ハウステンボス (列車)
ハウステンボス (HUIS TEN BOSCH) は、九州旅客鉄道(JR九州)が博多駅 - ハウステンボス駅間を鹿児島本線・長崎本線・佐世保線・大村線経由で運行する特急列車である。
ハウステンボス | |
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ハウステンボス(前4両) | |
概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 特別急行列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 福岡県・佐賀県・長崎県 |
運行開始 | 1992年3月25日 |
運営者 | 九州旅客鉄道(JR九州) |
路線 | |
起点 | 博多駅 |
終点 | ハウステンボス駅 |
列車番号 | 号数 6000H |
使用路線 | 鹿児島本線・長崎本線・佐世保線・大村線 |
車内サービス | |
クラス | グリーン車・普通車 |
座席 |
グリーン車指定席:1号車 普通車指定席:2・3号車 普通車自由席:3・4号車 |
技術 | |
車両 |
783系電車 (南福岡車両区) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
電化 | 交流20,000 V・60 Hz |
備考 | |
博多 - 早岐間で特急「みどり」と併結 |
本項では、かつて「みどり」に連絡する形で運行された普通「ハウステンボスリレー号」、かつて門司港駅 - 佐世保駅間を鹿児島本線・長崎本線・佐世保線経由で運行していた臨時特急「オランダ村特急」(オランダむらとっきゅう)についても記述する。
概要
編集長崎県佐世保市針尾島に所在するテーマパークであるハウステンボスの開業に合わせ、アクセス列車として1992年3月25日に運転を開始した。運転開始に先立つ同年3月10日にハウステンボスの最寄り駅としてハウステンボス駅が開設され、同時に「ハウステンボス」を運行する目的で早岐駅 - ハウステンボス駅間の1区間のみ電化された。大村線に乗り入れる優等列車としては初の特急列車である。
運行概況
編集2024年3月時点の定期列車は5往復(下り11・15・19・27・31号、上り24・28・32・40・44号)。土曜・休日や春・夏・冬休み期間などは臨時列車2往復が増発される。
運転開始以来、全ての定期列車が博多駅 - 早岐駅間において特急「みどり」と併結して運行されている。号数は「みどり」に合わせられているため「ハウステンボス」の号数には欠番が生じている。2011年3月11日までは、一部列車は博多駅 - 肥前山口駅(現:江北駅)間で「かもめ」とも併結し、3列車による運転を行っていた(いわゆる多層建て列車)。
臨時列車
編集ハウステンボスでカウントダウンイベントや花火大会など、大規模なイベントが行われた際に臨時列車が運行される場合がある。なお、毎年1月1日の早朝に運転される列車は「ハウステンボスカウントダウン号」の別愛称で運転されていたが、2019年運転分からは「ハウステンボス」として運転されている。
また先述した増発列車のうち併結する「みどり」の列車名が「みどり(リレーかもめ)」であるものについては、本列車についても列車名を「ハウステンボス(リレーかもめ)」として運行する(2022年9月改正時点では土休日の増発便のみの設定)[1]。
ハウステンボスリレー号
編集2017年11月30日まで、5往復運行の日には運行されない2往復(下り7・11号、上り16・18号)の早岐駅 - ハウステンボス駅間のダイヤを用いて、同区間にシャトル列車「ハウステンボスリレー号」が運行されており、早岐駅で「みどり」2往復(下り7・11号、上り16・18号)と接続していた。車両は「みどり」(下り7号、上り16号)に接続する列車はキハ66・67系気動車、「みどり」(下り11号、上り18号)に接続する列車は783系電車が充当されていた[要出典]。
列車番号は、定期列車は号数 6000H、1・10・91・96号以外の臨時列車は号数 7000H、1・10号は号数 9500H、91・96号は9033M・9034Mである。「HUIS TEN BOSCH」の頭文字「H」から取った関係上、末尾が通常電車列車に用いられる"M"でないのが特徴である。
停車駅
編集博多駅 - 二日市駅 - 鳥栖駅 - 新鳥栖駅 -(吉野ケ里公園駅)- 佐賀駅 - 江北駅 - 武雄温泉駅 - 有田駅 - 早岐駅 - ハウステンボス駅
