ジョージ・マクガヴァン
ジョージ・スタンリー・マクガヴァン（英語: George Stanley McGovern, 1922年7月19日 - 2012年10月21日）は、アメリカ合衆国の政治家。連邦下院議員（SD-1、2期）、連邦上院議員（SD、3期）。上院では貧困問題に関わる2つの特別委員会の委員長を務めた。他に大統領特別顧問（1961年 - 1962年）、国際連合食糧農業機関のアメリカ代表（1998年 - 2001年）、飢餓問題に関する国際連合大使（2001年 - 2012年）を歴任。1972年の民主党大統領候補。
| ジョージ・マクガヴァン George McGovern | |
|---|---|
.jpg) ジョージ・マクヴァガン（1972年頃） | |
| 生年月日 | 1922年7月19日 |
| 出生地 |
.svg){kind=small} アメリカ合衆国 サウスダコタ州、エイヴォン |
| 没年月日 | 2012年10月21日（90歳没） |
| 死没地 |
 アメリカ合衆国 サウスダコタ州、スーフォールズ |
| 出身校 | ノースウェスタン大学 |
| 前職 | 歴史家、教授 |
| 所属政党 |
 民主党 |
| 配偶者 | エレノア・マクガヴァン（1943年 - 2007年） |
| サイン |
 |
| 選挙区 |
サウスダコタ州第3部 |
| 当選回数 | 3回 |
| 在任期間 | 1963年1月3日 - 1981年1月3日 |
| 選挙区 |
サウスダコタ州第1選挙区 |
| 当選回数 | 2回 |
| 在任期間 | 1957年1月3日 - 1961年1月3日 |
上院栄養問題特別委員会委員長 | |
| 在任期間 | 1968年7月30日 - 1977年12月31日 |
生涯
編集政治家までの経歴
編集サウスダコタ州エイヴォンに生まれ、近郊のミッチェルで6歳まで育つ。第二次世界大戦では陸軍航空隊に志願し爆撃機B-24リベレーターの操縦士として第15航空隊に所属する。北アフリカ、後にはイタリアの基地から35回の出撃を行い、出撃では多くの場合激しい対空砲火に晒された。空軍勲功十字章を受章。
サウスダコタで前妻のエレノアと出会い1943年10月31日に結婚する。
復員後、ノースウェスタン大学で歴史学博士の学位を取得し、母校のダコタウェスレヤン大学の教授となる。
両親は共和党支持者だったが、マクガヴァンは当初は支持政党登録を行わず、1948年の大統領選挙では独立候補支持として登録し、新たに結成された進歩党に入党した。選挙運動においては第一回党大会に代議員として参加し、党指名候補で元副大統領のヘンリー・ウォレスの運動員として働いたがウォレスは落選する。1952年にアドレー・スティーブンソン知事の民主党候補指名受託演説をラジオで聞くと、マクガヴァンはすぐさま役所に行き民主党に登録し、翌日からスティーブンソンの選挙運動員として活動する。スティーブンソンは落選したが、以来マクガヴァンは民主党内で積極的に活動する。1956年にマクガヴァンは下院選挙に出馬し当選する。
議員生活
編集下院議員を2期4年務めたマクガヴァンは1960年の上院選に出馬するが、現職の共和党カール・アール・ムンドに52-48%の得票率の差で敗れる。しかし議員の職を離れたことにより、ジョン・F・ケネディ大統領から食糧平和プログラムの担当官として任命される（アメリカでは議員は政府職員を兼ねることができない）。1962年には再び上院選に出馬し当選。以降上院議員を3期務めた。
トンキン湾事件に関する軍事行動については賛成票を投じたマクガヴァンだが、次第にアメリカの軍事支出やベトナムへの軍事関与について批判を明言するようになり、同じ民主党の大統領リンドン・ジョンソンを批判した。
1968年の民主党大統領候補指名選挙でマクガヴァンはロバート・ケネディを支持した。ケネディは山場のカリフォルニア州予備選挙で勝利を収めたが、勝利演説を行った直後に暗殺された。マクガヴァンはケネディの代役として、シカゴで開かれた民主党大会で立候補をしたが、ヒューバート・ハンフリーに民主党の指名を奪われユージーン・マッカーシーへの支持にも及ばなかった。
一方、大会中に民主党の大統領候補指名方式に関する改革委員会を設けることが決定された。1969年にマクガヴァンはマッカーシーとケネディの元支持者たちの支持により改革委員長となった。改革委員会は大統領候補の指名過程における党幹部や関係者による影響力を大幅に削り、党員集会と予備選挙の役割を増大させ、代議員に一定割合の黒人、女性、若者の枠を設けることを義務付けた。この規約改正は結果的に1972年のマクガヴァン自身の指名に有利に働いた。
1972年の大統領選挙
編集1972年の大統領選挙におけるマクガヴァンの選対本部長は後に上院議員となり有力大統領候補と目されるも女性スキャンダルで失脚したゲーリー・ハートである。マクガヴァンの公約はベトナムからの米軍の即時撤退とそれを引き換えとする捕虜の返還、および脱走兵に対する恩赦をうたっていた[1]。この「反戦公約」は、すでに1970年のマクガヴァンが提出者の一人であった、戦争開始の際に議会の同意を求める法改正に予兆が現れていた。
マクガヴァンのほかの公約では、3年間に37%の軍事支出の削減、全国民に対する1000ドルの給付（これは6500ドルの最低収入制度の創設に切り替えられた後に公約から外された）、憲法への「平等条項（Equal Rights Amendment）」の挿入というものがあった。
選挙運動中、民主党副大統領候補のトーマス・イーグルトンがうつ症状の電気ショック療法を受けていることが判明し、得票への影響を懸念したマクガヴァンはイーグルトンを降板させサージェント・シュライバーと交代させた。マクガヴァンは多くの有権者から極端な立場とみなされ、特に従来資金や影響力の面で民主党を支えていた民主党支持の上流階級の支持を取り付けることが困難であった。
本選挙では現職のニクソンに得票率で60-38%（獲得選挙人数で520-17）の敗北を喫したが、これは当時史上2番目の大差であった。マクガヴァンへの投票が上回ったのはマサチューセッツ州とワシントンD.C.だけであり、地元のサウスダコタにおいても及ばなかった。
トピック
編集選挙運動の期間中、ハワイ出身力士の髙見山大五郎(のち年寄東関)が幕内優勝を果たした。その際、マクガヴァンは祝電を発したが、対立候補で現職のニクソンの祝電の話題に隠れ、当時は殆ど話題にならなかった。このことは、2009年に東関が定年退職直前に明らかにした。
選挙運動にはサイモン&ガーファンクルも加わっており、6月14日には支援コンサートで歌唱した。2008年世界食糧賞受賞。
大統領選後
