上ると、途中に「宗太郎トンネル」がある。

隣の駅

編集
九州旅客鉄道(JR九州)
日豊本線
重岡駅 - 宗太郎駅 - 市棚駅

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ ※当駅に停車する旅客列車は2024年3月改正時点で、早朝(6時台)に上下1列車ずつ、夜(20時台)に上り列車が1本の合計3本のみ。

出典

編集
  1. ^ a b c d e f 『週刊 JR全駅・全車両基地』 44号 宮崎駅・都城駅・志布志駅ほか80駅、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2013年6月23日、21頁。 
  2. ^ a b c d e f g “(鉄道ものがたり)宗太郎駅 「なにかある」県境の秘境駅/大分県”. 朝日新聞(西部地方版) (朝日新聞社): p. 28. (2013年7月31日) 
  3. ^ a b 『時刻表完全復刻版1964年9月号』『時刻表完全復刻版1964年10月号』いずれもp.269-271, 277-279(ともにJTBパブリッシング刊)による
  4. ^ 『時刻表完全復刻版1988年3月号』p.339-349(JTBパブリッシング刊)による
  5. ^ “秘境 認定 宗太郎駅 自称・女性鉄道ファン“鉄子”「山に囲まれ神秘的」 停車は1日6本だけ 乗降客は1人に満たず 日豊線宮崎県境”. 大分合同新聞(夕刊) (大分合同新聞社): p. 11. (2007年7月21日) 
  6. ^ 駅別時刻表(宗太郎駅)|JR九州
  7. ^ 「36ぷらす3」運行開始日と旅行プランについて』(PDF)(プレスリリース)九州旅客鉄道、2020年6月30日。オリジナルの2020年6月30日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20200630063257/https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2020/06/30/200630363unkoukaishi_1.pdf2020年6月30日閲覧 
  8. ^ “JR九州「36ぷらす3」土曜日「緑の路」試乗、宗太郎駅・重岡駅停車” (日本語). マイナビニュース. (2020年10月10日). https://tetsudo-ch.com/10801446.html 2020年10月14日閲覧。 
  9. ^ a b c d 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』JTB、1998年、756頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  10. ^ 「分鉄、三駅を民間委託」『交通新聞』交通協力会、1968年4月2日、1面。
  11. ^ “日本国有鉄道公示第682号”. 官報. (1972年3月29日) 
  12. ^ 「通報 ●日豊本線下ノ江駅ほか7駅の駅員無配置について(旅客局)」『鉄道公報日本国有鉄道総裁室文書課、1972年3月29日、4面。
  13. ^ 台風第18号による被害状況について(第1報) (PDF) - 国土交通省災害情報(2017年9月18日10:00現在)(2017年9月18日発表、9月19日閲覧。)
  14. ^ 鉄道代行輸送についてのご案内 (PDF) -九州旅客鉄道(2017年9月19日、同日閲覧)[リンク切れ]
  15. ^ “JR代行バス運行 利用者、早期復旧願う”. 大分合同新聞: p. 11(夕刊). (2017年9月19日) 
  16. ^ 【9 月 25 日(月)以降の運転計画】日豊本線・豊肥本線の運転計画について(お知らせ)- 九州旅客鉄道(2017年9月25日発表、同日閲覧。同日オリジナル (PDF) をアーカイブ化)
  17. ^ 宇目デマンド(予約型コミュニティバス)のご利用方法” (PDF). 佐伯市. 2022年4月9日閲覧。

統計

編集
  1. ^ 平成2年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 112 九州旅客・貨物鉄道各駅別運輸状況   (Microsoft Excelの.xls)
  2. ^ 平成3年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 132 九州旅客・貨物鉄道各駅別運輸状況   (Microsoft Excelの.xls)
  3. ^ 平成4年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 132 九州旅客・貨物鉄道各駅別運輸状況   (Microsoft Excelの.xls)
  4. ^ 平成5年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 132 九州旅客・貨物鉄道各駅別運輸状況   (Microsoft Excelの.xls)
  5. ^ 平成6年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 132 九州旅客・貨物鉄道各駅別運輸状況   (Microsoft Excelの.xls)
  6. ^ 平成7年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 131 九州旅客・貨物鉄道各駅別運輸状況   (Microsoft Excelの.xls)
  7. ^ 平成8年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 132 鉄道各駅別運輸状況(JR九州・JR貨物)   (Microsoft Excelの.xls)
  8. ^ 平成9年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 132 鉄道各駅別運輸状況(JR九州・JR貨物)   (Microsoft Excelの.xls)
  9. ^ 平成10年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 132 鉄道各駅別運輸状況(JR九州・JR貨物)   (Microsoft Excelの.xls)
  10. ^ 平成11年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 132 鉄道各駅別運輸状況(JR九州・JR貨物)   (Microsoft Excelの.xls)
  11. ^ 平成24年版大分県統計年鑑 11 運輸および通信 128 鉄道各駅別運輸状況(JR九州・JR貨物)
  12. ^ 平成27年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 128 鉄道各駅別運輸状況(JR九州・JR貨物)   (Microsoft Excelの.xls)
  13. ^ 平成28年版 大分県統計年鑑 11 運輸および通信 128 鉄道各駅別運輸状況(JR九州・JR貨物)   (Microsoft Excelの.xls)

関連項目

編集

外部リンク

編集