マクラーレン・MP4/6
マクラーレン MP4/6 (McLaren MP4/6) は、マクラーレンが1991年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カー。チーフデザイナーのニール・オートレイとエアロダイナミストのアンリ・デュランが設計した。ホンダV12エンジンを使用した最初のマクラーレン車であり、F1史上唯一のV12エンジンを搭載したチャンピオンマシンである[2]。
アイルトン・セナがドライブしたMP4/6 | |||||||||
カテゴリー | F1 | ||||||||
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コンストラクター | マクラーレン | ||||||||
デザイナー | ニール・オートレイ | ||||||||
先代 | マクラーレン・MP4/5B | ||||||||
後継 | マクラーレン・MP4/7A | ||||||||
主要諸元[1] | |||||||||
シャシー | カーボンファイバー モノコック | ||||||||
サスペンション(前) | ダブルウイッシュボーン、プッシュロッド(縦置きコイルスプリング)/ダンパー | ||||||||
サスペンション(後) | ダブルウイッシュボーン、プッシュロッド(垂直置きコイルスプリング)/ダンパー | ||||||||
全長 | 4,496mm | ||||||||
全幅 | 2,120mm | ||||||||
全高 | 965mm | ||||||||
トレッド | 前:1,824 mm / 後:1,669 mm | ||||||||
ホイールベース | 2,972mm | ||||||||
エンジン | ホンダ RA121E, 3,493 cc (213.2 cu in), 60度 V12 NA, ミッドエンジン, 縦置き | ||||||||
トランスミッション | マクラーレン製 横置き 6速 MT | ||||||||
重量 | 505kg | ||||||||
燃料 | シェル | ||||||||
タイヤ | グッドイヤー | ||||||||
主要成績 | |||||||||
チーム | ホンダ マールボロ マクラーレン | ||||||||
ドライバー |
1. アイルトン・セナ 2. ゲルハルト・ベルガー | ||||||||
コンストラクターズタイトル | 1 1991年 | ||||||||
ドライバーズタイトル | 1 (アイルトン・セナ) | ||||||||
初戦 | 1991年アメリカグランプリ | ||||||||
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MP4/6
編集ホンダはF1第1期活動以来となるV12エンジンを開発。ゲルハルト・ベルガーによりオフシーズンからテストされたが、前年のV10エンジンに比べてアンダーパワーであった。アイルトン・セナはプレシーズンテストにて、エンジンの問題解決に取り組んだ。
MP4/6はHパターンのマニュアルトランスミッション(MT)を採用していた。1991年シーズンにセミオートマチックトランスミッション(セミAT)を採用していたのはフェラーリとウィリアムズだけであったが、マクラーレンもこの年のハンガリーGPのフリー走行でセミATをテストした。このトランスミッションは翌1992年にMP4/7Aで実戦投入された。V10エンジンからV12エンジンへのスイッチ、および燃料タンクの大型化により、ホイールベースは1990年型シャシーのMP4/5Bより40mm長くなった。
課題の空力面はライバルのフェラーリから加入したアンリ・デュランが担当したためフェラーリに似通ったものとなった。フロントサスペンションはMP4/4以来のプルロッド式からフェラーリとよく似たプッシュロッド式に変更され、スプリング/ダンパーユニットをモノコック上に水平に設置することで、ノーズを細くすることができた(ハイノーズは採用していない)。サイドポンツーンもフェラーリと似た、高く丸みを帯びたデザインに変更された。
アンリ・デュランによって空力面はある程度改善されたが、シーズン前のシャシーの研究開発は順調とは言えなかった。また、空力も彼が関わっていたフェラーリ・642のデザインが色濃く反映しており、チームによる研究が進んでいるとは言えなかったが、シーズン中の開発で何とかウイリアムズに対抗した。それに対して、ウイリアムズは前年途中にマーチからエイドリアン・ニューウェイが移籍し、チームで空力やシャシーに関する研究を進めており、その結果が表れつつあった。
1991年シーズン
