ネスティング
構造化プログラミングにおけるネスティング(英: Nesting)、ネスト、入れ子とは、プログラムの構造が再帰的に繰り返されて記述されること。このような構造をネスト構造(英: Nested structure)、入れ子構造と呼ぶ。この記事ではC言語風の擬似コードを用いるが、ネスティングの概念はC言語に限らない。また、名前空間などC言語にない機能についても記述している。
概要
編集ネスティングには主に次の3パターンが存在する。
- 制御構造 - if文、switch文、for文、while文などを内包。これによって実際の処理を示す。
- データ構造 - 構造体、クラス、インタフェースなどを内包。プログラム内でのデータの管理方法を示す。
- 副プログラム - サブルーチン、プロシージャ、コルーチンなどを内包。処理の管理。
- 名前空間 - 名前空間の内部に別の名前空間を配する。
例えば、二分木と呼ばれるデータ構造はデータ構造のネスティングの好例である。
制御構造におけるネスティング
編集制御構造(分岐命令、ループ命令)のネスティング。スコープが入れ子になっている。
条件文のネスティング
編集以下の例では条件式1を判定して判定結果が"真"であるなら条件式2を判定し、条件式2の判定結果も"真"なら条件式3を判定する。条件式3も同様に判定結果が"真"であるなら処理1、処理2、処理3を全て処理した後に入れ子から脱出するが、それまでに条件式2が"偽"なら処理3だけを、条件式3が"偽"なら処理2と処理3をして入れ子から脱出する。
(C言語風での記述)
if (条件式1){
if (条件式2){ // ここの「if」は一番上の「if」の入れ子
if (条件式3){ // ここの「if」は一つ上の「if」と一番上の「if」の入れ子
処理1;
}
処理2;
}
処理3;
}
ループ文のネスティング
編集基本的に上述の条件文と動きが似ているため、記述も似ている。ループ文同士での入れ子はループ文を多用するために、プログラミングのミスによるバグの一つである無限ループが発生しやすくなる。
一番外側から順番に条件式を判定して行き、条件式の値が満たされなくなるまで内側の処理を繰り返していく。
(C言語風での記述)
for (int x = 0; 条件式1; x ){
for (int y = 0; 条件式2; y ){ //ここの「for」は一番上の「for」の入れ子
for (int z = 0; 条件式3; z ){ //ここの「for」は一つ上の「for」と一番上の「for」の入れ子
処理1;
}
処理2;
}
処理3;
}
ループ文と条件文が混合したネスティング
編集一番外側から順番に条件式を判定して行き、条件式の値が満たされなくなるまで内側の処理を繰り返していく。ただし外側から二番目のループ文では、条件式3の判定結果が真のときは処理1を、偽のときは処理2を処理する。
(C言語風での記述)
for (int x = 0; 条件式1; x ){
for (int y = 0; 条件式2; y ){ //ここの「for」は一番上の「for」の入れ子
if (条件式3){ //ここの「if」は一つ上の「for」と一番上の「for」の入れ子
処理1;
}
else{
処理2;
}
}
}
データ構造におけるネスティング
編集構造体のネスティング
編集構造体がメンバとして何らかの構造体を持っている状態は、構造体をネストしていると言える。
struct Point
{
int x;
int y;
};
struct BitmapImage
{
struct Point size;
unsigned char *image;
};
副プログラムにおけるネスティング
編集サブルーチン、プロシージャ、コルーチンにおけるネスティング。単に別のサブルーチンなどを呼び出すだけの場合や再帰呼び出しを指す場合もある。
サブルーチンのネスティング
編集以下の例はgccでのみコンパイル可能。
void message(void){
void hello(){ }// ネストされた関数定義
hello(); //ネストされた関数の呼び出し
}
//ここではhello()は呼び出せない
名前空間のネスティング
編集記述方法は先述のデータ構造の入れ子に酷似している。名前空間を分けることでサブルーチンなどの名称が競合するのを防止する。ちなみに、C言語には名前空間の機能はない。
namespace 名前空間1{
namespace 名前空間2{
int func(){} //名前空間1::名前空間2::func()のようにアクセスさせることが多い
}
}