ナナ・ヴァスコンセロス

ナナ・ヴァスコンセロス[1]Naná Vasconcelos1944年8月2日 - 2016年3月9日)は、ブラジルのパーカッショニスト、ボーカリスト、ビリンバウ奏者である。24枚以上のアルバムを発表しているソロ・アーティストとして、またパット・メセニードン・チェリービョークヤン・ガルバレクエグベルト・ジスモンチガトー・バルビエリミルトン・ナシメントらのバッキング・ミュージシャンとして仕事している。

ナナ・ヴァスコンセロス
Naná Vasconcelos
ナナ・ヴァスコンセロス(2005年)
基本情報
出生名 Juvenal de Holanda Vasconcelos
生誕 (1944-08-02) 1944年8月2日
出身地 ブラジルの旗 ブラジル ペルナンブーコ州レシフェ
死没 (2016-03-09) 2016年3月9日(71歳没)
ブラジルの旗 ブラジル ペルナンブーコ州レシフェ
ジャンル ブラジル音楽ジャズワールドミュージック
職業 ミュージシャン、歌手、ソングライター
担当楽器 パーカッション、ビリンバウ、ボーカル
活動期間 1973年 - 2016年
共同作業者 パット・メセニー

略歴

編集

ヴァスコンセロスはブラジルのペルナンブーコ州レシフェで生まれた。1967年からパーカッショニストとして多くのアーティストの作品に参加している。数多くのコラボレーションの中で、1976年から1980年までのジョン・ハッセルのアルバム4枚(ブライアン・イーノとハッセルによる『第四世界の鼓動』を含む)に貢献し、その後、1980年代初頭から1990年代初頭にかけていくつかのパット・メセニー・グループの作品とヤン・ガルバレクのコンサートに貢献した。1984年には、ポール・モチアンとともにピエール・ファーヴルのアルバム『Singing Drums』に参加した。また、ラルフ・タウナーと一緒にアリルド・アンデルセンのアルバム『イフ・ユー・ルック・ファー・イナフ』にも参加している。

彼はドン・チェリーコリン・ウォルコットコドナという名前のグループを結成し、1978年、1980年、1982年に3枚のアルバムをリリースした[2][3][4]

1984年から1989年まで、イギリスで最初のサンバ・スクールであるロンドン・スクール・オブ・サンバの名誉会長を務めた[5]

1981年、クリエイティブ・ミュージック・スタジオ10周年を記念して開催されたウッドストック・ジャズ・フェスティバルに出演。1998年、ヴァスコンセロスは、エイズ・ベネフィット・コンピレーション・アルバム『Onda Sonora: Red Hot Lisbon』(レッド・ホット・オーガニゼーション制作)に「Luz de Candeeiro」を提供した。

ヴァスコンセロスは、1984年から1990年までの7年間、『ダウン・ビート』誌の評論家投票で「ベスト・パーカッショニスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞した[6]。また、8つのグラミー賞も受賞している[7]

ヴァスコンセロスは、2015年半ばに肺癌と診断された[8]

2016年3月9日、ブラジル・ペルナンブーコ州レシフェにて、肺癌で亡くなった[9]。71歳没。

楽器

編集

ヴァスコンセロスは、コンガビリンバウ、瓢箪ドラム、トライアングルドラムシンバルヘピニキタンバリンゴングカシシトーキングドラムクイーカシェイカー、パルマ、パンデイロ、ザブンバ、ウドゥカバサ、プラト、タンボール、ハイハットベル、ウォータードラム、ヴィブラフォンギロガンザカウベルタブラ、シェケレ、トルコドラム、スルド、シェル、アフリカンベル、アゴゴ、クレイ・ポット、ティンパニスネアドラムフレクサトーン、チベットゴング、その他のパーカッションを演奏してきた[10]