編集アイルトン・セナはアメリカGP、ブラジルGP、サンマリノGP、モナコGPの4レースで開幕4連勝を記録した。しかし、シーズン序盤のマクラーレンの連勝はライバルだったウィリアムズ・FW14の信頼性不足によるもので、モナコGPを境にFW14とルノーV10エンジンのパッケージが優れた性能を発揮した。シーズンを通してマクラーレンは表彰台の常連であったが、セナはホンダにエンジンの改良を要求するとともにチームに対してもシャシーの大幅な改良を要求した。
この要求に対して、ホンダはV12エンジンの継続的なアップデートで応えた。低回転時のトルク発生を最適化するため、第11戦ベルギーGPから可変吸気管長システムを採用した。シェルの特殊ブレンドガソリンも出力向上に貢献した。オートレイも様々な改良を加え、特にサイドポッドとウイングを中心とした変更が加えられた。また、ハンガリーGPではシーズン中にもかかわらず、16kgもの軽量化を実現したシャシーをセナのレースカーとして投入した。日本GPではフロントノーズを延長、フロントウィングを前方に移動して空力安定性を改善した。
マクラーレンはウィリアムズに猛追され、一時はコンストラクターズのトップの座を奪われたが、ウィリアムズはハンガリーGPとベルギーGPでのマシントラブル、ポルトガルGPのピットストップのミスでマクラーレンにリードを許し、マクラーレンは4年連続のコンストラクターズチャンピオンとなった。セナは3度目のドライバーズタイトルを獲得した。
年 | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | ポイント | ランキング |
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USA |
BRA |
SMR |
MON |
CAN |
MEX |
FRA |
GBR |
GER |
HUN |
BEL |
ITA |
POR |
ESP |
JPN |
AUS | |||||
1991 | 1 | アイルトン・セナ | 1 | 1 | 1 | 1 | Ret | 3 | 3 | 4 | 7 | 1 | 1 | 2 | 2 | 5 | 2 | 1 | 139 | 1位 |
2 | ゲルハルト・ベルガー | Ret | 3 | 2 | Ret | Ret | Ret | Ret | 2 | 4 | 4 | 2 | 4 | Ret | Ret | 1 | 3 |
スペック
編集シャーシ
編集エンジン
編集MP4/6B
編集マクラーレンMP4/6Bは前年のMP4/6に小改良を加えたモデルであり、1992年シーズンの開幕戦南アフリカGPから投入された。マクラーレンは序盤3戦をこのMP4/6Bで戦い、ヨーロッパラウンドが始まる第4戦スペインGPからニューシャシーのMP4/7Aを投入する予定だった。
しかし、ライバルであるウィリアムズ・FW14Bの2連勝の前に歯が立たず、予定を早めて第3戦ブラジルGPよりMP4/7Aにスイッチした。
年 | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | ポイント | ランキング |
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RSA |
MEX |
BRA |
ESP |
SMR |
MON |
CAN |
FRA |
GBR |
GER |
HUN |
BEL |
ITA |
POR |
JPN |
AUS | |||||
1992 | 1 | アイルトン・セナ | 3 | Ret | 99 | 2位 | ||||||||||||||
2 | ゲルハルト・ベルガー | 5 | 4 |
ミニカー
編集タミヤから1/12ビッグスケールのプラスチックモデルが発売され、1/10RCカー、1/14タムテック、1/20コレクターズクラブ(完成品モデル)と多様なスケールで発売された。フジミ模型からも1/20プラスチックモデルが発売されている。
オニキスの1/43スケールミニカーがタミヤパッケージでセナ・ベルガーの両タイプをリリースした(※当時タミヤがマクラーレンの版権を取得していたため)。それぞれ「McLaren」ロゴとタバコ広告禁止時の「ストロボ」マークの2タイプがあった。
ミニチャンプスはセナの没後に展開した「アイルトン・セナコレクション」の中の1台としてリリースし、以降ベルガー仕様やドイツGP仕様などのバリエーション違いを展開。セナ没後10年に開催された「アイルトン・セナ展」にて販売された。1991年ブラジルGP仕様は一部ショップと会場限定販売だったため流通量が少ない。ミニチャンプスからは1/43のほか1/18スケールも展開された。このほか京商からもアイルトン・セナコレクション1/64スケールのミニカーがリリースされた。
出典
編集- ^ “STATS F1 - McLaren MP4/6”. Statsf1.com. 2010年8月23日閲覧。
- ^ “【F1】歴史に残る傑作エンジン 6選 |パワーユニット|歴史”. Red Bull (2022年10月18日). 2023年12月31日閲覧。