ポーランドの文化
ポーランドの文化(ポーランド語: Kultura Polski)とは、ポーランドの地理と独自の歴史的発展の産物であり、複雑な千年以上の歴史と深く結びついている[1]。カトリック教会を中心とした価値観が主流を占め、今でも多くのポーランド人の日常生活に非常に深い影響を与えている[2]。
概要
編集ポーランド文化の独自性は、その中央ヨーロッパにおける地理的条件によって形成され、多様な欧州各地の文化的影響を受けながら発展してきた。
現代のポーランド人は、主に西スラヴ人の子孫で構成されているが、一部にはケルト人やバルト人、ゲルマン系部族などとの混血も見られる民族である。現代のポーランド共和国がある地域には、古くから多くの民族が暮らしていたが、10世紀にカトリック教会によるキリスト教化が進んだ結果、徐々にそれぞれの民族としての独自性を失い、「ポーランド人」という単一民族に融合していったと推測されている。カトリック信仰の下でゲルマン、バルト、ユダヤ、ラテン系文化の影響を強く受ける一方で、ビザンティンやオスマンの文化とも一定の関わりを持ちながら、多民族が共存する舞台の中心として発展し続けてきた[3]。
伝統的に、ポーランド人は国内外からの芸術家を非常に歓迎し、ほかの欧州諸国で流行している文化や芸術の潮流を取り入れ、ポーランド文化に積極的に織り込むことが多い。19世紀から20世紀にかけて、ポーランドでは政治や経済活動よりも、文化的発展が重視されることが多く、このような背景から、ポーランドの芸術は多様で複雑な性格を持つようになった[3]。現在、ポーランドは高度に発展した国でありながら、伝統を大切にしている。
ポーランドは西洋世界の芸術や音楽、哲学、数学、科学、政治、文学に多大な貢献をしてきた。「ポーランド文化や習慣への愛着」を表す言葉として、ポーランド語には「ポロノフィリア(Polonophilia)」という有名なことわざがある。
文化の歴史
編集ポーランドの文化史はヨーロッパ中世に遡ることができる。ポーランド史の基準に従い、また欧州全体の哲学や芸術の歴史的流れを考慮すると、ポーランドの文化は以下の11の時代に区分することができる[要出典]:
言語文化
編集ポーランド語(język polski、ポルスズィナ)とは、ポーランド共和国全土で使用されていて、唯一の公用語として認められ、他国に住むポーランド系の少数民族でも広く使用されている。ポーランド語の書き言葉や文語は、英語のように「アルファベット」を使用し、「ラテン文字」を基盤にしている点はほかの多くの欧州諸国と共通しているが、いくつかの独自の追加文字も含まれている。ポーランド語は長い歴史を有し、豊かな文学が発展してきた。ポーランド分割後、ポーランド語の抑圧を試みた国々や政策は多くあったが[要出典]、いずれも失敗に終わり、ポーランド語は現代に至るまで分割前の文法や書き方が保たれている。
現在、ポーランド語は西スラヴ語群で最も多くの話者を持ち、ロシア語に次いでスラヴ語では2番目に多く話されている。ポーランドは欧州で最も多くの公用語の母語話者を有する国の1つであり、国民のほぼ97%が標準語体のポーランド語を母語として話している。このため、現代のポーランド人は非常に均質で高度な公用語の会話・読解・筆記能力を持っている。
言語学の視点でみると、ポーランド語は西スラヴ語群のレヒティック亜群に属する言語であり、このレヒティック亜群はポーランド語、カシュブ語、シレジア語、そしてその古典的な変種であるスロヴィンチア語、および絶滅したポラビア語を含めている。これらの言語のうち、ポーランド語以外は、時にポメラニア亜群という分類に入ることもある。また、西スラヴ語群はスラヴ語派の一支流であり、インド・ヨーロッパ語族に属している。中世初期、ポーランド人がドイツ化・ゲルマン化される前、ポーランド語の祖先の1つであるポメラニア語やその方言は、既にバルト海沿岸、ヴィスワ川からオーデル川流域にかけて話されていた。
出典
編集- ^ Adam Zamoyski, The Polish Way: A Thousand Year History of the Poles and Their Culture. Published 1993, Hippocrene Books, Poland, ISBN 0-7818-0200-8
- ^ GUS. “Infographic - Religiousness of Polish inhabitiants” (英語). stat.gov.pl. 2023年8月22日閲覧。
- ^ a b Ministry of Foreign Affairs of Poland, 2002–2007, An Overview of Polish Culture. Retrieved 13 December 2007.