ディスコグラフィ

編集

リーダー・アルバム

編集
  • 『アフリカデウス』 - Africadeus (1973年)
  • Amazonas (1973年)
  • 『ナナ=ネルソン・アンジェロ=ノヴェリ』 - Nana, Nelson Angelo, Novelli (1975年) ※with ネルソン・アンジェロ、ノヴェリ
  • Kundalini (1978年) ※with ペリー・ロビンソンバダル・ロイ
  • 『サウダージ』 - Saudades (1979年、ECM)
  • Zumbi (1983年)
  • Nanatronics (1985年)
  • 『ブッシュ・ダンス』 - Bush Dance (1986年) ※with アート・リンゼイ
  • Asian Journal (1988年) ※with スティーヴ・ゴーン、マイク・リッチモンド、バダル・ロイ
  • 『レイン・ダンス』 - Rain Dance (1989年) ※with ドン・チェリーシロ・バプティスタ、ピーター・シェラー
  • Lester (1990年)
  • 『イフ・ユー・ルック・ファー・イナフ』 - If You Look Far Enough (1993年) ※with アリルド・アンデルセンラルフ・タウナー
  • Contando Estórias (1994年)
  • Storytelling (1995年)
  • Contando Estórias (1995年)
  • 『インクラシフィカーブレ』 - Inclassificable (1995年) ※with アンディ・シェパード、スティーヴ・ロダー
  • Fragments: Modern Tradition (1997年)
  • Contaminação (1999年)
  • Saravah compilation (1999年)
  • Fragmentos (2001年) ※with ドミニオ・プブリコ
  • Minha Lôa (2002年)
  • Isso Vai Dar Repercussão (2004年) ※with イタマール・アスンサォン
  • Vasconcelos, Salis, Consolmagno (2005年)
  • Chegada (2005年)
  • Trilhas (2006年)
  • 『シンフォニア&バトゥーキ』 - Sinfonia & Batuques (2011年)
  • 『フォー・エレメントス』 - 4 Elementos (2013年)

参加アルバム

編集

ガトー・バルビエリ

ウォルター・デイヴィス・ジュニア

  • Illumination (1977年)

サフィ・ ブーテラ

  • Mejnoun (1992年)

ロン・カーター

  • 『パトロン』 - Patrão (1980年、Milestone)

コドナ

  • 『スカイ』 - Codona (1979年、ECM) ※日本盤はコリン・ウォルコット、ドン・チェリーと連名
  • 『コドナ』 - Codona 2 (1981年、ECM) ※日本盤はコリン・ウォルコット、ドン・チェリーと連名
  • Codona 3 (1983年、ECM)

ドン・チェリー

  • 『オーガニック・ミュージック・ソサエティ』 - Organic Music Society (1972年、Caprice)
  • Multikulti (1990年、A&M)

ピエール・ファーヴル

  • Singing Drums (1984年、ECM)

ヤン・ガルバレク

  • 『エヴェンティール』 - Eventyr (1980年、ECM)
  • 『レジェンド・オブ・ザ・セブン・ドリ-ムズ』 - Legend of the Seven Dreams (1988年、ECM)
  • 『黙示録』 - I Took Up the Runes (1990年、ECM)

エグベルト・ジスモンチ

  • 『輝く水』 - Dança das Cabeças (1977年、ECM)
  • 『輝く陽』 - Sol do Meio Dia (1978年、ECM)
  • 『ふたつの声』 - Duas Vozes (1984年、ECM)

ダニー・ゴットリーブ

  • 『ホワールウィンド (旋風)』 - Whirlwind (1989年、Atlantic)

パット・メセニー

ジム・ペッパー

  • Comin' and Goin' (1983年、Europa)

ウディ・ショウ

  • For Sure! (1979年、Columbia)

ゲイリー・トーマス

  • 『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』 - By Any Means Necessary (1989年、JMT)

トーキング・ヘッズ

ジョン・ハッセル

  • Vernal Equinox (1977年)
  • Earthquake Island (1979年)
  • 『第四世界の鼓動』 - Fourth World, Vol. 1: Possible Musics (1980年) ※with ブライアン・イーノ
  • Sulla Strada Soundtrack (1995年)

ジンジャー・ベイカー

  • 『ホーシス・アンド・トゥリーズ』 - Horses & Trees (1986年)

ポール・サイモン

B.B.キング

  • 『ライヴ・イン・ミシシッピー』 - Now Appearing at Ole Miss (1980年)

