哀悼歌
『哀悼歌』(あいとうか、独: Nänie)作品82は、ドイツの作曲家のヨハネス・ブラームスによって作曲された混声四部合唱とオーケストラのための楽曲。詩はフリードリヒ・フォン・シラーの「Nänie」により、死の不可避性に関する嘆きを表している。ブラームスの友人であるアンゼルム・フォイエルバッハの死をきっかけとして作曲され、1881年に発表された。平均的な演奏時間は約15分。
概要
編集ブラームスは、1880年の春に友人の画家・アンゼルム・フォイエルバッハの死に直面したことを契機として、本楽曲の作曲を始めた。ブラームスは、画家がよくギリシャ神話をモチーフとした作品を作ることに着目し、詩を選択した。 1881年の夏に作曲を完成させ、アンゼルムの継母であるヘンリエット・フォイエルバッハに捧げた[1]。約10年前に書かれた『ドイツ・レクイエム』と同様に、本楽曲は「死を悼む人々を慰める」というアプローチを示している。
原詩と英語対訳
編集タイトルの「Nänie」はローマ神のネーニア(Nenia)に由来する語で、「葬送の歌」を意味する[2]。この詩は特定の人のためではなく、抽象的な「美しさ」の死のために書かれている。この詩はギリシャ神話の3つのエピソードからなっているが、読み手が知識を有していることを前提としており、固有名詞があまり出てこない。第1のエピソードはエウリュディケーを地下から救おうとするオルペウスを、第2のエピソードは恋人のアドーニスを弔うアプロディーテーを、第3のエピソードは息子のアキレウスを死から救おうとするも失敗に終わるテティスを描いている。
Auch das Schöne muß sterben! Das Menschen und Götter bezwinget, |
Even the beautiful must perish! That which overcomes gods and men |
脚注
編集- ^ Kalbeck, Max (2013) (German). Johannes Brahms. Eine Biographie in vier Bänden. Severus Verlag. ISBN 978-3-86-347654-0
- ^ "nenia", Charlton T. Lewis, Charles Short, A Latin Dictionary