ポマト
ポマト(pomato)は、細胞融合によって作られたジャガイモ(potato)とトマト(tomato)の雑種。ジャガイモの茎にトマトを接いだ「ジャガトマ」とは異なる。1978年に西ドイツ(当時)のマックス・プランク研究所(分子細胞生物学・遺伝学研究所)のゲオルク・メルヒャーズが初めて作出した[1]。
概要
編集植物細胞の細胞壁を酵素で溶解したプロトプラストをポリエチレングリコール(PEG)で処理すると、プロトプラストどうしが融合する[2]。この技術により、近縁ではあっても自然交雑できない異種間の雑種を作ることができる(ジャガイモ:Solanum tuberosumとトマト:Solanum lycopersicumは同属異種)[3]。
ポマトは本来ジャガイモとトマトの一挙両得を狙ったものではなく[4]、暖地性のトマトにジャガイモの耐寒性を持たせる目的で開発された[5]。しかし、完成した植物はトマトとしてもジャガイモとしても不完全で役に立たない失敗作であり、一時期未来の植物と注目されたポマトは消えていった[3]。
脚注
編集参考文献
編集- 米山勝美、若林攻「作物保護とバイオテクノロジー (その1)」『Journal of Pesticide Science』第9巻第1号、日本農薬学会、1984年、181-191頁、doi:10.1584/jpestics.9.181、ISSN 0385-1559、NAID 110001711858。
- 吉川孝文「植物バイオテクノロジー」『薬学図書館』第36巻第1号、日本薬学図書館協議会、1991年、1-9頁、doi:10.11291/jpla1956.36.1、ISSN 0386-2062、NAID 130004176861。
- 太田次郎 (1994). 遺伝子のひらめき. PHP研究所. p. 80. ISBN 9784569544366
- 多田雄一 (2014). 植物細胞遺伝子工学. 三恵社. p. 8. ISBN 9784864871792