国道269号

鹿児島県から宮崎県に至る一般国道

国道269号(こくどう269ごう)は、鹿児島県指宿市から南大隅町鹿屋市曽於市宮崎県都城市経由して、宮崎市に至る一般国道である。

一般国道
国道269号標識
国道269号
地図
地図
総延長 168.4 km
実延長 146.1 km
現道 143.9 km
陸上区間 151.4 km
海上区間 017.0 km
制定年 1963年昭和38年)
起点 鹿児島県指宿市
十二町交差点(北緯31度14分16.8秒 東経130度38分9.6秒 / 北緯31.238000度 東経130.636000度 / 31.238000; 130.636000 (十二町交差点)
主な
経由都市
鹿児島県肝属郡南大隅町鹿屋市
志布志市曽於市
宮崎県都城市
終点 宮崎県宮崎市
橘通3丁目交差点(北緯31度54分59.86秒 東経131度25分23.78秒 / 北緯31.9166278度 東経131.4232722度 / 31.9166278; 131.4232722 (橘通3丁目交差点)
接続する
主な道路
記法
国道226号標識 国道226号
国道448号標識 国道448号
国道504号標識 国道504号
国道220号標識 国道220号
国道10号標識 国道10号
国道222号標識 国道222号
E10 東九州自動車道[注釈 1]
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路

概要

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薩摩半島側の指宿市を起点とし、同市山川港から大隅半島側の肝属郡南大隅町(旧肝属郡佐多町)伊座敷港の間の海上区間を経て、肝属郡南大隅町から宮崎県へ向けて北上する。

肝属郡南大隅町から鹿屋市高須町までは鹿児島湾(錦江湾)沿いを北上。鹿屋市高須町からは大隅半島の内陸部に入り鹿屋市街を横断する。鹿屋市寿からは北東(曽於市岩川・都城方面)へ向かい、都城市国道10号と合流する。

都城市街から再び単独区間となり、(青井岳)越えを経て宮崎市街地で国道10号に合流し終点となる。青井岳越えの区間はかつてはいわゆる酷道の状態であった[1] が、1984年昭和59年)に拡幅が完了し現在では国道10号に代わる都城 - 宮崎間の主要路線しての役割を担っている[2]。かつては宮崎市清武町加納から東進し宮崎市源藤町で国道220号宮崎南バイパス)へ合流するルートであったが、交通量が多く渋滞が頻発していたことから、対応策として国道10号へ合流するバイパス道路加納バイパス天満バイパス)が2008年平成20年)7月29日に完成した。

宮崎県内の一部区間は『青井岳渓谷ライン』の愛称があり、観光ルート『ひむか神話街道』の路線として指定されている。

路線データ

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全ての座標を示した地図 - OSM
全座標を出力 - KML
 
薩摩半島側の始点、指宿市
 
南大隅町佐多伊座敷
国道269号はここから宮崎市へ北上する路線となる
 
鹿児島湾沿岸を走る(錦江町皆倉)
 
鹿屋市中心市街地(国道220号旧道)
 
大崎町野方
平地ではこのような直線道路がみられる
 
今町一里塚(都城市、国指定史跡

一般国道の路線を指定する政令[3][注釈 2]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。

歴史

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都城 - 宮崎間は古くから『鹿児島街道』として知られ、一時期ではあるが国道38号(現在の国道10号)とされたこともあった。鹿屋 - 都城の街道としては『庄内街道』が前身となる。

年表

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  • 1885年明治18年) - 内務省告示第6号「國道表」により都城 - 宮崎間が国道38号(現在の国道10号に相当)として指定。
  • 1891年(明治26年)2月23日 - 国道38号のルートが変更され、都城 - 宮崎間が指定から外れる。
  • 1902年(明治37年) - 山之口 - 田野間(青井岳越え)が県道として開通。
  • 1921年大正10年) - 鹿屋 - 岩川(現在の曽於市大隅町)間の8(約31.4 km)が県道として開通。
  • 1954年昭和29年)
    • 4月1日 - 鹿児島県告示第246号の5により都城 - 鹿屋間が主要地方道都城鹿屋線(宮崎県側は同年11月5日)、鹿屋 - 佐多間が主要地方道鹿屋佐多線、薩摩半島側が主要地方道山川港線として認定される。
    • 11月5日 - 宮崎県告示第453号により宮崎 - 都城間が主要地方道宮崎田野都城線として認定される。
  • 1963年(昭和38年)4月1日 - 二級国道269号指宿宮崎線(鹿児島県指宿市 - 宮崎県宮崎市)として指定。
  • 1965年(昭和40年)4月1日 - 一般国道269号となる。県道としては鹿児島県側は同年12月1日に鹿児島県告示1213号の3により、宮崎県側は同年7月16日に宮崎県告示第613号により廃止される。
  • 1984年(昭和59年) - 青井岳越え区間(山之口町内)の改良が完了。
  • 2006年平成18年)
    • 3月27日 - 天満バイパスが全線開通。
    • 3月29日 - 西原バイパスが全線開通。
  • 2007年(平成19年)12月17日 - 梅谷バイパスが全線開通。
  • 2008年(平成20年)7月29日 - 加納バイパスが全線開通[6]
  • 2016年(平成28年)3月28日 - 加納バイパス・天満バイパス開通後の旧道(宮崎市清武町加納 - 宮崎市源藤交差点間の約2.8キロメートル)が、国道269号から指定解除される。旧道は県道27号宮崎北郷線および宮崎市道となる[6][7]

