三井グループ

日本の企業グループ
二木会から転送)

三井グループ(みついグループ、英語: Mitsui Group)は、戦前の三井財閥の流れを汲む日本企業グループ。

三井グループ
Mitsui Group
創業者 三井家
国籍 日本の旗 日本
中核企業 三井物産
三井住友フィナンシャルグループ
三井不動産
三井E&S
三井化学
標章 丸に井桁三
前身 三井財閥
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グループの中でも特に影響力が大きい三井住友銀行(旧三井銀行)、三井不動産三井物産はグループ内の「御三家」と呼ばれる存在である(三井不動産は財閥解体後の三井本社を吸収合併している)。この3社はグループ各社の社長の交流組織である二木会等の幹事会社であるが、グループの意思決定機関ではない[1]。また、三菱や住友と同様に、グループ内の強力な資本関係やグループを統括する持株会社等は存在しない。

三越 - 名所江戸百景 駿河町(歌川広重)。 江戸時代1856年)に描かれた[注 1]。左右には三井グループのロゴが書いてある。三越は三井グループの源流でもある。

概要

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戦前の三井財閥は、江戸時代初期に三井高利三井家)が創業した三井越後屋呉服店(現在の三越)を源流とする[2]日本最大の財閥として財界に君臨した。戦前の旧三井財閥は日本橋東京都中央区)の三井本館を本拠地としており、三越発祥の地である日本橋地区には、現在でも三井不動産が多数の複合商業ビルを所有しているなど、グループのお膝元である。

戦前の旧三井財閥は三菱住友を凌ぐ日本最大の財閥であった。しかし、戦後のGHQによる財閥解体後、同じ旧財閥三菱グループ住友グループに比べて再結集が遅れたこと、本来中核となってグループに資金供給をすべき三井銀行帝国銀行の分裂によって規模が縮小してしまっていたこと、高度経済成長期の重化学工業化に乗り遅れたこと、などから戦前に比べその相対的な地位は低下した。そのため三井グループは表面上、あまり結束が強くない。また、トヨタ自動車東芝などが、そして東芝との関係からIHIなども加わっている。しかしながら、表に現れない部分での結束は未だ残っており、三井系列企業経営層専用のクラブ、そして三井記念病院にも経営層クラス専用の特待病室があることが知られている。

最近の動きとしては、三井鉱山は新日本製鐵(現:日本製鉄)等の支援を受け経営再建を目指し、「日本コークス工業」と改名し三井グループから離脱。2008年4月には、三井財閥の源流である越後屋呉服店の後裔で日本最古の百貨店である三越が、三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)をメインバンクとする伊勢丹と共同持株会社「三越伊勢丹ホールディングス」を設立し、三越伊勢丹として経営統合した。一方で、さくら銀行(旧:三井銀行)は住友銀行と合併し三井住友銀行が誕生するなど、金融系を中心に住友グループとの統合が見られる(「三井住友」を参照)。他にも富士フイルムTBSホールディングス(旧:東京放送)等の三井グループへの新規加盟や、トヨタ自動車等の支援を受けた三井住友海上あいおい損保ニッセイ同和損保との経営統合(MS&ADインシュランスグループ)、三井不動産東京ドームを連結子会社化させる等、グループの新陳代謝も活発である。三井グループ加盟の企業の中では、三井の名前を冠さない三井傍系の大企業が多数あり、それらと直系との強い結びつきを模索する動きが見られる。

ロゴ

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丸囲みの井桁に「三」の文字が入ったもの[注 2]。原則として「三井」と名乗る企業で使われるが、三井住友銀行や三井住友海上火災[注 3]、三井住友建設、商船三井など三井と名乗っても他のグループと合併した会社は、三井と名乗らない企業と同じようにこのロゴを使わない。また最近、三井広報委員会でもこの井桁マークを使っていない。

また、三井を冠する企業でも三菱グループにおけるスリーダイヤ住友グループにおける井桁に比べて企業再編が活発になる以前の1970年代時点で三井の丸囲みの井桁に「三」を採用しない会社は三菱や住友の前述のマークに比べて多かった[注 4]。また、三井を冠しグループ外企業との合併等を含む商号変更をしていない場合でも同様である。

三井グループ主要各社

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かつて旧三井銀行三井物産・旧三井鉱山の三社が「三井グループ御三家」と呼ばれていた。戦後は三井本社を吸収合併した三井不動産が、旧三井鉱山(現・日本コークス工業)に代わり、さらに三井銀行の流れを汲むさくら銀行が最終的に住友銀行と合併したことで、三井住友銀行三井物産三井不動産の3社が「三井新御三家」となった[4]

