ユニークローカルアドレス
ユニークローカルアドレス (ULA: unique local address) は、プライベートIPv6ネットワークのために使用される、アドレスブロック fc00::/7
のIPv6アドレスである。ユニークローカルユニキャストアドレス、ユニークローカルIPv6ユニキャストアドレスとも言う。
RFC 4193 で定義されている。IPv4のプライベートアドレスに相当するものである。ユニークローカルアドレスはプライベートネットワークの中(単一のサイトや組織の中、またはサイトや組織の中の限られたメンバー)でのみ有効である。ユニークローカルアドレスはグローバルのIPv6ネットワークでルーティングされない。
歴史
編集1995年、 RFC 1884 でアドレスブロック fec0::/10
をサイトローカルアドレス(site-local addresses)と定めた。サイトローカルアドレスは、プライベートIPv6ネットワーク用に「サイト(site)」の中だけで使用できるアドレスである。しかし、「サイト」という語の定義が不十分であったため、ルーティングの規則について混乱を招いた。2004年9月の RFC 3879 にて、サイトローカルアドレスを非難し、その問題の解決を要請した。2005年10月、 RFC 4193 が発行され、アドレスブロック fc00::/7
をプライベートIPv6ネットワークのために使用し、その名前をユニークローカルアドレス(unique local addresses)とすることが定められた。
定義
編集アドレスブロック fc00::/7
は以下の2つの/8のグループに分けられる。
- ブロック
fc00::/8
は未定義である。割り当て管理者によって管理することが提案されたが、これはIETFで受け入れられなかった[1][2][3]。このブロックは、cjdnsメッシュネットワークでも使用される。 - ブロック
fd00::/8
は、40ビットのランダムなビット列を後につけて/48のプリフィックスとして使用することと定められている。この結果、この範囲のプリフィックスはfdxx:xxxx:xxxx::
という形式になる。RFC 4193 では、高精度の乱数生成の方法が利用できない場合であっても、最小限度の品質を保ってランダムなビット列を得られる方法を、ユーザに提案している。
例
編集fd00::/8
の範囲でルーティングプリフィックスを作るのに、40ビットのランダムな十六進数がe48dba82e1
として得られた場合、これを fd00::/8
の後につけて/48のプリフィックス fde4:8dba:82e1::/48
が得られる。このプリフィックスからは、/64のサイズのサブネットが fde4:8dba:82e1::/64
から fde4:8dba:82e1:ffff::/64
までの65536個作れる。
特徴
編集fd00::/8
の範囲のプリフィックスは、IPv4のプライベートアドレスと似た特徴を持つ。
- アドレスレジストリによって割り当てられることはなく、他者を巻き込むことなく誰でも使用できる。
- グローバルにユニークであることが保証されない。
- ユニークローカルアドレス
fd00::/8
のDNSの逆引きエントリー(ip6.arpa配下)は、グローバルDNSに委任されない。
ユニークローカルアドレス fd00::/8
は、そのアドレスを管理する領域(サイトまたは組織)の外部に通信経路を持つことができない。そのため、ネットワークを相互接続する管理者は、ユニークローカルアドレスのプリフィックスの重複について懸念する必要がない。また、異なる2つ以上のネットワーク(または、サイト)を単一のネットワークに統合する場合でも、RFC 4193 のアルゴリズムを用いてランダムなビット列を選択していれば、ユニークローカルアドレスの重複と衝突のリスクを低減することができる。
関連項目
編集出典
編集- ^ Internet Draft “Centrally Assigned Unique Local IPv6 Unicast Addresses”. IETF (2004–2007). 2016年2月25日閲覧。
- ^ Internet Draft “An Analysis of Centrally Assigned Unique Local Addresses”. IETF (2007年). 2016年2月25日閲覧。
- ^ Internet Draft “Centrally Assigned IPv6 Unicast Unique Local Address Prefixes”. IETF (2009–2010). 2016年2月25日閲覧。
外部リンク
編集- Stockebrand, Benedikt (2006). IPv6 in Practice. ISBN 3-540-24524-3
- “The shell script used by KAME and SixXS for generating a ULA”. 2016年2月25日閲覧。
- “ULA draft proposal” (PDF). ARIN (2004年). 2016年2月25日閲覧。
- Internet Draft “Analysis and recommendation for the ULA usage”. IETF (2012年). 2016年2月25日閲覧。