路線状況

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バイパス

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伊座敷バイパス

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高須バイパス

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高須バイパスは、鹿屋市高須の交通渋滞を緩和するために建設されたバイパス道路。当区間の幅員は7 - 8 m程度で、特に集落内は5.2 mと狭く渋滞や交通事故が多発していた。1983年6月27日に着工し1988年7月に開通した。総延長は1,960 m、幅員は11 m、総工費は10億500万

交差する道路
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西原バイパス

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西原バイパス起点(鹿屋市今坂町)

西原バイパスは、鹿児島県鹿屋市今坂町内を縦断するバイパス道路。全長1.34 km、幅員16 mの2車線道路として2006年3月29日に全線開通した。

国道220号鹿屋バイパスから鹿児島県道550号鹿屋環状線・西原バイパスを経由して鹿屋市野里町や霧島ヶ丘公園へ向かう道路として利用されている。霧島ヶ丘公園はバラ園があり、2006年4月にリニューアルオープンしている。

開通当初は周辺道路や道中にも「国道269号」とわかる案内標識が設置されていなかったが、2006年11月13日までに鹿児島県道550号鹿屋環状線(終点側)の案内標識が取り替えられ、ようやく「国道269号」のバイパス道路であることが現地走行でもわかるようになった。道路地図の対応も、開通から時期がたつにつれ進んでいる。

交差する道路
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梅谷バイパス

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梅谷バイパス(都城方面)

梅谷バイパスは、宮崎市田野町中心部の交通渋滞を緩和するために建設されたバイパス道路。幅員は15 m。1988年度から整備を進め、1998年3月に一部区間が先行開通。2007年12月17日に全線開通した。総工費は約74億円[8]

交差する道路
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加納バイパス

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古城大橋(宮崎市)
 
加納バイパス開通式のテープカット(2008年7月29日)
 
参考:加納バイパス開通前の旧国道269号(宮崎市清武町加納、2008年7月25日撮影)

加納バイパスは、宮崎市清武町加納から宮崎市大坪町の約3 kmを結ぶバイパス道路[9] であり、天満バイパスに接続する。1999年度から整備を進め、2008年7月29日に完成4車線で全通[6]。当初は2008年3月に一部を暫定2車線のままで開通する予定であったが、2007年10月までに当該区間の用地買収が進み全線4車線としての完成が可能となったため、当初から全線4車線で供用されるように計画が変更された[10]道路特定財源制度の暫定税率が失効していた2008年4月には工事が止められていたものの、当初の予定通りに完成した。総工費は約66億円[11]

開通後の旧道は2016年3月28日に宮崎市道および宮崎県道27号宮崎北郷線となった[注釈 8][6][7]

交差する道路
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天満バイパス

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天満橋(宮崎市)

天満バイパスは、宮崎市大坪町から大淀川を渡り宮崎市大工町で国道10号に合流するバイパス道路。1995年度から整備を進め、2006年3月27日に全通した。総延長は2,100 m(天満橋部分は607 m)、幅員は25 m、総工費は約220億円。加納バイパスとは大坪町で接続する。開通後、周辺道路の混雑が大幅に解消された[12]

天満橋は大淀川の代表的な橋となることから周辺景観との調和を必要とした宮崎県は、2001年度に『天満橋周辺景観検討委員会』を設置した。方針として観光色の強い橘通り(国道220号、国道269号の重複区間でもあった)と対照的な「地元住民向けの生活道」としての景観、特に「緑豊かで人にやさしい橋」であることが掲げられ、具体的事項はパブリックコメント宮崎大学の学生が製作した模型などを参考に決定した[12]。最終的なデザインは南雲勝志が担当した。歩道には天然石を採用し[13]、橋内には4か所のバルコニーが、左岸下流橋詰め広場には飫肥杉が使用されたシェルターが設けられた[14]

橋の名称は近隣の天神山にある宮崎天満宮に由来する。架橋計画は1930年から存在し、当初は天神山の東側に架かる予定であったが昭和40年代(1965年 - 1974年)に西側に変更され、この頃に「天満橋」の呼称がみられるようになった[15]

交差する道路
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重複区間

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  • 国道226号鹿児島県指宿市高之原・十二町交差点(起点) - 指宿市十二町・国立病院前交差点)
  • 国道448号(鹿児島県指宿市高之原・十二町交差点(起点) - 肝属郡錦江町城元・栄町交差点)
  • 国道10号宮崎県都城市大岩田・大岩田交差点 - 都城市平江町)
  • 国道10号(宮崎市大工1丁目 - 宮崎市橘通西3丁目・橘通3丁目交差点(終点))