- 吉野ケ里公園駅は15・38号のみ停車。
- このほか、以下の駅に臨時停車する。
使用車両・編成
編集ハウステンボス | ||||||||||||||||
← ハウステンボス 博多 →
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南福岡車両区に所属する783系電車4両編成(専用色)が充当されている。全車両が中央の乗降口を境にハウステンボス方のA室と博多方のB室に分かれており、駅や車内でもそのように案内されている。なお2017年より当列車用編成のリニューアルが実施された[2]。
1992年3月の運転開始時点では485系電車の3両編成で運行していたが、1994年3月より4両編成が所定となり(7 - 10号車、ただし1995年4月19日までは従来の3両編成で運行することもあった)、同時に外装がそれまでの赤一色から、赤・青・黄・緑の四色を用いたブロックパターンに改められた。485系では1993年から1994年にかけての一部列車を除いて、グリーン車は連結されなかった。
2000年3月11日に全列車783系での運行となり、同時に全列車にグリーン車が連結された。また博多方先頭車(当時の10号車)のクハ783系100番台には貫通路が設けられ、それまでは不可能だった「みどり」との併結時の両編成の行き来が可能になった。2011年3月12日からは「かもめ」との併結終了により号車番号がそれまでの7 - 10号車から1 - 4号車に変更されている。
かつて、上り列車の佐賀駅→博多駅間では、1号車B室を除く普通車指定席の空席に自由席特急券で乗車可能となる特例が設けられていたが、2018年3月改正で廃止された[3]。
この他に、臨時列車として所定の車両以外を使用する場合がある。2000年10月から11月にかけて、当時の81・82号が787系4両編成で運行された。また、1995年と1996年に、「ハウステンボスジェイアール全日空ホテル」の開業、および開業1周年を記念して、81・82号に「ソニック」(当時は「ソニックにちりん」)用の883系電車が充当されたこともある。なお、883系が「ソニックにちりん」→「ソニック」以外の列車に用いられたのは、ダイヤ改正の前に短期間「にちりん」に充当されたのを除けば、2008年3月14日のダイヤ改正まで他に例がなかった。
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485系塗装変更車による「ハウステンボス」
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783系初代専用塗装車
オランダ村特急
編集特急「オランダ村特急」(オランダむらとっきゅう、HOLLAND VILLAGE EXPRESS)は、長崎県西彼杵郡西彼町(現・西海市)に所在する長崎オランダ村(2001年閉園)への観光誘致のため、1988年3月20日に小倉駅 - 佐世保駅間で運行を開始した。週末や長期休暇期間中に運行される臨時列車として運行されていた。
1989年3月11日には門司港駅発着に延長されたが、同年4月29日の運転分から下り列車に関しては、485系で運転されていた西鹿児島駅(現・鹿児島中央駅)行きの特急「有明」と博多駅まで併結運転となった[4]。これは鉄道総研でキハ30 15とクモニ83形を使用した試験を経て実用化したもので[5]、電車と気動車の併結自体はすでに「雷鳥」と「ゆぅトピア和倉」でなされていたが、「ゆぅトピア和倉」は「雷鳥」との併結時は無動力であったため、電車と気動車の動力協調運転は世界初の事例であった。1990年3月からは併結区間が鳥栖駅までに変更されている。
好評を博したことから1988年の夏季には、本来「オランダ村特急」の車両が運用されない時間を利用して、博多駅 - 佐世保駅間に「臨時オランダ村特急」として1往復追加運行されたこともある(下り「オランダ村特急」→上り「臨時オランダ村特急」→下り「臨時オランダ村特急」→上り「オランダ村特急」の順番で運行)。
1992年3月にハウステンボスが開園されたのに伴い、特急「ハウステンボス」と入れ替わる形で運転を終了した。
停車駅
編集門司港駅 - 門司駅 - 小倉駅 - 戸畑駅 - 黒崎駅 - 折尾駅 - 香椎駅 - 博多駅 - 鳥栖駅 - 佐賀駅 - 武雄温泉駅 - 早岐駅 - 佐世保駅
- 「みどり」が当時から全列車停車していた肥前山口駅と有田駅は通過していた。
- 臨時駅のバルーンさが駅には停車したことがない。
