IUS (産婦人科学)
子宮内避妊器具とともに子宮内に設置してより避妊効果を高める製剤
(ミレーナ (子宮内避妊システム)から転送)
IUS(英: Intrauterine system,日:子宮内黄体ホルモン放出システム)とは、IUDに黄体ホルモンの徐放部分を追加して避妊効果を高めた製剤である。IUDと同様に、主に経産婦向けに子宮内に留置して使用される。
概要
編集intrauterine device(IUD:)と似ているが、IUDは受精卵の着床阻害効果のある避妊医療機器を意味するのに対し、IUSは一度装着すれば最長5年間黄体ホルモンを子宮内から放出させる医薬品を意味する。一方、IUDの避妊効果は2-5年であり、黄体ホルモンが付加されていないので、授乳中のような産後直後から使用できるのメリットがある[1]。
日本では処方箋医薬品(医療用医薬品)としての規制を受けており、日本では2007年より「ミレーナ」が製造承認を取得し、自由診療で用いられていた。2014年に過多月経および月経困難症の保険適応が追加された。
特徴(IUDとの違い)
編集IUSは子宮内に装着することにより長期間避妊効果を発揮する点では、子宮内避妊器具(IUD)と似ている。しかし、IUDは医療機器であるのに対し、IUSは医薬品である。IUSの「ミレーナ」は「レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS; 英: levonorgestrel-releasing intrauterine system)」という、従来と異なる新しいタイプの避妊法である。過多月経、月経困難症 にも適応がある。ただし過多月経の場合、器質性過多月経の患者では、原疾患の治療を優先することが必要とされる。
ミレーナの製品概要
編集開発の経緯
編集- 1970年代後半 - IUDに黄体ホルモンとしてレボノルゲストレルを加えることにより、高い避妊効果と長期間にわたる避妊効果が可能である製剤の開発を開始。
- 1990年 - フィンランドにおいて世界で初めて承認・発売
- 2007年 - 日本で子宮内避妊具として承認・発売(処方箋医薬品、自由診療)
- 2014年6月 - 日本で過多月経の適応追加
- 2014年11月 - 日本で月経困難症の適応追加
作用機序
編集避妊
過多月経、月経困難症
- 子宮内膜への形態学的変化をもたらす作用により、月経血量を減少させるとともに、月経困難症の症状を軽減させると考えられている。
注意事項
編集脚注
編集- ^ 植木麻利子 (2021年10月7日). “高い避妊効果が!IUS(ミレーナ)のメリット・デメリット”. Cosmopolitan. 2022年7月28日閲覧。
参考文献
編集- 丸尾猛ほか:診療と新薬 43:1157(2006)
- “『MIRENA®(levonorgestrel-releasing intrauterine system)』FDA承認:患者向説明文書(英語)” (PDF). Bayer HealthCare Pharmaceuticals Inc.Wayne,NJ07470 Manufactured in Finland (2009年10月). 2010年3月28日閲覧。
- バイエル薬品株式会社・メディカルインフォメーション (2014年11月). “ミレーナ52mg”. PMDA. 2018年3月2日閲覧。
関連項目
編集- 子宮内避妊器具(IUD)
- 避妊
- レボノルゲストレル-ミレーナの主成分
- 月経困難症-保険適応対象