国鉄タ550形貨車
国鉄タ550形貨車(こくてつタ550がたかしゃ)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)およびその前身である鉄道省等に在籍した私有貨車(タンク車)である。
国鉄タ550形貨車 | |
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基本情報 | |
車種 | タンク車 |
運用者 |
鉄道省 運輸通信省 運輸省 日本国有鉄道 |
所有者 |
海軍火薬廠→日産化学工業、昭和電工 旭ベンベルグ絹糸→日窒化学工業→旭化成工業→宇部興産 |
製造所 | 川崎車輛、大阪鉄工所 |
製造年 | 1933年(昭和8年) - 1936年(昭和11年) |
製造数 | 5両 |
消滅 | 1968年(昭和43年) |
常備駅 | 平塚駅、水俣駅→宇部港駅他 |
主要諸元 | |
車体色 | 白 |
専用種別 | 液化アンモニア |
化成品分類番号 | 制定前に形式消滅 |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 9,500 mm |
全高 | 3,380 mm |
タンク材質 | ボイラー鋼板 |
荷重 | 10 t |
実容積 | 19.0 m3 |
自重 | 18.1 t - 25.5 t |
換算両数 積車 | 3.0 |
換算両数 空車 | 2.0 |
走り装置 | 一段リンク式 |
車輪径 | 860 mm |
軸距 | 2,750 mm 2,750 mm |
最高速度 | 65 km/h |
備考 | *三軸貨車 |
本形式と同じ専用種別であるタ580形、タ520形、タ2800形についても本項目で解説する。
タ550形
編集タ550形は日本初の高圧ガス(液化アンモニア)輸送用の10t積三軸タンク車として1933年(昭和8年)3月10日から1936年(昭和11年)7月1日にかけて3ロット5両(タ550 - タ554)が川崎車輛、大阪鉄工所の2社にて製作された。その後三軸車は新規製作が禁止されたため、増備は次級のタ580形(二軸車)に譲るかたちとなった。
本形式の他に液化アンモニアを専用種別とする形式は、タ520形(2両、後述)、タ580形(30両、後述)、タ2800形(3両、後述)、タム5800形(19両)、タム5850形(1両)、タサ4100形(142両)、タサ5800形(2両)、タキ4100形(2代)(44両)、タキ18600形(128両)の9形式がある。
落成時の所有者は海軍火薬廠、旭ベンベルグ絹糸(後の旭化成工業、現:旭化成)の1廠1社であった。
塗色は白であり、全長は9,500mm、全高は3,380mm、軸距は2,750mm 2,750mm、実容積は19.0m3、自重は18.1t-25.5t、換算両数は積車3.0、空車2.0、最高運転速度は65km/h、走り装置は一段リンク式の三軸車である。
タ580形
編集国鉄タ580形貨車 | |
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基本情報 | |
車種 | タンク車 |
運用者 |
鉄道省 運輸通信省 運輸省 日本国有鉄道 |
所有者 | 海軍火薬本廠、日産化学工業、三菱江戸川化学他 |
製造所 | 大阪鉄工所、新潟鐵工所他 |
製造年 | 1935年(昭和10年) - 1955年(昭和30年) |
製造数 | 28両 |
消滅 | 1975年(昭和50年) |
常備駅 | 茂原駅、扇町駅、速星駅他 |
主要諸元 | |
車体色 | 白 |
専用種別 | 液化アンモニア |
化成品分類番号 | 制定前に形式消滅 |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 8,800 mm - 10,300 mm |
タンク材質 | ボイラー鋼板 |
荷重 | 10 t |
実容積 | 18.9 m3-19.1 m3 |
自重 | 26.1 t - 27.1 t |
換算両数 積車 | 3.5 |
換算両数 空車 | 2.4 |
台車 | TR20、TR41B |
車輪径 | 860 mm |
台車中心間距離 | 4,900 mm - 6,220 mm |
最高速度 | 75 km/h |
タ580形は液化アンモニア専用の10t積タンク車として1935年(昭和10年)10月19日から1955年(昭和30年)7月4日にかけて28両(タ580 - タ591、タ595 - タ597、タ1580 - タ1592)が大阪鉄工所、新潟鐵工所等にて製作された。