海上区間

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鹿児島県指宿市(旧山川町)の山川港から南大隅町(旧佐多町)の伊座敷港の間は錦江湾(鹿児島湾)をまたぐ海上区間である[注釈 9]。また、国道448号も重複し、この海上区間を経由する[16]。2014年現在、山川港と伊座敷港を直接結ぶ海上航路は存在しない。1965年(昭和40年)から錦江湾フェリー株式会社がこの2港を結ぶフェリー路線を運航していたが、1980年(昭和55年)に同社は南海郵船に吸収合併され、同航路も廃止された[17][18]

近隣航路として、2005年(平成17年)12月から山川港と南大隅町(旧根占町)の根占港を結ぶ航路が鹿児島商船によって就航されるようになり[16]、2019年現在は、なんきゅうドックのフェリーなんきゅうが1日4往復運航されている[19]

道の駅

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交通量

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2005年度(平成17年度道路交通センサス[20] より)
平日24時間交通量(台)

地点 台数
肝属郡錦江町城元 08,207
曽於市末吉町高見堂 12,823
宮崎市田野町唐仁田 09,598
宮崎市大字恒久源藤 25,035

地理

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通過する自治体

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交差する道路

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鹿児島県
海上区間
宮崎県

脚注

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注釈

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  1. ^ a b 実際は宮崎県道371号清武インター線経由。構造上一体化しており、地図によっては直接接続しているように描かれている。
  2. ^ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
  3. ^ 2006年1月1日、指宿市揖宿郡開聞町・揖宿郡山川町が合併して、新指宿市発足。
  4. ^ 2005年3月31日、肝属郡佐多町・肝属郡根占町が合併して、肝属郡南大隅町発足。
  5. ^ 2005年3月22日、肝属郡大根占町田代町が合併して、肝属郡錦江町発足。
  6. ^ 2006年1月1日、宮崎市に編入。
  7. ^ a b c d e f g h i 2022年3月31日現在
  8. ^ 宮崎県道27号宮崎北郷線は単独区間化。
  9. ^ 錦江湾には他にも国道58号国道224号の海上区間が存在する。

出典

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  1. ^ 宮崎日日新聞社『各駅停車全国歴史散歩』(河出書房新社、1984年)の「青井岳駅」の項目による。
  2. ^ 『角川日本地名大辞典45 宮崎県』(角川書店、1986年10月)の「国道」の項目より。
  3. ^ 一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2024年1月24日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i 表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況” (XLS). 道路統計年報2023. 国土交通省道路局. 2023年6月26日閲覧。
  5. ^ 一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2012年10月26日閲覧。
  6. ^ a b c d 『宮崎日日新聞』 2008年7月30日。
  7. ^ a b 「平成28年宮崎県告示第218号 道路の区域の変更」『宮崎県公報 (PDF) 』第2780号、2016年3月28日 p.13
  8. ^ 国道269号の梅谷バイパス きょう全線開通 宮崎日日新聞、2007年12月17日。
  9. ^ 宮崎県公報第2002号(2008年7月28日) (PDF)
  10. ^ 加納バイパス7月開通 全線4車線で運用用地買収完了 宮崎日日新聞、2008年1月5日。
  11. ^ 加納バイパスあす開通 宮崎 - 清武 宮崎日日新聞、2008年7月28日。
  12. ^ a b 井上和彦・榎本彰朗「一般国道269号天満バイパス 〜都市渋滞の解消と景観検討による道路計画〜」『九州技報』第40号、トピックス、2007年1月。
  13. ^ Tenman Bridge - NAGUMO DESIGN - 南雲勝志(設計者)の事務所公式サイト。
  14. ^ Tenman bridge sugi-shelter - NAGUMO DESIGN - 南雲勝志(設計者)の事務所公式サイト。
  15. ^ 甲斐亮典 『大淀川流域 いわれ事典』 - 宮崎河川国道事務所公式サイト)。
  16. ^ a b 松波成行「国道269号/国道448号」『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、87頁、ISBN 978-4-86320-025-8 
  17. ^ シリーズ 山川・根占航路 その8 規制緩和と航路撤退」(PDF)『広報みなみおおすみ』第3巻、南大隅町、2005年6月、7頁、2014年9月9日閲覧 
  18. ^ 旧佐多町の伊座敷港”. 南日本新聞掲載 懐かしフォトギャラリー. 南日本新聞社 (2008年11月24日). 2014年9月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年9月9日閲覧。
  19. ^ フェリーなんきゅう 時刻表”. フェリーなんきゅう. 2014年9月9日閲覧。
  20. ^ 24時間交通量(平成17年度道路交通センサス) - 国土交通省道路局。

参考文献

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  • 鹿屋市史編さん委員会・編 『鹿屋市史 下巻(改訂版)』 鹿屋市、1995年3月、677、682-684頁。
  • 山之口町史編さん委員会・編 『山之口町史』 山之口町、2005年12月。

関連項目

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外部リンク

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