儒林外史

中国清代の小説

儒林外史』(じゅりんがいし)は、18世紀中国代中期に成立した白話小説。作者は呉敬梓

儒林外史
各種表記
繁体字 儒林外史
簡体字 儒林外史
拼音 Rúlínwàishǐ
注音符号 ㄖㄨˊㄌㄧㄣˊㄨㄞˋㄕˇ
発音: ルーリンワィシー
日本語読み: じゅりんがいし
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概要

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科挙による出世が当然視されていた時代に、科挙にふりまわされる当時の人々を活写した作品である。作中人物のひとり、杜少卿に、作者のおもかげがあるといわれている。

作品は、一貫したストーリーがあるわけではなく、各回の登場人物が、次の回につながり、そこで出会った新しい人物が次のエピソードの主人公となるという、オムニバス的な書かれ方をしている。こうした方式は、それまでの長編白話小説にはあまり見られなかったが、その後、『海上花列伝』や『官場現形記中国語版』などの、時流や風俗を描く小説にその方法が受け継がれた。

作品は55回からなる。「56回」が存在する本もあるが、その第56回は後世の偽作といわれている。現存の最古の刊本は1803年に出版された。

訳書は稲田孝によるものが、平凡社の『中国古典文学大系43』に収められている(1968年、復刊1994年ほか)。また須藤洋一『儒林外史論 権力の肖像、または十八世紀中国のパロディ』(汲古書院 1999年)がある。

評価

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魯迅が本作の社会風刺を高く評価し、『紅楼夢』と並んで中国の近代文学に大きな影響を与えた。しかし、作者の態度は「脱俗を気どった体制擁護にすぎない」として、魯迅の評を過大評価とする意見もある[1]

関連項目

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  1. ^ コトバンク[1]平凡社「改訂新版 世界大百科事典」(中野美代子執筆)。