塗色は白であり、全長は8,800mm-10,300mm、台車中心間距離は4,900mm-6,220mm、実容積は18.9m3-19.1m3、自重は26.1t-27.1t、換算両数は積車3.5、空車2.4、最高運転速度は75km/hである。
1975年(昭和50年)12月26日に最後まで在籍した1両(タ1592)が廃車になり同時に形式消滅となった。
タ520形
編集国鉄タ520形貨車 | |
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基本情報 | |
車種 | タンク車 |
運用者 |
運輸省 日本国有鉄道 |
所有者 | 昭和電工 |
製造年 | 1949年(昭和24年) |
製造数 | 2両 |
消滅 | 1965年(昭和40年) |
常備駅 | 扇町駅 |
主要諸元 | |
車体色 | 白 |
専用種別 | 液化アンモニア |
化成品分類番号 | 制定前に形式消滅 |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 8,370 mm |
タンク材質 | 普通鋼(一般構造用圧延鋼材) |
荷重 | 5 t |
実容積 | 10.4 m3 |
自重 | 14.2 t |
換算両数 積車 | 2.0 |
換算両数 空車 | 1.4 |
車輪径 | 860 mm |
軸距 | 3,800 mm |
最高速度 | 65 km/h |
タ520形は液化アンモニア専用の5t積タンク車として1949年(昭和24年)5月31日に2両(タ520 - タ521)が製作された。
所有者は昭和電工であり、その常備駅は鶴見線の扇町駅であった。
塗色は白であり、全長は8,370mm、実容積は10.4m3、自重は14.2t、換算両数は積車2.0、空車1.4、最高運転速度は65km/hである。
1965年(昭和40年)3月15日に最後まで在籍した1両(タ520)が廃車となり同時に形式消滅となった。
タ2800形
編集国鉄タ2800形貨車 | |
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基本情報 | |
車種 | タンク車 |
運用者 | 日本国有鉄道 |
所有者 | 日東化学工業 |
種車 | タキ4000形 |
改造年 | 1955年(昭和30年) |
改造数 | 3両 |
消滅 | 1973年(昭和48年) |
常備駅 | 新興駅、湊駅 |
主要諸元 | |
車体色 | 白 |
専用種別 | 液化アンモニア |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 10,450 mm |
タンク材質 | ボイラー鋼板 |
荷重 | 12 t |
実容積 | 22.9 m3 |
自重 | 25.1 t - 26.2 t |
換算両数 積車 | 4.0 |
換算両数 空車 | 2.6 |
台車 | TR20 |
車輪径 | 860 mm |
軸距 | 1,650 mm |
台車中心間距離 | 6,500 mm |
最高速度 | 75 km/h |
1955年(昭和30年)7月15日にタキ4000形より3両(タキ4002,タキ4007,タキ4008→タ2800,タ2802,タ2803)が専用種別変更改造(濃硫酸→液化アンモニア)され形式名は新形式であるタ2800とされた。 番号に欠番が生じているのは当初5両の改造工事が予定されていたが2両が中止になったためである。種車となった車両は、1937年(昭和12年)8月13日から同年8月21日にかけて新潟鐵工所にて製作された車両である。
改造に際してタンク体はボイラー鋼板(SB42、現在のSB410)にて新製されマンホール弁を装備した。
所有者は日東化学工業であり、その常備駅は東海道本線貨物支線(通称、高島線)の新興駅であった。
塗色は白であり、全長は10,450mm、台車中心間距離は6,500mm、実容積は22.9m3、自重は25.1t-26.2t、換算両数は積車4.0、空車2.6、最高運転速度は75km/h、台車はアーチバー式のTR20である。
1973年(昭和48年)5月28日に3両そろって廃車となり同時に形式消滅となった。
参考文献
編集- 吉岡心平 『3軸貨車の誕生と終焉(戦後編)』RMライブラリー9 2000年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 4-87366-198-6
- 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
- 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)