ボールガウン
ボールガウン (Ball gown) とは、西洋文化におけるオペラボールなどの舞踏会や公式の晩餐会などで着用される女性用の礼服である。女性の正式な正装であるイブニングドレスの一種であり、その中でも最も贅沢なドレス[1]として夜会服(夜の正装)に用いられることが多い[2]。「ボール」はラテン語が由来の「Ball」で「踊る」という意味であり、それを日本語では一般的に「社交ダンス」と呼ぶ[3]。
ボールガウンの多くは肩や腕を露出させたノースリーブもしくはストラップレスドレスであり、くびれた胴体に[1]ふっくらとした長いスカート[4]を合わせている[5]。このようなガウンは、通常、コートの代わりに肘上まである長い手袋(オペラグローブ)とヴィンテージジュエリーまたは(高価な生地のフォーマルなショール)、ケープまたはマントを併せて着用する。胸には勲章を付け、既婚女性はティアラを持つ。現在では合成繊維が使用されることもあるが、最も一般的な布地はサテン、シルク、タフタ、ベルベットにレース、パール、スパンコール、刺繍、フリル、リボン、ロゼット、ルーチングなどがある[5]。
また、ボールガウンは西洋式の結婚式で花嫁が着用する純白のウェディングドレスのドレスラインの一つとしても人気がある[6]。西洋の礼服の多くはキリスト教における儀礼用の衣装に由来しており[7][8][9]、肌の露出を抑えることが求められた[10]。その流れを受けウェディングドレスにおいても袖のないストラップレスドレス・バックレスドレス・ノースリーブ・ホルターネックなどのドレスは肘上まである長い手袋が着用される[11]のが一般的である。
オーストリアのウィーン国立歌劇場で行われるヨーロッパで最も格式高いダンスパーティーの一つである、上流階級や貴族の若き女性[12][13](デビュタント)[14]が集う舞踏会[15]・ヴィーナー・オーパンバルでは、服装は純白(オフホワイトやアイボリーなどは不可[16])のボールガウン[17]と併せ白のオペラグローブの着用が義務付け[18]られており[19][20][21]、欧米諸国に多数存在するその他のデビュタントボール(デビュタントの初舞台となる舞踏会)においてもそのドレスコードが準用されている[22]。
脚注
編集- ^ a b What do you wear to a debutante ball?
- ^ ボールガウン:ファッション用語辞典 apparel-fashion wiki
- ^ ボール・ルーム:宿泊業の用語集:おもてなしHR
- ^ 「モダリーナ」のイラスト図鑑:ボール・ガウン・ドレス
- ^ a b Hegland, Jane; Steele, Valerie (2010). The Berg Companion to Fashion. Bloomsbury Academic. pp. 45–47
- ^ ふわふわで夢のような花嫁になれるボールガウンドレスとは?
- ^ ファッションの歴史を読み解く!~西洋服飾文化史~
- ^ ウェディングドレスの役割について歴史とともに解説
- ^ 結婚式の衣装の歴史
- ^ コトバンク:結婚式・ウェディング用語集の解説
- ^ 日本大百科全書(ニッポニカ):手袋
- ^ The Curious History Of Debutante Balls That Most People Never Knew About
- ^ Encyclopedia : Debutante Dress
- ^ 世界屈指の令嬢たちが社交界デビュー! 毎年恒例の「ル・バル・デ・デビュタント」が開催
- ^ ファッション業界が再注目。令嬢たちの社交界デビュー。
- ^ Debutante Season: Rules and Rituals
- ^ 舞踏会により決まっているドレスコード
- ^ ウィーン・フィル舞踏会:デビュタント
- ^ Curtseys over cursing: 'Debutante' examines old-fashioned ceremony and its attendant good manners
- ^ “Make Your Debut At The Vienna Opera Ball-Dresscode” (英語). wiener-staatsoper.at. 9 November 2019閲覧。
- ^ VIENNA BALL SEASON: EVERYTHING YOU EVER WANTED TO KNOW
- ^ Welcome to the Carolinian Debutante Club! Debutante Ball