ペンタクロロニトロベンゼン

ペンタクロロニトロベンゼン: pentachloronitrobenzene、略称PCNB)は化学式C6Cl5NO2で表される有機化合物キントゼン(quintozene)などの別名でも呼ばれる。純粋なものは無色、純度の低いものは淡黄色の結晶で、特異な臭気がある。

ペンタクロロニトロベンゼン
pentachloronitrobenzene
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識別情報
CAS登録番号 82-68-8 チェック
特性
化学式 C6Cl5NO2
モル質量 295.36 g/mol
外観 オフホワイトないし黄色の結晶
融点

44℃

沸点

328℃で分解

への溶解度 0.44 mg/L
アルコールへの溶解度 微溶
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

用途

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1868年に研究室での合成に成功し、1930年代水銀系農薬の代替品としてドイツのバイエル社により開発された。日本では1956年4月7日に農薬登録を受け、殺菌剤として野菜の根こぶ病立枯れ病根腐れ病の防除に使用されたが2000年3月26日に登録失効した[1]

化学反応

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ヨウ素触媒として、60-70℃でニトロベンゼン塩素化して製造する。

5 Cl2 C2H5NO2 → C6Cl5NO2 5 HCl

安全性

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半数致死量(LD50)はラットへの経口投与で1,650mg/kg、ウサギへの経皮投与で5,000mg/kg以上[2]。ミシッドシュリンプに対する48時間半数致死濃度(LC50)は0.01μg/Lと水生生物に対しては非常に強い毒性がある[2][3]不純物として、発癌性のあるヘキサクロロベンゼン(HCB)を含む[4]。600~800℃の加熱分解によってもHCBを生じる[1]。千葉県と群馬県の農業試験場の調査では、PCNBを散布した土壌中にはHCBのほかペンタクロロアニリンペンタクロロベンゼンペンタクロロチオアニソールなどの代謝生成物が確認された。PCNBの半減期が2~3か月程度であるのに対し、代謝生成物の中には半減期が3年以上に及ぶものもある[1]

脚注

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  1. ^ a b c 植村振作・河村宏・辻万千子・冨田重行・前田静夫著『農薬毒性の事典 改訂版』三省堂、2002年。ISBN 978-4385356044 
  2. ^ a b 安全衛生情報センター
  3. ^ 国際化学物質安全性カード
  4. ^ 国立情報学研究所 (PDF)