編集大統領選後、マクガヴァンはサウスダコタに戻り、1974年の上院選挙で再び当選した。1980年には「レーガン革命」と後に呼ばれる選挙で共和党の下院議員ジェームズ・アブドナーに再選を阻まれる。1984年には大統領選挙に再び出馬した。民主党のアイオワ州党員集会では接戦の中3位になるが結局失速し、ニューハンプシャー州の予備選挙の直後に撤退を表明した。
脚注
編集- ^ “SYND 28-10-72 GEORGE MCGOVERN SPEAKS ON VIETNAM”. AP Archive (2015年7月21日). 2020年12月17日閲覧。
- ^ George McGovern, former presidential candidate, dies USA TODAY 2012年10月22日閲覧
関連項目
編集- スラップスティック (小説) - マクガヴァンの大統領選挙に携わったカート・ヴォネガットの小説。
- 栄養と人間欲求における合衆国上院特別委員会 - マクガヴァンが委員長を務めたことから「マクガヴァン委員会」と呼ばれた。
- 「アメリカの食事目標（マクガバン・レポート）」
外部リンク
編集
- United States Congress. "マクガヴァン (id: M000452)". Biographical Directory of the United States Congress (英語).
- George McGovern Biography
- McGovern Center
- Dakota Wesleyan University
- McGovern: Cheney is wrong about me, wrong about war– Op-Ed, Los Angeles Times, April 24, 2007
- Friends of the World Food Program
- McGovern-Dole International Food for Education and Child Nutrition Program
- McGovern-Dole International Food for Education and Child Nutrition Program (U.S. Department of Agriculture)
- McGovern named 2008 World Food Prize Laureate
- McGovern named 2009 National Peacemaker Honoree
- McGovern Tribute Site (McGovern Center & family approved)
- McGovern Image Gallery
- Presidential Campaign Commercials 1972
- McGovern Campaign Commercials from 1972 and 1984
- McGovern Nomination Acceptance Speech, July 10, 1972
- McGovern retrospective interview on 1972 Democratic Convention, C-SPAN, 7/17/88
- McGovern on his book Terry: My Daughter's Life-and-Death Struggle with Alcoholism w/introductory speech by Thomas Eagleton, at The Library Ltd. in St. Louis, C-SPAN, 7/23/96
- George McGovern on Idaho Public Television's "Dialogue" (2005)
- Trailer for the film "One Bright Shining Moment" - ウェイバックマシン（2011年5月19日アーカイブ分）
- McGovern talks about his book, Social Security and the Golden Age
- 2006 McGovern lecture on fighting world hunger
- "Should the U.S. Get Out of Iraq?" October 18, 2006 The Brian Lehrer Show
- George McGovern advocating a position of a six-month withdrawal from Iraq on NPR, October 1, 2006
- "Legacy of George McGovern" (remarks by McGovern, Gary Hart, Carl Bernstein, Bob Woodward, David Broder, Congressman Jim McGovern & others), C-SPAN, 7/14/07
- South Dakota Public Television, "A Conversation with George McGovern" (September 14, 2007) regarding WW II experiences
- Appearance on The Colbert Report on 3/10/08
- Democracy Now w/Amy Goodman, "George McGovern on the 2008 Race and How He Helped Transform the Democratic Nominating Process", 3/11/08 interview
- McGovern on his book Abraham Lincoln, at the Richard Nixon Presidential Library and Museum, w/introductory remarks by Gore Vidal, C-SPAN, 8/26/09
- McGovern appearing on C-SPAN (events: 1972-2009)
| アメリカ合衆国下院 | ||
|---|---|---|
| 先代 ハロルド・ロブレ |
サウスダコタ州第1選挙区 選出議員 第6代: 1957年1月3日 - 1961年1月3日 |
次代 ベン・レイフェル |
| アメリカ合衆国上院 | ||
| 先代 ジョセフ・H・ボトム |
サウスダコタ州選出上院議員（第3部） 第12代: 1963年1月3日 - 1981年1月3日 同職：カール・アール・ムンド ジェームズ・アブレズク ラリー・プレスラー |
次代 ジェームズ・アブドナー |
| 党職 | ||
| 先代 ヒューバート・ハンフリー |
民主党大統領候補 1972年 |
次代 ジミー・カーター |