社名
(太字は三井グループ中核企業)
二木会 三井広報
委員会
三井業際
研究所
綱町三井
倶楽部
月曜会 三井文庫 備考
IHI           ※4[5]
イビデン    
イビデングリーンテック  
宇徳  
エームサービス      
王子ホールディングス             ※4[5]
王子製紙  
カネカ   ※5[6]
サッポロホールディングス  
サッポロビール     ※2[5]
三機工業            
JA三井リース      
商船三井             ※3[注 5][5]
エムオーツーリスト  
昭和飛行機工業    
新日本空調        
ジーエス・ユアサコーポレーション  
住友三井オートサービス   ※1[7]
太平洋興発  
太平洋セメント           ※2[5]※4[5]
第一園芸  
大樹生命保険          
ダイセル     ※6[8]
TBSホールディングス         ※4
TBSテレビ   ※4
テレビ東京ホールディングス         ※4
デンカ             ※4[5]
東亞合成  
東京ドーム     ※4
東芝           ※4
東洋エンジニアリング      
東レ            
東レインターナショナル  
西日本電線  
トヨタ自動車         ※3[注 6]※4
ニップン          
日本製紙           ※2[5]
日本紙パルプ商事  
日本製鋼所            
BIPROGY        
フジクラ      
富士フイルムHD        
富士フイルム     ※6[8]
物産不動産  
三井E&S            
三井海洋開発  
三井化学            
三井化学東セロ  
三井共同建設コンサルタント  
三井金属鉱業            
三井情報    
三井住建道路  
三井住友海上火災保険             ※1[5][7]
三井住友海上プライマリー生命保険  
三井住友建設             ※1[5][7]
三井住友トラストHD         ※1[注 7]
三井住友信託銀行       ※1[7]
三井住友トラスト・カード   ※1[注 8]
三井住友FG       ※1[注 9]
三井住友銀行         ※1[5][7]
三井住友ファイナンス&リース       ※1[7]
三井住友カード     ※1[7]
SMBC日興証券[注 10]    
SMBCコンサルティング  
SMBCファイナンスサービス  
さくら情報システム  
日本総合研究所 ※1[7]
三井精機工業    
DM三井製糖      
三井石油開発  
三井倉庫ホールディングス            
三井倉庫ロジスティクス  
三井デザインテック  
三井農林  
三井物産            
三井食品  
三井不動産            
三井不動産レジデンシャルサービス  
三井不動産レジデンシャルリース  
三井不動産リアルティ      
三井不動産ビルマネジメント  
三井不動産レジデンシャル    
三井不動産ファシリティーズ  
三井不動産商業マネジメント  
三井不動産ホテルマネジメント  
三井ホーム    
三井松島産業   -
三井三池製作所    
三越伊勢丹ホールディングス            
三越伊勢丹  
室町殖産  

備考欄の

  • 「※1」の会社は、住友グループでもある。
  • 「※2」の会社は、芙蓉グループでもある。
  • 「※3」の会社は、三和グループでもある。
  • 「※4」の会社は、第一勧銀グループでもある。
  • 「※5」の会社は、大輪会グループでもある。
  • 「※6」の会社は、最勝会グループでもある。
  • 二木会(にもくかい)は、財閥解体で緩みかかったグループの連帯維持を目的に設けられた「月曜会」を母体として、1961年に発足し、グループ企業の会長・社長を集めて行う懇談昼食会を活動の中心としている。毎月第2木曜日に開かれるのでこの名がある。またグループの内部広報紙を発行する三友新聞社にも出資している。
  • 三井広報委員会は三井グループの広報を目的としている。
  • 三井業際研究所は、業種の枠を超えた「異業際分野における知識集団としての機能を果す」(同研究所公式ページより)事を目的に、二木会の直属機関として1978年に設立された。
  • 綱町三井倶楽部は、グループ企業の課長クラス以上の役職員・OBの親睦を図る目的で設立された会員制クラブで、同名の歴史的建造物(2015年現在もグループの迎賓館として使用。場所は東京都港区三田)を拠点としている。
  • 月曜会は、三井グループ各社の役員間の相互親睦と情報交換を目的とする会合。月曜に会合が行われていたためこの名がある。二木会の母体となったが、二木会発足後も存続している。
  • 三井文庫は、三井文庫本館と三井記念美術館からなる公益財団法人である。公益財団法人三井文庫の前身である財団法人三井文庫が三井グループ各社の支援を得て設立されたことから[10]、三井文庫の賛助会社は三井グループに属しているといえる[注 11]

