リャドヴィチ
リャドヴィチ(ロシア語: Рядовичи、ウクライナ語: Рядовичі)とは、キエフ・ルーシ期の人々のカテゴリの1つであり、負債を地主の元での労働で支払う契約(この契約をリャドという。)を結んだ状態にある人々を指す言葉である。日本語文献では「契約隷属民」等と訳される[1]。
リャドヴィチは貸付金を借り、契約により農業などの期間労働を行った。主人に従属し、主人の元に住み着いた。貸付金は労働や、金・家畜・作物の種子などで返済した。その立場はザークプという、年季奉公の労働者[2]に近い。しかしホロープ(ru)(奴隷[3]・隷属農民[4])とは異なる扱いを受けた。自由民とリャドヴィチとの結婚による子供もいた。また、財産の所有や贈与も認められており、たびたび主人の下級の事務官としても用いられた。
『ルースカヤ・プラウダ』(ルーシ法典)においては、リャドヴィチの殺人罪に対するヴィーラ(罰金)は、スメルド(自由農民[2])やホロープと同じ5グリヴナと定められていた。
14世紀-17世紀には、都市の商人組合の構成員をリャドヴィチと呼んだ。リャドに基づく社会層であることはキエフ・ルーシ期と同様であり、また同様にリャドクに住んでいた。
出典
編集参考文献
編集- ソビエト大百科事典(第二版)/Б. А. Введенский. — М: Большая Советская Энциклопедия, 1955 г. — Т. 37. — Т-08441.
- 伊東孝之他編 『ポーランド・ウクライナ・バルト史』 山川出版社、1998年。
- 和田春樹編 『ロシア史』 山川出版社、2002年。
- 國本哲男他訳 『ロシア原初年代記』 名古屋大学出版会、1987年。
- アレクサンドル・ダニロフ他 『ロシアの歴史(上) 古代から19世紀前半まで』 寒河江光徳他訳、明石書店、2011年。