ジョー・バイデンの家族
第47代アメリカ合衆国副大統領、第46代アメリカ合衆国大統領であるジョー・バイデンの家族は、法律、教育、活動、政治などの分野で著名なアメリカ人一家である。バイデンの近親者は2021年1月20日の大統領就任式をもってファーストファミリーとなった。バイデン家はイングランド人、フランス人、アイルランド人の子孫である[1][2]。バイデンの高祖父の父は1822年にイギリスイングランドからアメリカ合衆国メリーランド州へ移住した。[3]
近親者
編集妻
編集ネイリア・ハンター・バイデン
編集ネイリア・ハンター・バイデン(Neilia Hunter Biden)は、ジョー・バイデンの最初の妻である。1942年7月18日生まれで、二人は1966年8月27日に結婚した[4]。結婚式の後、バイデンがニューキャッスル郡議会議員として働いていたデラウェア州ウィルミントンで生活した。夫妻は3人の子を儲けた。ジョセフ・ロビネット 「ボー」 バイデン3世、ロバート・ハンター・バイデン、ナオミ・クリスティーナ・「エイミー」・バイデンである[5]。共和党上院議員J・カレブ・ボッグスから議席を奪うためのバイデンのキャンペーンにおいてネイリアは「頭脳」であったと「ザ・ニュース・ジャーナル(The News Journal)」が報じている[4]。
1972年12月18日に夫が米国上院議員に選出された直後、ネイリアはクリスマスツリーを買いに行くためにボー、ハンター、ナオミの3人の子を乗せて車を運転していたときにトラックと交通事故を起こした[6]。ネイリアと母の三人の子供はウィルミントン総合病院へ運ばれたが、ネイリアとナオミは到着時には死去しており、息子のボーとハンターは重傷を負いながらも生き残った[6][7]。1973年1月3日、バイデンは息子たちの病室で上院の宣誓就任式を行った[4]。
ジル・バイデン
編集ジル・トレイシー・ジェイコブス・バイデン(旧姓ジェイコブス、最初の結婚後スティーブンソン)は、バイデンの2人目の妻で現在の妻である。1951年6月3日に生まれた。彼女とバイデンは1975年3月にブラインドデートを通じて知り合った[8]。
彼女とジョー・バイデンは1977年6月17日にニューヨークの国連教会においてカトリック司祭のもと結婚した[9]。これは先妻と幼い娘を失くしてから4年半後の事だった[10] 。彼女は自身のキャリアを続けるため公のスポットライトにあたることを警戒し、またジョーの2人の息子を育てることも最初は躊躇したため、それを受け入れてもらえるまでジョーは何度も彼女に提案をした[11][12]
子供たち
編集ボー・バイデン
編集ジョセフ・「ボー」・ロビネット・バイデン3世は1969年2月3日にデラウェア州ウィルミントンで生まれた。母と妹の命を奪った1972年の交通事故で複数の骨折をしたが、病院に数カ月入院した後に生還した。ペンシルベニア大学や[13]、ロースクールのシラキュース大学法科大学院を出た後、検察官となり、2006年にはデラウェア州司法長官に当選し[14]、2010年にも再選された[15]。しかし人生の最後の数年間は脳腫瘍に苦しみ[16][17]、2015年5月30日に46歳で死去した[18]。
ハンター・バイデン
編集ロバート・ハンター・バイデンは1970年2月4日にデラウェア州ウィルミントンに生まれた。1972年の交通事故で頭蓋骨を負傷し、兄ボーと一緒に数か月を入院して過ごした後に生還した。ジョージタウン大学、イェール・ロー・スクールやジョージタウン大学ローセンターを卒業[19]。父ジョーに多額の政治献金を寄付している銀行MBNAで働き、1998年までに副社長に昇進[19][20]。2020年の大統領選挙中、ハンターはウクライナの持ち株会社ブリスマとの関係からドナルド・トランプの標的にされ、縁故で取締役の地位を手に入れたと批判された[21]。2024年12月1日、ジョー・バイデン大統領は、銃の不法購入・所持罪で有罪評決を受け、脱税罪などを認めたハンターに対し恩赦を与えたと発表した[22]。
ナオミ・バイデン
編集ナオミ・クリスティーナ・バイデン(Naomi Christina Biden)は、エイミー(Amy)のニックネームを持ち、1971年11月8日にデラウェア州ウィルミントンに生まれた。彼女は1972年12月18日の交通事故で母ネイリアとともに死去した。
アシュリー・バイデン
編集アシュリー・ブレイザー・バイデン(Ashley Blazer Biden)は1981年6月8日にデラウェア州ウィルミントンに生まれた。バイデンの二番目の妻の子供である。デラウェア司法センターに勤務し、イルカ保護の活動にも携わっている[23]。
孫
編集- ボー・バイデン (Joseph R. Biden III) (1969–2015)の子供[24]
- ナタリー(Natalie)、ハンター(Hunter)[16]
- ハンター・バイデン (Robert Hunter Biden) (1970-)の子供
近親の系図
編集ネイリア 1942–1972 | ジョー・バイデン 1942- | ジル 1951- | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ボー 1969–2015 | ハンター 1970- | ナオミ 1971–1972 | アシュリー 1981- | ||||||||||||||||||||||||||||||||
親と兄弟
編集両親
編集ジョー・バイデンの父親は不動産業者だったジョセフ・ロビネット・バイデン・シニア(Joseph Robinette Biden Sr.)(1915年11月13日-2002年9月2日)[26]、母親はキャサリン・ユージニア “ジーン”・バイデン 旧姓フィネガン(Catherine Eugenia "Jean" Biden (née Finnegan))(1917年7月7日-2010年1月8日)[27]。二人は1941年に結婚した。2010年1月8日に母ジーンが死去した後にはオバマ大統領がデラウェア州ウィルミントンを訪問し、1月12日の葬儀に参列している[28]。