使用車両・編成
編集「有明」「オランダ村特急」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
← 西鹿児島・早岐 佐世保/門司港 →
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キハ183系気動車1000番台が使用されていた。当初は3両編成で運行されていたが、「有明」との併結運転開始に合わせて4両編成に増結された。先頭車の車端部は1階はガラス張りの展望車とし、運転席は2階に設けられた。外装は赤・青・白を用いたトリコロール調であった。
「有明」との併結運転時には、当初は右の編成表のとおり「オランダ村特急」の佐世保・門司港方に「有明」を連結していた。これはこの時点では協調制御が「オランダ村特急」側からのみ出来る暫定システムで「オランダ村特急」を前にする必要があったためであるが、後に485系側からも協調制御が出来るシステムになり、「オランダ村特急」の早岐方に「有明」を連結するようになった。
なお、「オランダ村特急」の運転区間は全線電化区間にもかかわらず気動車が用いられたが、これはキハ183系1000番台が「オランダ村特急」運転日以外も長崎オランダ村のPR車両として九州各地を運行する目的があったためである。
「オランダ村特急」の運行終了後、1000番台は改造の上で「ゆふいんの森」(通称:ゆふいんの森II世)に転用されたが、キハ72系気動車の新製に伴い「ゆふいんの森」からは撤退。外装をかつてのトリコロール調に戻すなどの再改造の上で1999年3月に佐世保駅 - 長崎駅間の特急「シーボルト」として長崎地区に復帰したが、「シーボルト」は利用不振で2003年3月に廃止された後に再々改造され、2004年3月から2011年1月まで「ゆふDX」として再度久大本線で運用(運用途中に外観の塗色変更あり)、さらに2011年6月4日からは4度目の改造を受けて「あそぼーい!」として豊肥本線で運用されている。
なお2016年10月から12月まで、長崎デスティネーションキャンペーンに伴い、博多駅 - ハウステンボス駅間に臨時特急「あそぼーい!81・82号」が運行されており、キハ183系1000番台としては13年ぶりに一般旅客列車として長崎本線・佐世保線に乗り入れている。
沿革
編集民営化後の運行展開
編集- 1988年(昭和63年)3月20日:小倉駅 - 佐世保駅間を鹿児島本線・長崎本線・佐世保線経由で運行する臨時特急「オランダ村特急」運転開始。
- 1989年(平成元年)
- 1990年(平成2年)3月:下り列車の「有明」との分割駅を鳥栖駅に変更。
「みどり」「ハウステンボス」 | ||||||||||||||||||||||||||||||
← 早岐・ハウステンボス 佐世保/博多 →
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- 1992年(平成4年)3月25日:ハウステンボス開園とともに「オランダ村特急」に代わり、博多駅 - ハウステンボス駅間を485系電車で運転する特急「ハウステンボス」運転開始。
- 運転開始当初は時期によって3往復から11往復まで運転本数に差が見られた。また毎日運行の列車も含めて、全列車臨時列車として運行されていた。
- 号数が80番台の列車を除き、博多駅 - 早岐駅間は「みどり」に併結して運転(一部の列車は博多駅 - 肥前山口駅間で「かもめ」とも併結)。
- 車両は485系電車3両編成を用いたが、時期によって4両で運行する場合もあった。
- なお、現在の全列車停車駅のうち、最初期に限り81号のみ有田駅を通過していた。
- 1993年(平成5年)
- 1994年(平成6年)3月1日:編成を7 - 10号車の4両とする(ただし時期によっては3両で運転する場合もあった)。同時に外装を赤一色から、赤・青・黄・緑をブロックパターンに配色した塗装に変更(塗装変更目的は誤乗防止対策から。塗装のコンセプトは「おもちゃの列車」だった)。グリーン車の設定はなくなる。
- 1995年(平成7年)4月20日:このときのダイヤ改正により、全列車通年4両編成となる。
- 1996年(平成8年)
2000年代の動き
編集- 2000年(平成12年)
- 2001年(平成13年)1月1日:この年から、ハウステンボスのカウントダウンイベント向けに元日の早朝に運転される列車を「ハウステンボスカウントダウン号」の列車名で運行する。
