国鉄タム2000形貨車(こくてつタム2000がたかしゃ)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)に在籍した私有貨車タンク車)である。

国鉄タム2000形貨車
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
所有者 旭交易→東京貿易→三菱商事
日本甜菜製糖
製造所 日本鋼管運輸機材
製造年 1950年(昭和25年) - 1951年(昭和26年)
製造数 2両
種車 タ1000形
改造年 1957年(昭和32年)
改造数 1両
消滅 1983年(昭和58年)
常備駅 新興駅十勝清水駅
主要諸元
車体色
専用種別 糖蜜
化成品分類番号 なし
軌間 1,067 mm
全長 7,300 mm - 7,800 mm
全高 3,227 mm
タンク材質 普通鋼一般構造用圧延鋼材
荷重 15 t
実容積 11.0 m3
自重 9.0 t - 9.8 t
換算両数 積車 2.6
換算両数 空車 1.0
走り装置 一段リンク式二段リンク式
車輪径 860 mm
軸距 3,500 mm - 4,000 mm
最高速度 65 km/h→75 km/h
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本形式より改造され別形式となったタム22000形、及び本形式と同一の専用種別であるタ1150形についても本項目で解説する。

タム2000形

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タム2000形は、糖蜜専用の15t積タンク車として1950年(昭和25年)頃と1951年(昭和26年)12月26日にそれぞれ1両ずつが日本鋼管運輸機材にて製造された。その後1957年(昭和32年)12月26日にタ1000形より1両(タ1030→タム2002)が汽車製造にて改造され本形式に編入された。種車となったタ1030は1948年(昭和23年)に戦災復旧車として製造されたものであった。

本形式の他に糖蜜を専用種別とする形式にはタ1150形(3両、後述)、タム22000形(1両、後述)、タキ1600形(初代、16両)タキ3600形(13両)、タキ10900形(3両)、タキ12000形(3両)の6形式が存在した。

落成時の所有者は、旭交易(2両)、日本甜菜製糖(1両)の2社であり、それぞれの常備駅は、東海道本線貨物支線の新興駅根室本線十勝清水駅であった。

1952年(昭和27年)5月19日に旭交易所有車2両(タム2000, タム2001)が東京貿易へ、さらに1954年(昭和29年)8月28日には三菱商事へ名義変更された。

1968年(昭和43年)10月に1両(タム2002)がタム22000形(タム22002)へ改称された。(後述)

貨物列車の最高速度引き上げが行われた1968年(昭和43年)10月1日ダイヤ改正対応のため、軸ばね支持方式が二段リンク式に改造され、最高運転速度は65 km/hから75 km/hへ引き上げられた。

キセ(外板)なしドーム付きタンク車であり、荷役方式はマンホールによる上入れ、吐出管による下出し式である。

塗色は、であり、全長は7,300 mm - 7,800 mm、全高は3,227 mm、軸距は3,500 mm - 4,000 mm、実容積は11.0 m3、自重は9.0 t - 9.8 t、換算両数は積車2.6、空車1.0、車軸は12 t長軸であった。

1983年(昭和58年)2月26日に最後まで在籍した車1両(タム2001)が廃車になり、同時に形式消滅となった。

タム22000形

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国鉄タム22000形貨車
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
所有者 日本甜菜製糖
旧形式名 タム2000形
改造年 1968年(昭和43年)
改造数 1両
消滅 1976年(昭和51年)
常備駅 十勝清水駅
主要諸元
車体色黄1号の帯
専用種別 糖蜜
化成品分類番号 なし
軌間 1,067 mm
全長 6,800 mm
タンク材質 普通鋼(一般構造用圧延鋼材)
荷重 15 t
実容積 11.0 m3
自重 9.8 t
換算両数 積車 2.6
換算両数 空車 1.0
走り装置 一段リンク式
車輪径 860 mm
軸距 4,000 mm
最高速度 65 km/h
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タム22000形は糖蜜専用の15 t 積み私有貨車(タンク車)である。

当初タム2000形の軸ばね支持装置は一段リンク式であったが、貨物列車の最高速度引き上げが行われた1968年(昭和43年)10月1日ダイヤ改正対応のため、2両(タム2000,タム2001)は二段リンク式に改造したが、未改造の車が1両(タム2002)残り、区別のため別形式(タム22000形)とした。車番は現番号に「20000」を加えて「タム22002」となった。改造内容は標記類の書き換え以外何もなく、むしろ本形式の方が本来のタム2000形ともいえる。

所有者は日本甜菜製糖であり、十勝清水駅を常備駅として運用された。

塗色は、黒であり黄色(黄1号)の帯を巻いている。全長は6,800 mm、実容積は11.0 m3、自重は9.8 t、換算両数は積車2.6、空車1.0、最高運転速度は65 km/h、車軸は12 t 長軸であった。

1976年(昭和51年)6月4日に廃車となり、同時に形式消滅となった。

タ1150形

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国鉄タ1150形貨車
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
所有者 日本甜菜製糖
種車 タ1100形
改造年 1949年(昭和24年)
改造数 3両
消滅 1976年(昭和51年)
常備駅 帯広駅→十勝清水駅
主要諸元
車体色 黒 黄1号の帯
専用種別 糖蜜
化成品分類番号 なし
軌間 1,067 mm
全長 7,990 mm
全幅 2,432 mm
全高 3,445 mm
タンク材質 普通鋼(一般構造用圧延鋼材)
荷重 10 t
実容積 8.5 m3 - 8.7 m3
自重 8.5 t - 9.3 t
換算両数 積車 1.4
換算両数 空車 0.8
走り装置 シュー式
車輪径 860 mm
軸距 3,000 mm
最高速度 65 km/h
寸法関係は一例である
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1949年(昭和24年)7月28日にタ1100形3両(タ1100 - タ1102→タ1150 - タ1152)が改造され、形式名は新形式であるタ1150形とされた。

種車であるタ1100形は日本唯一の10 t積み牛乳専用車として1930年(昭和5年)9月12日に製造され、その後1944年(昭和19年)1月19日に車籍除外となっていた。落成時の所有者は大日本乳製品であり、帯広駅を常備駅として運用され、1939年(昭和14年)4月4日に明治製菓へ名義変更された。

タ1150形の所有者は日本甜菜製糖であり、帯広駅を常備駅として運用された。

塗色は当初は黒一色であったが、1968年(昭和43年)10月1日ダイヤ改正では高速化不適格車とされて速度指定65 km/hの「ロ」車となり、黄1号の帯を巻いた。全長は7,990 mm、全幅は2,432 mm、全高は3,445 mm、実容積は8.5 m3 - 8.7 m3、自重は8.5 t - 9.3 t、換算両数は積車1.4、空車0.8、車軸は12 t長軸であった。

1976年(昭和51年)6月4日に全車一斉に廃車となり、同時に形式消滅となった。

参考文献

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  • レイルマガジン』通巻140号(1995年5月・ネコ・パブリッシング
    • 吉岡心平「私有貨車セミナー」 pp. 74-77
  • 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
  • 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)

関連項目

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