兄弟
編集ジョー・バイデンはカトリック家庭の4人兄弟の最年長であり、妹にヴァレリー・バイデン・オーウェンズ、二人の弟フランシス・ウィリアム・「フランク」・バイデン(Francis William "Frank" Biden)、ジェイムズ・ブライアン・「ジム」・バイデン(James Brian "Jim" Biden)がある[2]。
先祖
編集父方
編集ジョー・バイデンの父ジョセフ・ロビネット・バイデン・シニアの両親はジョセフ・ヘンリー・バイデン(Joseph Harry Biden,1893–1941)とメアリー・エリザベス・バイデン 旧姓ロビネット(Mary Elizabeth née Robinette, 1894-1943)である[29][30]。ジョセフ・ヘンリー・バイデンはメリーランド州ボルチモア出身の石油ビジネスマンであり、イングランド系、フランス系、アイルランド系の血を引いている[31][2]。
歴史家エディ・グリーンフィールド(Eddy Greenfield)によればバイデンの父方の高祖父の父ウィリアム・ヘンリー・バイデン(William Henry Biden , 1789–1849)は、イギリス・イングランド・サセックスで生まれ、アメリカ・メリーランド州に移住した[32][33]。ウィリアム・ヘンリー・バイデンの両親はイングランド・ウェストサセックスパガム出身のジェームズ・バイデン(James Biden 1767年11月生まれ)とアン・シルバーロック(Ann Silverlock 1766年3月生まれ)であり、さらにジェームズ・バイデンの父はリチャード・バイデン(Richard Biden)であることが確認できるが、それより前の系図は不明である[33]
ジョー・バイデンの先祖は、イングランド・ケンブリッジシャーホートン出身のウィリアム・ヘンリー・バイデン(William Henry Biden, 1791–1843)の一族とも血縁関係がある可能性がある[34]。このウィリアム・ヘンリー・バイデンは1781年に結婚したジョン・バイデン(John Biden、1796年7月28日死去)とその妻アン・ボーモント(Ann Beaumont)の間の子で[34]、彼と彼の兄クリストファー・バイデン(Christopher Biden,1789-1858)は、東インド会社の商船で働き、最終的には東インド会社の船長になっている。1843年にラングーンで死去する前に中型船を指揮していた[35]。一方クリストファー・バイデンは植民地行政府であるマドラス高等文官府やインド高等文官府に役人として務め、子孫もインドに定住した。1858年にマドラスで死去している[35]。当時ナーグプルに住んでいたクリストファーの玄孫レズリー・ダン・バイデン(Leslie Dunn Biden)は『ザ・イラストレイテッド・ウィークリー・オブ・インディア』誌においてアメリカの政治家ジョー・バイデンの一家と自身の一族の血縁関係の可能性について言及した。ジョー・バイデンからも返事を受け取り、両家の系図について連絡を取り合うことを約束しあったが、結局1983年にレズリーが死去するまで連絡が再開することはなかった[36]。2013年にジョー・バイデンが副大統領としてインドを訪問した際、レズリーの手紙に触れて、18世紀に東インド会社で働いていた「ムンバイ出身のバイデン」について言及した[35]。
母方
編集キャサリン・ユージニア “ジーン”・バイデンの両親はペンシルベニア州スクラントン出身の公告セールスマンのアンブローズ・ジョセフ・フィネガン(Ambrose Joseph Finnegan)とその妻ジェラルディン・キャサリン・バイデン・フィネガン(旧姓ブリューイット)(Geraldine Catherine née Blewitt)である[2]
ジーンは、アイルランド系であり、ルーツはラウス[37]とロンドンデリーである[38][2]。
ジェラルディンの父(ジョー・バイデンにとっては曾祖父)のエドワード・フランシス・ブリューイット[39]はペンシルベニア州議会の議員を務めた[40][41]。彼の父エドワード・ブリューイット(Edward Blewitt)はアイルランド・メイヨー県・バリナ出身であり、1851年にアイルランド大飢饉と貧困から逃れるためにアメリカ・ニューヨークに移住した[42]。
バイデン自身は副大統領時代の2016年にアイルランドを訪問し、アイルランドの系図学者がバイデンの母方の先祖の歴史を披露した[43]。先祖の地であるバリナも訪問し、同地に残る親族と交流を深めた。父親がバイデンの「みいとこ」にあたるアイルランド人ジョー・ブリューイットの一家もホワイトハウスに招待されるなどバイデンと親戚付き合いをしている。彼によればバイデンは再びアイルランドの故郷を訪問することを約束しているという[44]。
ジョー・バイデンの母方の2人の高祖父(パトリック・ブリューイットとジェームズ・フィネガン)はアイルランド出身であるため、バイデンは18.75%アイルランド人であるという[45]。系図学者メーガン・スモレニャクによれば、バイデンは「アイルランド人の血を8分の5程度」引き継いでいるとしている[42]。
母方からアイルランドの血を強く引くバイデンが2020年大統領選挙に当選するとアイルランドは大いに沸いた。アイルランド首相ミホル・マーティンは、バイデン当確が報じられた後、敗北を認めない現職大統領ドナルド・トランプを無視して真っ先にバイデンに祝辞を送った首脳の一人である[42]。マーティン首相によれば「ジョン・F・ケネディ以来のアイルランド系のアメリカ大統領」であるという[42]。
図表
編集ジョー・バイデンの先祖[46][47] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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脚注
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