- 2003年(平成13年)3月15日:このときのダイヤ改正により臨時列車の81号を11号に変更し「みどり」に併結とする。また、このころから臨時列車のうち1往復がほぼ通年運行となり、平日は実質5往復の運行となる。
- 2005年(平成15年)3月1日:車内販売の営業を廃止(併結の「みどり」でも同様の処置が取られた)。
- 2007年(平成19年)3月18日:全車禁煙となる。また783系に車種変更後、「みどり」と「ハウステンボス」の座席種別は基本的に共通であったが、この改正から下り方先頭車から数えて3両目(当時の号車では「ハウステンボス」は9号車、「みどり」は13号車)は「ハウステンボス」は指定席と自由席が半室ずつ、「みどり」は全室自由席と差異が付けられた。
- 2008年(平成20年)7月ごろ:エル特急の呼称を中止。
2010年代の動き
編集- 2011年(平成23年)
- 2015年(平成27年)3月14日:ダイヤ改正により、「みどり」に併結する列車は早岐駅 - ハウステンボス駅間がワンマン運転となる。
- 2017年(平成29年)3月18日:ハウステンボス開園25周年事業により、783系(ハウステンボス編成)リニューアル車営業運転開始。
2020年代の動き
編集- 2020年(令和2年)
- 3月20日 - 6月18日:新型コロナウイルス感染症による利用客減少に伴い、この期間の「ハウステンボス」は全列車運休[7][8][9]。
- 6月19日:毎日運転の5往復(定期4往復・臨時1往復)が運転再開。
- 7月23日:臨時運転の3往復(臨時3往復)が運転再開するが、前述により通常の土日に運転しない代わりに、ゴールデンウィーク・お盆・年末年始期間は運転。
- 2021年(令和3年)
- 3月13日:ダイヤ改正に伴い、毎日運転だが臨時列車扱いだった1往復(下り9号/上り20号)を定期列車に変更し、定期列車は5往復となる。
- 2022年(令和4年)
- それまで「かもめ」と「みどり・ハウステンボス」でそれぞれについて下りは1号、上りは2号から付番していたのを、博多駅における発着順で「リレーかもめ」と「みどり・ハウステンボス」で通しでの付番に変更。これにより、下り「みどり・ハウステンボス」の始発列車は7号となる(「ハウステンボス」は7号の設定はなく、11号が始発)。
- 定期列車を11・15・19・27・31・22・26・30・38・42号(従来の3・5・7・11・13・12・14・16・20・22号に相当)に変更。臨時列車は35・39・46・50号(従来の15・17・24・26号に相当)に変更、1往復減の2往復とする。
- 臨時列車の一部(46・50号)が武雄温泉駅で新幹線「かもめ」と対面接続を行う。これに伴い、該当する「ハウステンボス」の列車名を「ハウステンボス(リレーかもめ)」とする。
脚注
編集- ^ a b 『2022年9月23日ダイヤ改正 西九州新幹線が開業します 在来線各線区でダイヤを見直します』(PDF)(プレスリリース)九州旅客鉄道、2022年6月10日。オリジナルの2022年6月10日時点におけるアーカイブ 。2022年6月10日閲覧。
- ^ railf.jp(鉄道ニュース) (2017年3月19日). “"ハウステンボス"”用のリニューアル車が営業運転を開始”. 鉄道ファン (交友社) 2019年3月18日閲覧。
- ^ JR九州、指定席開放を廃止 佐賀→博多間 佐賀新聞、2018年4月22日
- ^ a b 「JR年表」『JR気動車客車情報 89年版』ジェー・アール・アール、1989年8月1日、145頁。ISBN 4-88283-110-4。
- ^ “鉄道総研の技術遺産 File No.18 試験車両キハ30形気動車”. RRR (Railway Research Review) Vol.70 (No.9): P.34-35 .
- ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '00年版』ジェー・アール・アール、2000年7月1日、191頁。ISBN 4-88283-121-X。
- ^ “新型コロナウイルス感染拡大に伴う今後の運転計画について”. 九州旅客鉄道. 2020年3月16日閲覧。
- ^ “新型コロナウイルス感染拡大に伴う追加の運転計画について(3月24日追加)”. 九州旅客鉄道. 2020年3月20日閲覧。
- ^ 新型コロナウイルス感染拡大に伴う追加の運転計画について(4月8日追加) - 九州旅客鉄道(2020年4月8日)
関連項目
編集外部リンク
編集- JR九州の列車ガイド ハウステンボス - 九州旅客鉄道