三井グループとも親密な企業

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脚注

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注釈

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  1. ^ 2024年現在、富士山方向奥に伸びる道路が江戸桜通り、通りを挟んで左側が三越日本橋本店本館、右側が三井本館となっている。手前左右に伸びる道路が中央通りである。
  2. ^ 企業によっては「三」の文字が直線でなく筆文字であったり[3]、線の太さが異なったりする[3]。なお三井物産のみ丸がない[3]
  3. ^ 前身の一つ「三井海上火災」も、大正海上から社名変更後も井桁マークを使用していなかった。
  4. ^ 例、三井銀行の八重桜の中に井桁に「三」など。
  5. ^ ただし三水会に加盟しているがみどり会には加盟していない。
  6. ^ ただし、厳密には旧三和銀行(後のUFJ銀行、現在の三菱UFJ銀行)ではなく、合併相手である旧東海銀行UFJグループ)の親密企業であるため、三水会みどり会に加盟していない。三水会やみどり会に加盟しているのは傘下のダイハツ工業である[9]
  7. ^ ただし三井住友トラストHD自体は白水会や住友グループ広報委員会に加盟していない。白水会や住友グループ広報委員会に加盟しているのは傘下の三井住友信託銀行である。
  8. ^ ただし三井住友トラスト・カード自体は白水会や住友グループ広報委員会に加盟していない。白水会や住友グループ広報委員会に加盟しているのは兄弟会社の三井住友信託銀行である。
  9. ^ ただし三井住友FG自体は白水会や住友グループ広報委員会に加盟していない。白水会や住友グループ広報委員会に加盟しているのは傘下の三井住友銀行と三井住友カードである。
  10. ^ 旧大和証券SMBC(後に旧大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月1日付けで「(3代目)大和証券」に統合)に代わり2010年1月1日付入会。
  11. ^ 例をあげるとカネカは三井文庫の賛助会社に名を連ねているため三井グループの一員である[11]

出典

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  1. ^ 三井グループの再結集”. www.mitsuipr.com. 2024年4月2日閲覧。
  2. ^ 越後屋誕生と高利の新商法”. www.mitsuipr.com. 2023年5月31日閲覧。
  3. ^ a b c コラム「三井を読む」第4回 商いの大理想を新たな店章に託して
  4. ^ 豊田家と三井グループ“御三家”急接近!三井不動産やSMBCが「トヨタ詣で」を始めた思惑”. ダイヤモンド・オンライン (2023年9月9日). 2024年3月31日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k 『六大社長会の加盟企業 秘2017年版バージョン』『週刊ダイヤモンド2017年7月29日号、ダイヤモンド社、32-33頁
  6. ^ a b c 大輪会(だいりんかい)とは”. 泉佐野丘陵緑地公式サイト. 2024年3月21日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h 住友グループ各社のご案内”. 住友グループ公式サイト. 住友グループ広報委員会. 2024年3月24日閲覧。
  8. ^ a b 長岡禅塾”. 双日公式サイト. 双日株式会社. 2024年3月21日閲覧。
  9. ^ a b c d e メンバー会社一覧”. みどり会. 株式会社みどり会. 2024年4月5日閲覧。
  10. ^ 三井文庫 - 三井の歴史にまつわる施設”. 三井広報委員会公式サイト. 三井広報委員会. 2024年3月19日閲覧。
  11. ^ 定款・役員・賛助会社 | 公益財団法人 三井文庫 – 社会経済史史料の保存・公開、調査研究をおこなう史料館と美術品の保存・公開、調査研究をおこなう三井記念美術館からなる研究機関”. 三井文庫公式サイト. 公益財団法人 三井文庫. 2024年3月19日閲覧。
  12. ^ 新型コロナで苦境のANAを「全面的にサポート」 三井住友FG太田社長がインタビューに答える東京新聞 2020年12月22日 2021年7月11日閲覧)
  13. ^ ANAホールディングスと三井不動産が日本橋エリアを舞台にアバターの都市実装共同事業を開始(三井不動産 2019年11月27日 2021年7月11日閲覧)
  14. ^ 深川孝行 (2024年3月31日). “ANAの生みの親は「朝日新聞」だった? 日本を代表する航空会社と大新聞社の知られざる蜜月関係とは”. Merkmal(メルクマール). p. 6. 2024年4月29日閲覧。
  15. ^ 中外商業新報”. コトバンク(朝日新聞社). 2021年6月11日閲覧。
  16. ^ 中外商業新報,日本産業経済新聞”. 神戸大学附属図書館. 2021年6月11日閲覧。
  17. ^ 日経・TBS業務提携 国内外でコンテンツ強化”. 日本経済新聞 (2011年12月2日). 2021年6月11日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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