マウリシオ・マエストロ

  • 『アップサイド・ダウン』 - Upside Down (2011年)

アート・リンゼイ

  • 『曖昧な存在』 - O Corpo Sutil (The Subtle Body) (1996年)
  • 『ヌーン・チル』 - Noon Chill (1998年)

ミルトン・ナシメント

  • 『ミラグリ・ドス・ペイシェス』 - Milagre dos Peixes (1973年)
  • 『ジェライス』 - Geraes (1976年)
  • 『ジャーニー・トウ・ドーン』 - Journey to Dawn (1979年)
  • 『ミルトンス』 - Miltons (1989年)
  • 『アンジェルス』 - Angelus (1994年)
  • Travessia: O Melhor De Milton Nascimento (1999年)
  • Maria Maria/Último Trem (2005年)

ムタンチス

  • 神曲』 - A Divina Comédia ou Ando Meio Desligado (1970年)

ハーブ・アルパート

  • You Smile – The Song Begins (1974年)

チャカ・カーン

  • 『ノーティ』 - Naughty (1980年)

ジェレミー・スタイグ & エディ・ゴメス

  • Rain Forest (1980年、CMP)

コリン・ウォルコット

  • Works (1980年)

セルジオ・メンデス

  • 『セルジオ・メンデス&ブラジル'88』 - Brasil '88 (1986年)

ジャック・ディジョネット

  • 『イレジスタブル・フォーセズ』 - Irresistible Forces (1987年)

アンビシャス・ラバーズ

  • 『グリード』 - Greed (1988年)
  • 『ラスト』 - Lust (1991年)

ローリー・アンダーソン

  • 『ストレンジ・エンジェル』 - Strange Angels (1989年)

カエターノ・ヴェローゾ

デビ―・ハリー

  • 『デフ、ダム・アンド・ブロンド』 - Def, Dumb & Blonde (1989年)

カーリー・サイモン

坂本龍一

トリロク・グルトゥ

  • 『リヴィング・マジック』 - Living Magic (1991年)

ウィーン少年合唱団

  • Around the World: Where Jazz Meets World Music (1991年)

デイヴィッド・サンボーン

  • 『アップフロント』 - Upfront (1992年)

レオン・トーマス

  • Gold Sunrise on Magic Mountain (1971年、Mega/Flying Dutchman)

ジョン・ゾーン

  • 『フィルム・ワークス』 - Filmworks 1986-1990 (1992年)

ペンギン・カフェ・オーケストラ

  • 『ユニオン・カフェ』 - Union Café (1993年)

脚注

編集
  1. ^ ナナ・バスコンセロス」の表記もある。
  2. ^ Michael G. Nastos. “Codona | Biography & History”. AllMusic. 2016年7月26日閲覧。
  3. ^ Palmer, Robert (1982年6月28日). “Jazz Festival – A Study Of Folk-Jazz Fusion”. The New York Times. https://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9F01E6DF123BF93BA15755C0A964948260 2016年7月26日閲覧。 
  4. ^ Palmer, Robert (1987年9月3日). “Jazz – Don Cherry”. The New York Times. https://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9B0DE7D71538F930A3575AC0A961948260 2016年7月26日閲覧。 
  5. ^ Home - London School of Samba”. London School of Samba. 29 September 2017閲覧。
  6. ^ DownBeat Magazine”. Downbeat.com. 2016年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月26日閲覧。
  7. ^ Entertainment News, Celebrity and Pop Culture – ABC News”. Abcnews.go.com (2016年5月7日). 2016年7月26日閲覧。
  8. ^ Percussionist Naná Vasconcelos dies”. Jazz FM (2016年3月9日). 2016年7月26日閲覧。
  9. ^ Lenda da percussão brasileira, Naná Vasconcelos morre aos 71 anos – Últimas Notícias – UOL Música” (ポルトガル語). UOL Música. 2016年3月9日閲覧。
  10. ^ Naná Vasconcelos - Credits - AllMusic”. AllMusic. 29 September 2017閲覧。

外部リンク

編集