リマ症候群
リマ症候群(リマしょうこうぐん、英:Lima syndrome[1])は、誘拐・監禁事件などの犯人が人質と長時間過ごすうちに、人質に対して親近感を抱くようになる現象[2]。しばしば「ストックホルム症候群」と対比させて使われる。
警察白書では「犯人が人質に感化され、同一化を望む過程で、犯人が人質の文化を取り入れ、学習し、その結果として、犯人の人質に対する攻撃的態度が緩和されること」と定義されている[3]。
語源
編集1996年に起きた「在ペルー日本大使公邸占拠事件」が由来である[4]。同事件ではテロリストグループが殺害対象だったものも含めて人質に同情してしまっていた[5]。同事件発生から127日目に要求を受け入れられなかったペルー政府は強行突入を開始した。この際、ゲリラ組織は人質に発砲したが、女性メンバーは日本人の人質を撃つことができなかったため、日本人は処刑を免れて次々公邸から脱出し、結果的に全員が脱出に成功した[6]。
詳細
編集リマ症候群では以下のような症状が見られることがある[7]。
- 誘拐犯が被害者を傷つけるようなことをしない
- 被害者にある程度の自由を与えたり、解放してしまうことすらある
- 誘拐犯が被害者の心身の健康を心配する
- 被害者と会話をする
- 時には、誘拐犯は被害者に個人的な情報を共有することすらある。例えば、子どもの頃の話や人生の目標、願望など
- 被害者に対して約束することすらある。例えば、”俺がお前を守る”であったり、”あなたには悪いことは何も起こらないよ”というような発言をする
- 時には、誘拐犯が被害者に好意を抱いてしまうことすらある
作品
編集小説
編集- アン・パチェット作『ベル・カント (小説)』(2001年)[8]
映画
編集- ポール・ワイツ監督『ベル・カント とらわれのアリア』(2018年)[9][10]
脚注
編集- ^ “リマ症候群 | 現代人のカタカナ語辞典 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス”. 情報・知識&オピニオン imidas. 2020年8月4日閲覧。
- ^ “「テロリストが人質を思いやる」奇跡が有名テロ事件で起きていた(此花 わか) @gendai_biz”. 現代ビジネス. 2020年8月4日閲覧。
- ^ “平成9年 警察白書”. www.npa.go.jp. 2020年8月4日閲覧。
- ^ “Rare and Unusual Psychiatric Syndromes: A Primer”. Medscape. 2020年8月4日閲覧。
- ^ “Lima Syndrome”. TV Tropes. 2020年8月4日閲覧。
- ^ “価格.com - 「リマ症候群」に関連する情報 | テレビ紹介情報”. kakaku.com. 2020年8月4日閲覧。
- ^ “リマ症候群とは?”. こころの探検 (2019年7月6日). 2020年8月4日閲覧。
- ^ “(天声人語)「リマ症候群」から20年:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2020年8月4日閲覧。
- ^ “映画『ベル・カント とらわれのアリア』の原作者が着想を得た「ペルー日本大使公邸占拠事件」とは:人質となった元大使館員・小倉英敬氏に聞く”. nippon.com (2019年11月16日). 2020年8月4日閲覧。
- ^ “渡辺謙「なんでこんなショッキングな結末なのか」J・ムーア、加瀬亮共演『ベル・カント とらわれのアリア』”. BANGER!!!. 2020年8月4日閲覧。